栞                
 
栞がなくなる
韓国土産の美しい布地にちいさな銀色の玉をつけた栞。裂き織の端布でつくった栞。どこでもらったか四葉のクローバーの押し葉をはった栞。
なぜかなくなる。本にはさまれたまま栞は姿を消す。気に入った頁にうもれている。
栞がなくなるから
きれいな絵葉書をふたつに折って本にはさむ。それさえも足りなくなる。あんなに葉書を折ったのにどこへ行ったんだ。栞とかくと、なぜか十字架をイメージする。字の意味を調べれば、山道を歩くときに木の枝を折ったり、幹を削ったりした道しるべのことだとある。
道しるべ
わたしは道しるべをなくして道に迷っているのだろうか。たくさんの情報のなかでわたしの求めているもの。読んでも読んでも忘れるけれど、心のなかにはずんずんたまる。
重い生きるのは重い
どうせ無になるのに、ため込んでどうする。ハアハア山道をのぼるわたしの道しるべ。栞は、わたしが探しだし思い出すのをまっている。親を捨てわたしは本をかかえ山にのぼる。
うつくしい栞たち



岩手日報2020年3月23日掲載

(ひと言)
管理が悪いので、書いたはずの詩が見つからずこの詩が見つかった。フォルダーに入れたはずがない。不思議だ。お正月に整理するはずが息子たち帰省して家事に追われている。

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