Masukawa Fear Satan

踊りについて書き溜めている

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ゆこう雪が溶ける前に

ゆこう雪が溶ける前に 雪が溶ける前に ここを離れなければならぬ 雪溶け水が川を下る速さを 峠を下るバスが追い越す 先に春に到達する 悲しいことでもある できるだけ速くゆっくり ここを離れてゆこう

    • 山から霧が降りるのを見た

      実に静かな夜 木は眠る 風は止まる 雪は 全て覆う 完璧な夜 外に出る 川沿いをゆく 山から霧が降りるのを見た 川の音は雪に吸い込まれる 冬は全てに沈黙を強いる 沈黙が欲しく 奥へとゆく 完璧な静止を見る 頭を霧が覆う 遠くの街灯にモヤがかかる 涙のようでもある 吸い込む 夜の色と霧の不明瞭さはお互いを求めつつ 混じることがないと知る 全ては灰色の下で 静かな音が鳴り響いていた 山から到来した霧の中 静かな 轟音を聞いた 「身体の川に言葉をながさねばならぬ」

      • 快活の天気の日

        このような 快活の天気の日 気分が 浮足立たぬ よう しっかり 締める からだに湧く ある 幸せの 芽を抑え 脇を、締め ハラを、 込め 足 を 踏む このよう な 天気 を 喜ばず 眼を 保つ 一片 の 雲の ない青空 なら からだに 雲を 流す 白い、白い 雲 冷たさを キープする 暖かい春の 昼下がり 冷たさを キープする それは きたるべき 冬期への 準備 快活 に 霜を おろし 快方 を 湿気くささで 抑制する 悲しさを 観測

        • 冬の終わりをつげる最初の南風

          待つている 冬の終わりをつげる最初の南風 待つている 丘を越え窪地になだれ込む最初の南風 待つている 触れられそうなあたたかな南風 窪地の底から ずつと見ている もし会えたら 泥のように眠ろうではないか

        ゆこう雪が溶ける前に

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        • パフォーマンス
          12本

        記事

          実家の猫

          君はお日様に選ばれた猫だから

          外の喧騒が怖いか

          外の喧騒が怖いか おとなの人じゃなくてよかったと 肉をうまく消化できない

          外の喧騒が怖いか

          肉をうまく消化できない

          肉をうまく消化できない 午前四時 焼肉は腹を下す カルビ、ハラミ、ロース トイレに篭る 和牛は特に胃腸が支障を来す 玄米、野菜、味噌、豆腐 魚を食べたい(しかし手元にはない) 朝五時、太陽を待つ 夏ならば熱い熱い太陽が来る頃だろう 待つぞ待つぞ 12月、冬、ヨーロッパ 東の方角 熱望する 喝采を送る 遠い国の恐ろしい出来事 私等をかけ離れた大きな力で進んでいく 胃腸の心配などしていて 眠る

          肉をうまく消化できない

          19092023

          朝音を聞いた 北⻄へ向かう 車で山道をゆく 皮膚を指でなぞる窪み 谷が続く 谷 谷 エンジン音 少々荒い運転で進む 足はいつも蒸れて土の夢を嗅ぎたがっている アクセルを踏む 後部座席で揺られる身体 エンジンの振動 車を降りて赤い橋を渡る

          「ベッドルームにて毎晩蝶が飛び立つ」振り返り

          参加していたグループ展で2023年6月、7月に計4回パフォーマンスを行った。 踊りをやっていく上で、とにかく強烈な身体を、と思いつつも、一瞬にしてそれを捨て去ってしまいたい欲求を持っている。 紆余曲折を経て今でこそ身体は、踊りは素晴らしいと思っているが、同時にこれに果たして何の意味があるのかと大変冷たい目をすることもある。 日常生活でも、資本や行政の力、テクノロジーの力で成り立つ街で不自由なく暮らしつつ、何かとても奇妙なことを我々はしているのではないか、と思うことがある。 こ

