【イギリスの学校農園で暮らす】 環境作りを学ぶ
3ヶ月ヨーロッパを周って見てきたことを記事としてまとめている途中で(農業・芸術・食をテーマに3ヶ月でヨーロッパ6カ国)、時間軸が交差しますが、現状のことも並行してたまに書いていこうと思います。
2019年の10月初めから、イギリスのRuskin Millという組織でボランティアとして働きながら暮らしています。
Ruskin Millとは、簡単にいうと障害を持った人を支援する施設で、治療教育やセラピーが行われています。イギリスに10箇所ほど施設があり、国から認可されています。
私はその組織の1つである、バーミンガムの近くにあるSunfieldという学校で暮らしています。ここの場所は、2年前にRuskin Milの組織に入った場所で、まだ改革が進んでいる真っ只中です。ボランティアも初めて受け入れるそう。20人前後の様々な障害を持った子(英語ではspecial needsという)が、多くのスタッフや教師、セラピストたちと学んでいます。この学校に通う子もいれば、住みながら学んでいる子もいます。なので、学校と言えど、敷地は日本では想像できないくらい広いです。数字でいうと敷地面積は21万平方メートルくらい。東京ドーム4.5個分ほど。日本ではなかなかない規模!
なぜ今ここにいるか一言で言うと、『人を育てること(教育や療育)と自然との結びつき』を学びたかったから。
私は元々デザイナーとして働いていましたが、芸術教育や芸術療法もしていきたいと考えフランスに留学しました。ですが、そこでの生活で、もっとベースの生活環境を整えないと教育やセラピーなど活きてこないと実感したので、今、『環境をつくる』ことを学びたくて、イギリスにいます。
(もっと詳しい経歴はこちら。)
では、なぜ『環境をつくる』ことを学びたくて、Ruskin Millにいるかと言うと、ここの施設は、ルドルフ・シュタイナー、ジョン・ラスキン、ウィリアム・モリスの3人の思想のもと治療教育がなされている施設だったため。それぞれ3人がどういう思想なのかというのは、とても長く難しくなるのでまた改めてまとめようと思いますが、すごく簡単にいうと、人が成長するためには、全ての要素が繋がり循環していて、現代社会で疎かにされがちな「自然」「芸術」はとても大切な要素だと考えられています。この施設の方針にも「芸術」や「自然」は治療教育に大きな役割として入ってきており、さらに環境が人に与える影響を考えた上での場所作りに力を入れているとなっていたため、ここで学ぶことを決めました。
また日本だと、「教育」「福祉」「芸術」「自然」「食」「農業」「産業」「経済」など、それぞれのジャンルがすごく分断されていて、なかなか繋がりにくいと感じていました。デザイナーの視点で、もっとそれぞれのジャンルの繋がりや社会の仕組みを考えていくというのも楽しいなと思い、そんな視点も持ちながらこの学校を見たいと思い学んでいます。
この場所で具体的に何をしているかというと、バイオダイナミック農法の講習を受けながら、学校にある菜園や動物の世話をボランティアスタッフとしてしています。
バイオダイナミック農法とは
ルドルフ・シュタイナーによって提唱された有機農法・自然農法の一種で、循環型農業。自然、天体、植物、人、動物は全て関係しており、それぞれの力を最大限に発揮できる環境を薬などに頼らず作っていくことを目指す。
簡単に説明を書いてみましたが、とても奥が深く説明が難しいです。私もまだ理解しきれていません。とにかくバイオダイナミック農法は、野菜等の生産物を作るだけでなく、生態系を整え、見た目にも環境がとても綺麗になります。
ほかにも治療教育の一環として畑や動物を扱っているので、学校の中で子供やスタッフに対してどう畑や動物の場所を配置するかという人に対しての提案、またそもそもの土質や水の流れ、樹木の生え方など自然環境もあわせて考慮してランドスケープ的なことも考えないといけません。
なんだか難しい概念的なことを書きましたが、現在、結構広い畑(学校での食事用に供給する)と、牛16頭、鶏26羽、ヤギ9匹、羊9匹、豚16匹を3人のスタッフで見ています。東京でデザイナーとして会社勤めしていた時よりゆっくりなペースではありますが、毎日肉体労働でヘトヘトになります。動物たちがいるので、週末もスタッフ交互に面倒をみて休めず、実質の休みは週一。他にも週一で治療教育に関しての勉強会、臨時で人智学の講座、2ヶ月に1回ほどバイオダイナミックの講座まるまる2日間(週末休み返上)を専門用語盛りだくさんの英語で受けて、おまけにディスカッションもある、というような生活をしています。英語のスキルもまだまだで、体力もまだまだな私は、毎日必死です。そして、周りのスタッフがみんな真面目。少ないお昼休みの時間にも難しい話をずっとしています。今はラテンの国のゆっくりした何事も楽しむ精神がすごく懐かしいです。
まだまだ必死に過ごしている毎日ですが、少しずつ今の仕事の紹介や、今いる環境から見えてくることをまとめていきたいと思います。
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