誤差で済ませよう
またかよ。毎日毎日、勝手に飛び込みやがって。
俺達の事も考えてくれよ。
それが本音。
先輩だってそう思っているだろう。
「何も考えずに、回収しろよ」
流石に慣れているのか?この人が愚痴を言っているのを聞いた事がない。
「今日は何人だっけ?」
おかしな事を言う。
「1人です」
「これは手の指だよな?数えてみろよ」
嫌な作業だ。でも、きっちり数えなきゃならない。
繋がっているものと、バラバラのもの。
足したら11本。
「だろ?めんどくせぇな。昨日のやつの残りかな」
慣れは怖い。昨日の1本は誤差で処理されたのだろう。
先輩の愚痴も聞かなかった事にしよう。
「おい。何も見てないよな」
俺は新聞紙にそれを包んで、普通のゴミ箱に捨てた。
一日延ばしは時の盗人、明日は明日…… あっ、ありがとうございます!