非常に個人的な「見っけ」の感想

スピッツの「見っけ」が発売されてしばらく経った。

この作品のとても個人的な感想を書こう書こうと思っていたのに時間が過ぎるのが速すぎで、こんなタイミングになってしまった。

言わずもがなだけどもスピッツの最新作「見っけ」は傑作である。これは疑いようのない事実。うーん、最高。毎度毎度スピッツには感謝しかないのだけれども、2017年の30thアニバーサリーのタイミングで発表された3曲「ヘビーメロウ」「歌ウサギ」「1987→」があまりにも傑作過ぎて、次のアルバムはどうなっちゃうんだろうというワクワクとある種「この3曲を超えるアルバムなんてできるのか・・・」と不安にもなったりしていた。(あくまで個人的な感想なので、申し訳ございません。)

今作の口火を切ったのはNHKの朝ドラの主題歌にもなった「優しいあの子」。この曲に関しては曲の素晴らしさももちろんの事、日本人の多くがスピッツの歌を毎朝聴けるという幸せな事件でもあったと思う。

でも、何よりスピッツの凄さを証明したのは

「ん?朝ドラの主題歌ですけど、我々はあくまでスピッツです」

と宣言するような曲だったこと。言い方が上手にできないんだけど、タイアップだからという部分でのサービス(という言い方があってるのか・・・)などが一切ない。スピッツがスピッツであるだけで、余念がないというか、過剰な演出がないというか。頑なまでにスピッツである曲だった。

そこに僕は震えたし、迷いのないスピッツの立ち姿にファンとして感動したのでした。うーん、最高。

そして訪れたアルバムリリースのアナウンス。(僕はこのために生きていると言っても過言ではないので、本当に嬉しかったなぁ。)リリースが近づきオンエア解禁された「ありがとさん」。

・・・・・どどーん!ど、ど、どーん!来ました名曲中の名曲。宇宙一良い曲。「優しいあの子」でも感じたスピッツという強固なスタイルは全くブレることなく、スケールのでかいスピッツの歌。また音がいい。ギターの歪み感や、ベースとドラムの重厚感、歌のヒリヒリした感じは「夢追い虫」に近い感じか。高山さんの真骨頂だろうと思いつつ、「夢追い虫」の時はまだ実験段階を感じるミックス(まぁそこが最高なんだけど)だったけど、「ありがとさん」はもはや鉄壁。一時期田村さんがインタビューで「ライブで出しているような音にしたい」とおっしゃってたハードルは今作でぴょぴょーんと軽くクリアしているのではないでしょうか。独自の路線を走りながらも最近流行りのローエンドを意識したミックスになってるようなムードもある。

明らかなアレンジとしてのピークみたいなものはないけど、ずっと最高潮にいるかのような高揚感(これは「みなと」に近い)、マサムネさんの描き出す歌詞の世界にどっぷり浸って一生生きていけます。

さらにリリース直前に解禁になった「見っけ」。

・・・・・どかーん!ど、ど、ど、どかーん!来ました名曲中の名曲。宇宙一良い曲。こちらも重圧なオケに、ハープシコード?みたいな音のシーケンス。ワクワクドキドキするようなイントロ、歌が始まった時点で胸を掴まれる。歌詞も素晴らしすぎる。ぐわーっとスピッツの世界に引きずり込まれて、とっても美しい景色を見させてもらって、いつの間にか号泣しちゃうような。それでいて、現実のうまくいかない日々も彩りを加えてくれるような名曲中の名曲。ギターの音が分厚いのに、ドラムもしっかりタイトに聞こえているというのはね、これは高山さんも素晴らしいし、演者も素晴らしいから。おまけにずっとシーケンス鳴ってるのに一切邪魔にならないというのは亀田さんの手腕かな、とにかくやばい。ある種ドラッグ的な快感がある。

冒頭の3曲でスピッツの勝利が決定しているこのアルバム。その後の曲に触れていくといつまで経っても終わらなそうなので、割愛しなきゃ・・・。(またバンドマンによるスピッツ飲みをしたい。)

毎度言ってるんですが名曲しかないので、困っちゃうんですがあえて僕が取り上げるとしたら。

「ラジオデイズ」はインタビューで田村さんも話をしていましたが(今回は「音楽と人」のインタビューが素晴らしいのでぜひ読んでもらいたいです。写真も美しいし。)、マサムネさんの歌詞にしてはとても具体的な歌詞になっていて。きっとご自身がラジオ番組を持たれたのも大きいんだろうなとか想像できますが、僕はこの曲だけでなくここ最近のマサムネさんの歌詞の世界観が少しずつ変化してるように思っている。

正解かどうかはわからないしあくまで個人的な見解だけど、この曲にも見受けられるように歌詞の世界のぼやけ具合が少し減ってピントが合っているというか、ふわふわな世界から何か伝えたいことが受け手にしっかり届くような世界観になってきているような。より僕の個人的で勝手なイメージですが、震災以降ってのが大きいのかもしれない。あの「絶望を手にしちゃったのかな。」みたいな感覚を通過した上での世界だからなのかなと思う。

変にスピッツに救いを求めているわけではないんだけど、僕はスピッツがいることで生きていけるんだし、この変化は僕にとってとてもポジティブに響いています。

他にも「花と虫」のフレーズ「花はどうしてる? つぶやいて嚙みしめる」っての聴いたとき、この歌詞だけでこのアルバムは買う価値があると思ったし、「快速」のタカハシさんのコーラスも素晴らしいし、「YM71D」はここに来てのスピッツの新開拓地だと言えるダンスナンバーだし、「まがった僕のしっぽ」なんてタイトルだけでもう充分ですくらいの世界だし、通常盤のラストの「ヤマブキ」はこのバンドこの曲でデビューするんでしたっけ?というくらいのフレッシュさで鳴り響くし、もっというと初回にしか収録されてない「ブランケット」も初回にしか入らないなんてもったいないよってくらいの名曲。

曲もいいし、今回、音もめっちゃいいんだけど、何がすごいって

スピッツが最高!

って事に尽きるんだと思います。それだけで、どうあれ最高なんだと。逆を返せばひとつひとつの積み上げがスピッツというバンドを最高に導いているのかもしれない。それはメンバーだけでなく、スタッフやもしかしたら僕らファンも巻き込んで。

マサムネさんがテレビ番組で「音楽がやりたかったんじゃなくて、バンドがやりたかったんだ」とおっしゃってましたが、バンドをやるってそんなことなのかもしれない。うーん、最高。

僕はスピッツがいてくれて幸せです。10年くらいぶりにチケットが取れたので、明日ツアーに参加できることになりました!やー!

以上です、ずっと聴いてます。

PS アナログについてる漫画、今回も最高でした。

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