コント・オーバードーズ

◯男2人がいる。

大野「うぃっす。」
山田「あ、大野。おはよう。」
大野「あれ?山田?」
山田「え?」
大野「どうした?なんか暗くない?」
山田「あぁ。いや、実はさ。さっき財布落としちゃってさ。」
大野「まじか。いくらぐらい入れてたの?」
山田「3万。」
大野「3万か。それは痛いな。」
山田「痛すぎるよ。ほんとショックだわ。」
大野「今日困るでしょ。ちょっと貸してやろうか。」
山田「それは有難いけど、悪いって。」
大野「いいよいいよ。貸してあげる。いくらぐらい貸せばいい?」
山田「ほんとにいいの?じゃあ、5千円くらい借りても大丈夫?」
大野「大丈夫だよ。てか5千円でいいの?3万貸すよ?」
山田「いや、それは申し訳ない。」
大野「いいってば。困るんだろ?3万ないと。」
山田「…いいの?ありがとな。週末までに返すわ。」
大野「おう。っていうか、財布落としたってことはカードとかも無くしたってこと。」
山田「そうなんだよ。銀行のキャッシュカードもクレジットカードも無いんだよ。」
大野「それはキツいな。じゃあ3万だと足りないんじゃない?5万貸そうか?」
山田「いや、いいよ。5万は悪いって。」
大野「でも山田一人暮らしだし、大変だろ?今度返してくれればいいからさ。」
山田「でも、ほんとにいいの?ありがたいけどさ。」
大野「おう。あれ?お前靴ボロくない?」
山田「靴?まぁ、2年ぐらい履き続けてるから。」
大野「マジか。新しいの買えよ。10万貸そうか?」
山田「いや、それはほんとにいいよ。貸してもらった5万で靴なんか買えないよ。てか5万の靴なんてそもそも買わないし。」
大野「ならこの機会に買ってみればいいじゃん。」
山田「いいよ。そんな大金すぐに返せないから。」
大野「返せないか。じゃあ、10万あげるよ。」
山田「どうゆう発想?それはワケ分かんないじゃん。」
大野「困ってるなら助けたい。」
山田「ヒカキンの一億円募金かよ。他者への思いやり半端ないじゃん。」
大野「普通だよ。じゃあ10万おろしてくるわ。」
山田「いやいやいや、いいよ。あ、俺この後直ぐ用事あるから。」
大野「まじで?」
山田「うん。色々ありがとな。じゃあ、また。」
大野「待てよ。急いでるなら仕方ない。俺のクレジットカード貸すよ。」
山田「異常だよ。そこまでいくと怖いよ。」
大野「何が?」
山田「宝くじでも当たったの?今日のお前変だよ。」
大野「変じゃないよ。」
山田「変だよ。怖いよ。」
大野「よくわかんないけど、嫌な思いにさせたなら悪い。飯奢るから許して。」
山田「いや、そゆとこ!」
大野「聞いて。3日分だから。」
山田「ギブアンドテイクのギブが過ぎる!よく聞け、良薬も規定量を超えると猛毒なんだよ。」
大野「よくわかんないけど、OK。とりあえず20万おろしてくるわ。」
山田「なんで?」

◯翌日

山田「昨日のアイツおかしかったなぁ。結局、せめて靴だけでもって言って裸足で帰って行ったもんなぁ。」

◯大野が来る。

山田「あ、大野。」
大野「おう山田。財布はどうなった?」
山田「近くの交番に届いてたわ。中身も全部無事。」
大野「よかったな。あ、その靴昨日貸してあげた奴。」
山田「あ、ごめんな。凄く歩きやすいから思わず今日も履いてきちゃった。明日ちゃんと返すわ。」
大野「今返せよ。」
山田「え、今?」
大野「人から借りたものは直ぐに返さなきゃだめだろ。何を執行猶予中に楽しんじゃってるの?」
山田「執行猶予中?」
大野「人から物を借りるのは罪だからね。返すのが遅れれば遅れるほど罪を重ねることになるんだよ。さっさと返せ。」
山田「おお、いつもの大野だ。なんで昨日はウォーレンバフェットばりに俺に投資してくれたんだ?」
大野「朝の星座占いで、人に優しくしろって言ってたんだよ。」
山田「通常運転の大野だ。よかった〜。」

《完》

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