          「ベッドルームにて毎晩蝶が飛び立つ」振り返り

          雲が立つ

          北の空に 巨大な雲が立つ 夏の入道雲 背中を北へ向け 身体の正面は南 背中で雲を背負い 額で  南十字星をにらみつけろ いつしか星より静かな 北の岬の果て 北極星は 我が足の裏に

          身体よ身体よ

          身体よ 身体よ 饒舌の彼方へ逃げ果せるな もつれた脚のがさつきで 山道駆けた躓きの律動 暗がりでなぞった母音の調べ 歌え歌え 吃音の 新しい国の歌を 滑らかなコンピュータ共の 整然国家の子音の見張り 流暢な朝は 夜が夜でなくなった合図 振り切れ 饒舌の対岸から ふるさとのことばの杭を打て 言い淀んだ身体で 新しい国の歌を歌え

          今日花を買ったよ

          今日花を買った あの人にあげたい 3ヶ月ぶりくらい 薄い色のはながすき 赤やピンクより 白やうすいきいろがすき 今日花を買いたいが 花屋はやってるか イオンで花は買いたくない 大きい花より 小さいはながすき (花の名前はあまりしらないので花屋にいってもこれくださいと言い店員さんがはいデルフィニウムねなど言うが帰ったころには花の名前は忘れてしまう) 花の記憶 色 微かな匂い かわいい花 枯れてくとき 枯れて放置して腐った花瓶の水 枯れたならベランダからエウレカと叫び花を投げ

          今日花を買ったよ

          バイソン(梅村)でのパフォーマンス

          5/6に神戸市のバイソン(梅村)という廃屋10棟ほどを改修して作られた村にて村開きのイベントがあり、そちらで舞踏のパフォーマンス行った。パフォーマンスの記録写真。 以下撮影・編集:misa shinshi 以下撮影・編集:東 美沙季 バイソンの色々な場所に身体を配置してみて、とにかく身体が引っかかる場所を探した。屋根の上や、斜面、穴などの、ちょうど何かの境界になっているような場所は身体が引っかかる。準備期間があまりなかったが、言葉を付けて身体を置いてみた。 ↑当日パフ

          バイソン(梅村)でのパフォーマンス

          オーガニックカフェ 蟹工船

          2017年神奈川県茅ヶ崎市の海を見渡せるロケーションにオーガニックカフェ蟹工船は開店した。180度オーシャンビューでレゲエが流れるモノラルスピーカーがあり有機栽培珈琲豆もあり2階テラス席完備売上の0.01%は途上国に寄付しており名物は高橋さんの農園で太陽いっぱい浴びたトマトと地中海あたりで採れたであろうロブスターのサンド店内はフレンドリーな雰囲気で満たされており従業員は馬車馬のように働かされている

          オーガニックカフェ 蟹工船

          蝶が頭にぶつかり飛び去って

          蝶が頭にぶつかり飛び去って 覚え 光景は景色ではなく風や光や感触が つまり蝶が頭にぶつかり飛び去った感触 記憶は 文字や写真ではなかったことが、 書く前に握るための、 消えてしまいそうな つまり蝶が頭にぶつかり 飛び去った記憶は 消えるので 感触を握りたいと思うことが やはり蝶となって飛び去って消えて 食道を裏返し 握ろうと やはり頭にぶつかり飛び去って消えて どうしても思い出そうと 不可能な どうしても不可能な悔しく 握ろうと 飛び去って消えて 感触だけ

          蝶が頭にぶつかり飛び去って

          4/10パフォーマンスの記録写真

          パフォーマンスのテキスト 最近桂川の川岸で工事があり人が踏み込めなかった一帯の草木が切り開かれ、地形、景色が変わった。草木で覆われていた川岸の地面が露出し高低差が見えるようになり、幾本かの重機の跡に沿って歩けるようになった。 川岸一帯の高低差や重機の跡を辿って歩くうちに、自然と身体に馴染むルートがあることに気が付いた。高いところ低いところ、地面の感じ、辺りに落ちている物など、何か分からないが吸い寄せられる順番がある。まるで巡礼しているかのように感じた。 コンビニやデ

          4/10パフォーマンスの記録写真