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小心者

今でも思い出す出来事が2つある。 
自分の性格に起因する出来事だった気がする。 
小心者のくせに他人の目を気にする自意識過剰気味な子供だった。

1つ目は幼稚園のお遊戯会での話で御題目は[白雪姫] 私は白雪姫に毒入りリンゴを渡す魔女という重要な役割を与えられた。
先生達の手作り衣装を身に纏い、舞台の端でリンゴを握りしめ待機。
先生が軽く背中をアシストする。

だが私は、何故か急に怖気づき足が前に出ない。
慌てた先生が先程よりも強めにアシストする。
だが私は舞台へと飛び出せない。
その間にも物語は進み魔女の出番は終わってしまった。
物語が終わり演者一同は舞台へ上がり観客(親や祖父母)に手を振る。
物語をぶち壊したにも関わらず、なぜだか私は笑顔で手を振っていた。

2つ目は小学4年の出来事で給食費の集金袋を燃やした事である。
当時は毎月決まった日に先生が教室で集めるシステムだった。
日直担当が[給食費を集めます]と声高らかに宣言し袋を集める。
自分のランドセルから給食費が入っていると思われる袋を取り出し中身を確認が…

なぜだか空である。恥ずかしくて出せない私は袋をそっとランドセルに戻す。
翌日も同様に日直担当が[給食費を集めます]と宣言する。昨日と同じくランドセルから袋を取り出す。
きっと母が給食費を入れてくれている。
そう思い中身を確認する。???!
またもや空である。他の生徒が次々と給食費を払うのを尻目に私はトイレに駆け込みポロポロと涙を流しはじめた。
自分の家は給食費費も払えない程貧しい家庭なのか?
今にして思えば誰に対する恥ずかしさは知らないが勝手に思い込み1時間目が始まるギリギリまでトイレで泣いていた。
赤く腫れた目が気になり、その日は1日中下を向いたまま授業を受けた。 

一言、母に[給食費の集金がある]と伝えるだけで
良いはずなのに何故か後ろめたさが有り
言えずにいたのである。

さらに翌日も給食費費の集金が始まる。私は恐る恐るランドセルを開ける。中には見慣れた集金袋が入っている。
今日こそ入っているに違いないと謎めいた確信と共に中身を確認。
!!!!

入っていない! 
自分の身に何が起きたか理解できず只只呆然としていた。
その日の帰り道に[集金袋を燃やす]という謎の行動を起こす。

給食費が未納な為、担任が母に電話で確認。 
母は単純に忘れていただけだった。
帰宅後に母から集金袋の事を聞かれ泣きながら謝り事実を話す。呆れる母。
母は担任に事の次第を説明し新しく支給された袋に給食費を入れて私と共に学校を訪問
担任からは、こっ酷く叱られ泣きながら謝罪したのを思い出す。

今にして思えば、袋を燃やす事で給食費の集金というイベントが自分の中から無くなると勝手に解釈して安心したかったのだと思う。

当時も給食費が払えない家庭は少なからずいたが、それが原因で酷いイジメなど無かったと記憶している。 
先生も悪い事は悪いと親の前でも叱ってくれた。
全国の小中学校で給食費が全員無理になれば
私みたいな行動をとる子供は居なくなると思う。