コント・男盛り

◯男の部屋
ベッドに寝転がってスマホを眺める青年(25)。

青年「あー、明日仕事行きたくないなあ。眠いけど、寝て目が覚めたらすぐ朝来ちゃうもんなあ」

青年、スマホを見ながらボーッとしている。

青年「会社なんて行きたくないんだから行かなきゃいいんだよな。俺経営者になりたいなあ。そしたら上司に愚痴愚痴言われないで済むしなあ。好きな時間に出社して好きな仕事だけやってればいいんだろうなあ。…そんなことないか」

ボーッとする青年。

青年「ああ…毎日こんな感じのこと考えてるなあ。こうやって漫然としない日々を過ごしながら、なんとなく知り合った女となんとなく付き合って、なんとなく結婚してなんとなく子供作って、なんとなく定年迎えてなんとなく死んでいくのか。…すげえ暗い気持ちになってきた…」

青年のスマホから通知音が鳴る。

青年「あ、ナナコちゃんからメッセージ来た。…えっ、何これ!『ナナコちっぱいだよ〜。知らない人に見せるのは恥ずかしいよ〜。今度ご飯連れてってくれたら考えてあげる〜』。…なんでか分からないけど、間違えて俺に送ってきちゃってるよあの子。にしてもあの子、こうゆう一面あったんだなあ」

青年、悩む。

青年「なんて返信するのがいいのかな…。もう既読も付けちゃってるし、無視するのも違うかな。そんな仲良くはないけど、皆で集まる時とか気まずいよなあ…。いや、待てよ。これをきっかけに急接近的なのもあるかもしれないな。…うん、よくよく考えたらそこそこ可愛い気もしてきた。おっぱいは小さいかも知れないけど足とか細くてスタイルいい感じだったし。なんかエロいことあるかもしれないぞこれ」

何かしら返信しようとするが、

青年「あ、『メッセージの送信を取り消しました』ってなってる。気づいたか。でも一回既読付けてるのは向こうもわかってるだろうし、どうするのがいいんだろう。文言的にパパ活かなんかだよな。結構デリケートな感じだなあ。やっぱり無視するのが紳士か…。でもココで一言二言交わせば2人だけの秘密を共有した感じになって良いのかもしれない…うーん、難易度高いなー」

部屋のドアをノックする音がする。

母親の声「翔ちゃん夕飯食べたのー?お父さんも帰ってきたから、一緒に食べたらー?」

青年「あー、わかったー」

青年のスマホから通知音が鳴る。

青年「お、ナナコちゃんからだ!『ごめん。友達が同じ苗字の人に間違えて送ったっぽい😓』か。まあ、そうやって誤魔化すしかないよな。よし、ここは軽いノリで男としての余裕があるところを見せてやるか。『ネタでよかった😂気にしてないよ〜』って感じでどうかな。よし、いいだろ」

青年、しばらく返信が来ないか待っている。

青年「あ、返信きた!…スタンプ1個か。だよなー。そんないい事なんて起きないよなー。…『ナナコちっぱいだよ〜』。…パパ活かあ。…なんか、おじさんになるって、夢があるなあ」

またしても、ドアのノックが鳴る。

母親の声「翔ちゃん、ご飯よそっておいたからね。早く食べちゃいなさい」
青年「はーい」

◯食卓
青年がご飯を食べているところへ父親が来る。
父親、前かがみで歩いてくる。

青年「……」
父親「おお、翔太。最近仕事の方はどうだ?」
青年「お前かーーーー!!!!」

《完》

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