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歩き遍路の記録_9【焼山寺登山道〜柳水庵】

3日目① 焼山寺登山道

2022年5月5日午前6時起床。
当時はコロナの影響でホテルの朝食バイキングは中止されており、かわりにパンと飲み物のサービスがあった。
ロビーに置かれたパンを部屋に持ち帰って朝食とする。

本日は山道を12km歩く遍路最大の難所「焼山寺の遍路転がし」である。
1日目2日目と平坦で札所間も短い初心者向けイージーモードだったクセに、3日目で早速難所が設定されてるお遍路。
ゲームだったら普通にクソゲーだと思う。

藤井寺登山口から登山開始

焼山寺へは昨日参拝した藤井寺境内にある登山口から登っていく。
じゃあやっぱり昨日藤井寺行かなくてよかったんじゃねーのって思うけど、昨日暇だったんだもん。

さて、ここからは平均所要時間5時間半の登山である。ちなみに登山の趣味はない。
子供の頃学校の遠足とか親に連れられて地元の山に登った程度だ。
でも普段から無駄に歩くのは好きだし、足元に心配はない。
心配なのは水分補給である。
あたりまえだけど焼山寺まで店も自販機もたしかないはず。

水分はコンビニで1Lの水を購入しておいた。

最初こそなだらかな山道でふふ〜ん余裕やんとか思ってたら割りと早々に道の角度が急になってきた。

木陰とはいえ5月の晴天は既に暑く、汗が大量に吹き出してくる。
これやっぱり水足りないかも…と心配になってきた。

はーはー言いながら登る。
暑い。しんどい。水飲みたい。

長戸庵

9時頃
登って1時間半ほどで長戸庵に着く。
まだまだ四分の一程度である。
ここで軽く休憩。

長戸庵からは少しの間、なだらかな山道が続く。
見晴らしのいいところに出て「あー昨日はあの辺歩いてたんだー」などと調子こいた気持ちになる。
軽いアップダウンを繰り返しながら軽快に歩いた。

1/6ってどこにあったん?

軽快に歩ける期間はほんの僅かだ。
また急な坂道が現れる。
だんだん余裕がなくなってくる。

背後から軽快な足音が聞こえてきた。
トレランの人だ。ここ焼山寺の遍路道でトレランをしている人がいる。
荷物背負っているとはいえ、こっちが息を切らして登っている山を軽やかに岩場をホイホイ飛びながら走っていく。
世の中にはすごい人がいっぱいいるなあ。

父親と小学3年生ぐらいの親子連れが私を追い抜いていった。父親の歩みはとても早いしお子さんもそれに食らいついている。
みんなすげーな…と思いながら息を切らせながら登っていった。

まあ、どうしようもないので自分のペースで歩くしかないんだけど、そうやって歩いていると、先程の親子が休んでいた。
挨拶して私は先を進む、しばらくするとまた親子に抜かされる。また挨拶をして道を譲る。

そうしてまたしばらくすると親子が休憩していた。
なるほど、あちらさんは歩くスピードは早いけどこまめに休憩を取るスタイルか。
一方私は歩き自体は早くないけど、あまり休憩を取らないタイプ。息を整えるために立ち止まる事はあっても座って休憩を取るのは2時間に1度程度。

なので進みは同じぐらいだ。

親子が休憩しているそばで息を整えていたらお子さんから酢昆布のおすそ分けを頂いた。
男の子からどうぞ、と手渡される。

しまった、普段からあまりお菓子を食べないし、お菓子のやりとりをするのも好きじゃないから、お返しのお菓子がない。マーブルチョコぐらいだ。しかもケースを線香入れにしたからチョコ本体はジップロックに入っている。

こんなんで良かったらお返しにどうぞ、と少年の手にジップロックからマーブルチョコレートを流し出したの、なんだかみっともなかったな。

山に行くときは人にあげられるお菓子を用意しなければならないなと思った。

柳水庵

10時半頃
しばらくして、柳水庵に着く。
湧き水が勢いよく流れていて、そばには尺も置いてあったのでおそらく飲めるのだろう。
持ってきた1Lの水も三分の一に減っていたし飲みたいなと思ったけど、普段から売ってる水以外の生水を飲まないので自分の腹がこの生水に耐えられるか判断がつかない。

こんなトイレもない山道で腹壊すのだけは避けたい、と思って水を飲むのはやめておいて、口をすすぐだけにしておいた。
顔を洗って、手ぬぐいを水に晒した。
湧き水だけあって水は冷たくて気持ちいい。

湧き水の脇にある山小屋で休んでいたご夫婦と少し挨拶をする。
コロナ禍だったし、まだマスクも人前で外すなんて考えられない時期だったけど、きつい斜面を登ってたらマスクなんて息苦しいからつけてられなくて、マスクは外していた。そういえば家族以外とマスク無しで話した久しぶりだな、と思いながらマスクなしの会話をした。

今日はここまで。

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