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成功を捨てる!

ベートーベンの最高傑作といえば交響曲第九番合唱付きですが、この作品も成功を捨てることによって、大いなる成功を得ることができた例です。

誰もが聞いたことのある「歓喜の歌」という合唱は第4楽章ですが、前半の第1、第2、第3楽章は今までベートーベンがやってきた音楽の集大成というくらい完璧な音楽です。

第4楽章の冒頭では、この第1〜第3楽章のメロディーの冒頭が顔を出します。
ところがベートーベンは、これらをコントラバスで否定するのです。
「そんな音楽はいらない」と、まさしく今まで自分が積みあげてきた成功を捨てるわけですね。

そして、出てくるメロディーは、誰もが口ずさむことができる歓喜の歌なのです。

第九は、誰からも愛される音楽となりました。
そして、時代を越える大きな成功をベートーベンは得ることができました。

慶應義塾を創設した福沢諭吉も成功を捨てたひとりでした。

九州は大分・中津の藩士であった福沢諭吉は、大阪に出て蘭学を学んでいました。
当時は蘭学といえば最新の学問でした。

蘭学を身につけた諭吉は、江戸に出て幕府の仕事を手伝うようになったのですが、あるとき、横浜に出向いて大きなショックを受けます。

それは、青春の全エネルギーをかけて勉強してきたオランダ語が、まったく通用しない現実でした。

もはや、時代は英語になっていたのです。
英語ができなければ多くのことが学べない時代に入っていたのです。

諭吉は大変ショックを受けたようですが、蘭学を捨てて、そこから英語の勉強に切りかえます。

いざ、勉強してみると英語の文法はオランダ語の文法によく似ていて、意外と簡単にマスターできたそうですが、今まで積みあげてきた蘭学を捨てた福沢諭吉の勇気と決断は、日本に大きな影響を与えたのです。

一方で、当時の多くの蘭学者はそれに執着し、時代に取り残されてしまいました。

その後、諭吉は英語力を磨いて、アメリカに渡り、最新の知識を吸収し、帰国後、慶應義塾を創設し、世の中に多くの優秀な人材を輩出しました。

このように、自分が努力をして積み上げてきた成功を捨てるには覚悟が必要ですが、さらに自らを成長させ、次の成功を目指すのであれば、今の成功を捨てるという勇気を持ってください。

それにより、さらなる成功を生み出していくことができるでしょう。

『「そうじ力」で自分磨き!』P.89

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