国立能楽堂に着物で

皆さんは能というと、なかなか見るチャンスがないと思われ勝ちですが、国立能楽堂では、定期的に公演が行われています。いまは、高尚な人でなくとも能は見ることができるので、是非見てみてください。単にお話の面白さだけではありません。能は日本語の美しさも味わうことができますし、日本人の無情感、人間観なども味わうことができます。能を、みせてくれる舞台は現在は少なくなりましたが、恐らく一番頻繁に能を上演してくれている、国立能楽堂にいったときの例を挙げておきます。

能を見に行くときに大切なことは、演目の種類で着物が変わることです。特にシテが、翁の面を着けた曲では、やっぱり格調がある礼装に近いものがよいのではないかとおもいます。というのは、翁の面というのは、神が姿を変えたもの、と解釈されることが多いので。こういう演目は、お正月とか、特別な日でないと上演されることは、あまりありません。こういうときにも、未婚者であればですが、小振袖が便利です。小振袖の価値も段々見直されて来るのではないでしょうか。

その他、定期的に行われている、普及公演のような、比較的親しみやすい能をみにいくときは、訪問着等がよいとおもいます。

国立能楽堂は、あまり座席に等級をつけることはありませんが、基本的に男性が多い傾向にあります。最近は女性の方もいますが、華やかなものというより、ちょっと落ち着いた着物を身に付けている方が多いかな?という印象です。能は悲劇であることが多いので(なかにはハッピーエンドの曲もある)、あまりけばけばしい格好はしないのでしょう。

そんなわけで、お正月公演などのような特別な公演と、通常行われる公演とを区別することに気を付ければ、能鑑賞の着物はさほどむずかしくありません。落ち着いた訪問着や、小振袖が、本領発揮してくれますね。

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お正月公演の一例です。あまりけばけばしくありませんが、伝統的な雲柄を使用している小振袖に、同じく菊や桐紋などの伝統的な帯を合わせて。

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定期的公演に着用したときの訪問着です。あまり華やかな過ぎず、かといって大袈裟すぎない訪問着が国立能楽堂には、向いている気がします。

いずれにしろ、能は日本的なオペラのようなもの。武家や公家の人たちが大切にしてきた文化です。国立能楽堂だけではなく、様々な舞台を自由に見られる時代ですから、どうぞ気軽な気持ちで見に行ってください。

拝読有難うございます。何かの参考にしてくだされば嬉しくもいます。