マタギの館 第二話『ブレーカー』
キイィィ~
皆さま
マタギの館へ
必ずまたお越しくださると思い
こうして
お待ちしておりました…|_-)))
さぁ…
更に暗くなっております
足元にお気をつけて
お入りください…|_-)))
しばしば起こるのが
演劇、舞台での不思議な現象…
日常とはかけ離れた
華やかな世界
夢の様な世界に憧れて観にやってくるのは
人間だけではない様でございます…|_-)))
第二話
『ブレーカー』
高校生の頃の話です。
私の高校では二年生からコース制を取り入れた学校でした。
私は、面白そうだったので演劇コースを専攻していました。
そのコースは他とは違い、特別にとある劇団の俳優さん達が先生としてお越しくださり、舞台に関する様々な事や、表現の仕方を楽しく教えてくださいます。
その授業を受けて一年も経てば、他のクラスの生徒よりすっかり度胸のついた者ばかりになってる程でした。
そして二年間の学びの集大成に
ひとつ劇を発表する事になり、三年生の二学期からは放課後になると劇の準備で大忙し。
それも本格的なものなので、先生達の所属する劇団員さん達の力も借りることになりました。
そして公開される日が近づいてきた、ある日の放課後の事…
その日はほぼゲネプロに近い通し稽古をしていました。
時間は19時をまわったとこだったでしょうか…
寒い時期でしたので外はもう真っ暗。
舞台のある部屋では数多くの照明器具を使い、明るくされていました。
シーンはラストの場面。
出演者が全員舞台に上がっていた時で、私も舞台の上にいました。
一人一人の立ち位置の確認をしている時、それは突然起きました。
バンッ!!
そうブレーカーが落ちたのです。辺りは一気に真っ暗闇、辺りではキャッ!悲鳴の様な声
「ブレーカーや、ブレーカー!」
の先生達の声が聞こえました。
舞台の上はざわつきます。
すると、
ポッ… ポッ…と
辺りでひとつ、又ひとつと
鈍い明かりが
灯りはじめるではありませんか!?
ふふ、驚かせてすみません。
実はそれはポケットベルの明かり…
その頃はポケットベルの全盛期。
生徒のほとんどが持っていた為、皆ポケットから出しては『自分はここにいるよ』の合図でポケットベルの明かりを灯します。
最初こそ驚いたものの、そこは高校生。すぐに落ち着きを取り戻し皆、この非常事態になんだか楽しそうです。
辺りはまるで蛍の様…
そうしている間に、ブレーカーはすぐに上げられ、すぐに電気は復旧しました。
と…
あっ!!
皆が舞台、かみての方へ目をやっている…
更にまたざわつく…
そこには、クラスで一番背の高いKくんが倒れている姿が!?
その時には意識が戻っていましたが、彼は停電の中で意識を失い、そしてその前後の記憶はわからないと話していました。
それから数日後
演劇は大成功を納めました。
そしていつもの高校生活が戻り、私達は無事に卒業していきました。
ただひとつ、違う事といえば…
停電のあの日からKくんの様子がおかしかったという事です。彼は努めて普段通りに振る舞っていたそうですが
“自分が自分で
ない様な気がする…”
と、仲の良い男子生徒に話していたと言う事です。
如何でしたでしょう…|_-)))
あの暗闇の中で、Kくんの身体に一体どんな異変が起こったのか…疲れ…
それもあったでしょう
そして
もうひとつ
憑かれ…
それもないとは
言いきれないのではないでしょうか…
では
次回もマタギの館で
お会いしましょう…|_-)))
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