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人の行動に関連する要因

奥原ら(2020)の解説論文を読んだ。

人の行動に関連する理論としては、社会的(認知)学習理論、計画的行動理論、多理論統合モデルなどが有名です。従来の行動主義心理学は、オペラント条件付けは、行動の適・不適という結果に基づいてその生起頻度が変化することをスキナー箱のよる動物実験から明らかにしたものであり、人の行動はそんなに単純なものではないと異論を唱え、主にモデリング(観察学習)に焦点を当てたのがBanduraによる社会的(認知)学習理論であると認識している。ここで特に強調されたのは「自己効力感」であり、計画的行動理論にも、多理論統合モデルにもこの概念は取り入れられており、近年では認知行動療法やCI療法などのリハビリテーションアプローチにも積極的に活用される概念となっている。

ここで上記3つを至近要因としてまとめて説明した上で、人の行動には究極要因が存在し、これを無視してはならないと奥原ら(2020)は主張する。奥原ら(2020)は、生物学の立場に立ち戻り「生存」的な観点から究極要因を説明している。筆者の解釈が至らないかもしれないが、言い換えれば「危機感」「恐怖感」に類似したものなのだろうか。たしかに人は、前頭前野(特に腹内側前頭前野)において大脳辺縁系(情動系)をコントロールしているわけであり、これらの情動に働きかけることは、前頭前野を刺激することに繋がり、人の意思決定を左右する、ということになるだろう。直感的にも、危機感・恐怖感で行動することは大いにある。あまりいい反応とは言えない気がするが…

至近要因を促進する働きかけはもちろん重要であるが、一方で究極要因をも忘れてはならないと伝えてくれている論文と感じた。

(文献)奥原剛,木内貴弘:ヘルスコミュニケーション学の新たな展開 進化生物学的視点によるがん対策への示唆,医療と社会30(1):91-105,2020.

#行動科学 #医療コミュニケーション #意思決定

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