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こんなにも人間が主役のニンジャ小説がある。

『フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ』。

「『ニンジャスレイヤー』という小説を読んだことがない人にオススメするとしたら?」と訊かれたら、私はこれを挙げる。

『ニンジャスレイヤー』はそれは長大な物語であり、現在進行形で新たなエピソードが投稿され続けている。私も『ニンジャスレイヤー』の世界へ足を踏み入れた時は、アーカイヴの多さに困惑したものだ。そんな『ニンジャスレイヤー』を未読の人に対して「イチから読め」と言ったところで、それは酷なことだと思う。そこで上のエピソードを挙げることにした。

『フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ』は短編作品であり、本編を知らなくとも読めるサイドストーリーである。内容はクルマによる長距離レースのお話だ。「え、ニンジャの話じゃないの?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかも知れない。勿論この話にはニンジャが出る。

『ニンジャスレイヤー』におけるニンジャというのは、ザックリと説明すれば常人よりも遥かに優れた身体能力や力を持ち、者によっては「ジツ」と呼ばれる不可思議な特殊能力を行使する、その多くは邪悪な、非人間的な存在である。『ニンジャスレイヤー』というタイトルなのだから、どのエピソードにもそのようなニンジャが登場するのは当然である。

だが、この『フォロウ~』においては、ニンジャはメインではない。飽くまで主役は"人間"である。このエピソードに限らず、『ニンジャスレイヤー』にはごく普通の人間達の物語が数多く存在する。ニンジャという理不尽な力を宿す半神的な存在に翻弄される人間達を描く物語…私はそのような物語にひどく心を惹きつけられる。ゆえにそのうちのひとつであるこのエピソードを推す。

『フォロウ~』の舞台は巨大都市ネオサイタマ北西、人口ゼロ地帯に建つ廃墟スタジアムを拠点としたレースイベント「ハシリ・モノ」だ。3日という長丁場、道中襲い来る無法者や猛獣、フジサン麓の鬱蒼とした樹海。この過酷なハシリ・モノに関わる人間にロクな者はおらず、参加レーサーから司会者から観客から、実に曲者揃いである。そして、我らがニンジャスレイヤーもこの中にいる。

ニンジャスレイヤーは、武装霊柩車乗りのデッドムーンという男のナビゲーターとしてレースに参加する。デッドムーンとニンジャスレイヤーはこのエピソード以前から付き合いがあるが、そのあたりはご存知なくとも問題はない。

デッドムーンはニンジャではない。だが卓越した運転技術を持ち、如何なる時もクールに振る舞う。実にカッコイイ男だ。
愛車の「ネズミハヤイDIII」は抜群のサスペンションを誇り、ボタンひとつで展開する様々なギミックが見る者の心をざわめかす。と同時に、これまたボタンひとつで同乗者へマッチャとオカキを提供する心のこもったシステムも搭載されている。私が個人的に気に入っているのは、こんなにもクールで何でもありなマシンなのに音楽はカセットテープで流すことだ。これはデッドムーンのこだわりなのかも知れない。

このデッドムーンが第一の主人公である。デッドムーンはなぜこのようなタフなレースに参加したのか?高額の賞金が目当てなのか?それとも?

第一と言うからには第二の主人公も存在する。それはハシリ・モノ司会者のビッグユージという小男である。

威勢よくカメラに向かい、ハイテンションに実況する。ただの軽妙なエンターテイナー。そんな印象を受けずにはいられない。
彼について語ると容易にネタバレに行き当たってしまうので多くは語れないが、その「ただの軽妙なエンターテイナー」な彼の印象が物語の中で二転三転していく。そして何よりも、これは私の個人的な感想だが、この短編を読んでいて最も涙腺がゆるくなったのがビッグユージにまつわるシーンなのである。
まさか、無鉄砲なレースものだと思っていたエピソードでこんなにも感動してしまうとは自分でも思っていなかったので、リアルタイムの投稿を追っていた当時は泣きながら驚いたものである。

『フォロウ~』は人間を主役に据えたエピソードだと述べた。それはつまり、登場する人間それぞれにドラマがあるということだ。デッドムーン然り、ビッグユージ然り…そして他の個性極まるレース参加者にも。
大規模興行の裏。それぞれの思い。そしてニンジャ。絡まった謎が徐々に解き明かされ、最後はどうなってしまうのか…。

命知らずのカーレース。クールでイカした奴らと血の気の多い連中。愛すべき雑魚キャラ。不気味な謎。これらがあなたを飽きさせないだろう。興味を持っていただけたら、Togetterにまとめられているので、是非とも読んでみて欲しい。

『フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ』 #1

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