TikTok

 最近TikTokを始めた。正確には再開した。以前にも、自分が分からない物が出てくるのは(老いを感じて)なんだか怖いなあ、と思い、一度ダウンロードしたことがあった。いや、追い付かなくてはいけないのですよ、TikTokに。Facebookを使っていい気になっているおじさんおばさんをばかにしている以上、まだまだ若い我々は、TikTokごときに負けるわけにはいかないのだ。

 ただその時は結局(案の定)面白さが分からなくて消してしまった。

 それから早いもので1年半、Twitter くんだりを見ながら過ごしていたのですが、携帯(という言い方も古い、RADWIMPSの曲が思い出される)を修理した際、(さんざん確認されたのにも関わらずバックアップを怠ったせいで)ホーム画面が1年半前の状態に戻ってしまった。そして幸運にもTikTokが舞い戻ってきた、というわけです。

 そんなこんなで次世代プラットフォームとの戦いが再燃したのですが、なんと戦況はいい感じ。TikTok、ふつうにおもしろい。1時間、いや2時間ぶっ通しでも全然見れる。

 TikTokの基本UIはとてもとてもシンプルで、十数秒の動画が勝手に流れていく、それだけ。最適化された動画が自動的に準備されているので、ユーザー側ができるのは好きな配信者をフォローしたり、好きな動画にハートを付けたりするくらいで、とことん受動的でいることができる。こう考えるとだいたいインスタと同じ気がしてきた。

 コンテンツのテーマも、「容姿」「おもしろいの」「ちょいエロ」「おしゃれ」「カップル」「学生」「おしゃれ」「生活系」(Youtubeのモーニングルーティン的なもの)が多く、この点でもインスタと似ているかもしれない。まあ同じ人間にに最適化されているからかもしれませんけれど。

 ところでなんだろうTikTokやInstagram、Youtubeを使っていると、時間の使い方がルーズになる感じがする。(SNSに共通する特徴かもしれないが)これは作り手が素人なことが、良い方向に作用しているのではないだろうか。本を読んだり映画を見たりするとき、私は少し「身構えて」しまう。それらはなんらかの権威あるコミュニティーである種の選抜を受けた人々が、命をかけて作っているのだ。そうやすやすと、流し見で消費していいものではないのだと、心のどこかで思っている。だから簡単には手をのばさないし、いざ消費するときには時間と集中力を取りおいて、真剣に挑む。途中で放り出したりせずに、たとえ分からなくとも最後まで通す。なんせ相手も本気なのだから。失礼じゃないか。

 しかしどうだろう、これはTikTokには適用されない。別にアップロードする側も本業でもなく、遊びで撮っているだけなのだし、こちとら適当に、右から左に流していけばいい。面白くなければ途中でやめてしまってもいいのだ。この心構えがなんとも心地いい。結局のところ集中力には限りがあるから、机には読んでいない本が詰まれ、Netflixのマイリストには見ていない作品が溜まっていくばかり。挙句楽しいことがないと嘆いている。そう人間にはTikTokが、Instagramが必要な時があるのだ。

(最初はTikTokで流行ってる音楽について書くつもりだったのですが、思いのほか長くなってしまったのでそれはまた今度に)

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