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ビゼー組曲「アルルの女」身震いするほど美しい絶望の物語

フランスの作曲家、ジョルジュ・ビゼーを紹介したいと思います。

ビゼーといえば、歌劇「カルメン」と組曲「アルルの女」が有名です。

その他の作品というと「交響曲ハ長調」と25歳のときのオペラデビュー作の「真珠採り」くらいでしょうか。

「真珠採り」でオペラ作曲家として評価されたあと、なかなかヒット作がでなくて、苦しんでいるところに、フランスの作家ドーデーの戯曲「アルルの女」に音楽をつけてほしいと依頼が舞い込みます。

アルルの女の内容は、お金持ちの家に生まれた青年が、アルルの町で出会った女性に一目惚れをして恋い焦がれながら、結婚が出来ないことを知って、最後は飛び降り自殺をしてしまうという悲劇です。舞台は失敗しましたが、ビゼーの音楽は高く評価されました。

そこで、ビゼーはこの劇付随音楽「アルルの女」27曲から演奏会用に編集し直したのが、「第一組曲アルルの女」です。

自信を取り戻したビゼーは、二年後歌劇「カルメン」を完成させます。
しかし、翌年初演から3ヶ月後敗血症のため36歳の若さで亡くなります。
これからというところで残念です。

ビゼーの死後、友人のエルネスト・ギローが第一組曲と違う曲を選んで編曲したのが、アルルの女第二組曲です。組曲は4曲から成るものですが、あと一曲が決められず、ビゼーの歌劇「美しいパースの娘」からメヌエットを持ってきて3曲めに入れました。

こうして、第一組曲、第二組曲合わせて、組曲「アルルの女」完成しました。

ビゼーならではの一度聴いたら忘れることの出来ない第一組曲の前奏曲は有名です。

この曲を聞いていると、色彩豊かな南フランスの感じが伝わってきます。
とても美しい曲ですが、なにか、鮮やかな色の中に紺色が交じる感じもします。この物語が悲劇に向かっていくのを暗示しているようです。
2曲目のメヌエットも名曲です。

でも、この曲を最も有名にしたのが、第二組曲のあの「美しいパースの娘」から持ってきたメヌエットでした。

演奏は、どれか一枚と考えると、この曲の不動の名盤、アンドレ・クリュイタンス指揮、パリ音楽院管弦楽団です。
録音は1964年です。
クリュイタンスはフランスの曲は、とても鮮やかに演奏します。それでいて、自殺する青年の心情も見事に描いていて、僕も長年聞いている愛聴盤です。

もう一枚紹介するならば、とても危険な美しさを伴うヘルベルト・ケーゲル指揮ドレスデンフィルハーモニー管弦楽団です。

とても危険です。
身震いするほどの美しさと、それでいて暗さ、死がつきまとっている感じがします。

以前は、入手困難なCDだったそうで、ネットオークションでかなり高額で取引されたようです。

それもわかるような凄絶な演奏です。

僕は、普通にタワレコで500円で購入しました。

ケーゲルは、当時東ドイツの指揮者でしたが、ベルリンの壁崩壊とともに、ピストル自殺していまいます。アルルの女も晩年の演奏なので青年に気持ちを重ねられたのかも知れませんね。

クラシック音楽初心者でも、とても聴きやすく、メロディも美しい「アルルの女」を紹介しました。僕もこの曲で、ビゼーを知りましたが、ここから、歌劇「カルメン」に入っていきました。
といういことで、ビゼーはオペラ入門の道でもあるんですね。

また別の機会に「カルメン」を紹介したいと思います。


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