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WeChatエコシステムを構成する 各プラットフォーム

WeChatエコシステムを活用する為に欠かせないのがWeChatが提供する各種プラットフォームです。テンセントにはWeChat以外にもQQ関連の多数のプラットフォームが存在しますが、ここではWeChatエコシステムに関係するプラットフォームに絞って紹介します。

WeChatオフィシャルアカウントプラットフォーム

WeChatオフィシャルアカウントプラットフォーム(微信公众平台)は公式アカウント、ミニプログラムアカウントの為のプラットフォームです。
公式アカウントやミニプログラムアカウントの登録もこのサイトから行います。
公式アカウントやミニプログラムアカウントはこのプラットフォームにログインして記事の配信やミニプログラムの設定を行います。
IDとパスワードでのログインも可能ですが、セキュリティの設定によっては管理者や運営者のWeChatによるQRコードスキャンが必要となる場合もあります。

WeChatオープンプラットフォーム

WeChatオープンプラットフォーム(微信开放平台)はWeChatを使ったソーシャルログイン機能を提供したり、公式アカウントやミニプログラムアカウント間でそれぞれのWeChatユーザーを同定する為の「UnionID」を提供するプラットフォームです。
少しややこしいですが、このWeChatオープンプラットフォームにもアカウントという概念が存在しており、必ず「企業認証」が必要です。
オープンプラットフォームのアカウントを取得しても、それ単体では特に何も出来ません。オープンプラットフォームアカウントにWeChat公式アカウントやミニプログラムアカウントを紐づけることで、公式アカウントやミニプログラムのAPIを通じてフォロワーやミニプログラムユーザーの「UnionID」が取得出来るようになります。
オープンプラットフォームアカウントに紐づかない公式アカウントやミニプログラムアカウントでは「UnionID」は取得出来ず、「OpenID」しか取得出来ません。

「OpenID」は各公式アカウントやミニプログラムアカウントから見た時には一意にユーザーを同定出来ますが、アカウントを跨いだ同定は出来ません。
例えばA社が2つの公式アカウント、「公式①」と「公式②」を持っていたとして、公式①にフォロワーが500人、公式②にフォロワーが1000人いたとします。
A社としては公式①と公式②合わせて1500人のフォロワーいる事は把握出来ますが、これは延べ人数になってしまいます。
ユニークなフォロワー数を知る為には公式①と公式②それぞれのIDリストの突合せがしたくなりますが、OpenIDは公式カウントごとに一意にしかならないので、アカウントを跨いだユニーク判別には使えません。
例えば私が公式①と公式②の両方をフォローしていたとしても、公式①から見える私のOpenIDと公式②から見える私のOpenIDは異なるので、A社からは私が両方をフォローしている事は判別不能なのです。

そこでUnionIDの登場となります。
A社がオープンプラットフォームアカウントを作成して公式①と公式②をそのアカウントに登録すると、公式①と公式②はAPIを通じてフォロワーのUnionIDを取得する事が出来るようになります。
UnionIDはオープンプラットフォームアカウントごとに一意となるIDなので、先ほどの例でいうと、公式①から見た私のUnionIDと公式②から見た私のUnionIDは同じになります。
これによりA社は初めて私が公式①と公式②の両方をフォローしているユーザーであると認識出来るわけです。

WeChatPayマーチャントプラットフォーム

WeChatPayマーチャントプラットフォーム(微信支付商户平台)は企業がWeChatPayを利用する為のプラットフォームですが、中国国外の企業は残念ながらこのプラットフォームを直接使う事は出来ません。
WeChatPayマーチャントプラットフォームはWeChatPayのマーチャントID(商户号)が必要なのですが、海外企業はマーチャントIDを取得する事が出来ないのでこのプラットフォームを使う事が出来ないのです。
海外企業は自国内のアクワイアラを通してサブマーチャントID(副商户号)を取得する事しか出来ません。
サブマーチャントIDはオンライン/オフラインでのWeChatPay決済をする事は出来ますが、WeChatPayマーチャントプラットフォームを使う権限が無い為、クーポンや「紅包」と呼ばれるユーザーへお金を送る機能を自力では設定出来ないのです。
日本企業がこれらの機能を活用する為にはアクワイアラ経由で使わせてもらうか、中国企業のマーチャントIDで発行したものを自社のサブマーチャントIDでも使えるように設定してもらう必要があります。


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