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【数学】 悪魔的に美しい数、666

666は「悪魔の数字」なんていわれますが、実は数学的にもめちゃくちゃおもしろい数字だった……というお話。
感動的なほどいい性質を持っているので、ぜひ読んでってください。


三角数関数

まず先に、「三角数関数T(n)」というものを考えよう。
(※三角関数ではない)

$${T(n) = 1+2+…+n}$$

このようにして表せる数のことを「三角数」と呼ぶ。
(三角形状に玉を配置した時の玉の数であることに由来する)

こいつを使うと、こういうことができる。

$${666 = T(6×6) \\           = T(8) + T(35) \\           = T(14) + T(33) \\           = T(21) + T(29) \\           = T( T( 8 )) \\           = T( T(T(2))^2 ) \\           = T( T(5) + T(T(T(2))) ) \\           = T(5)^2 + T(T(T(2)))^2}$$

一つずつ見ていこう。

三角数

666は三角数である。

$${ 666 = T(36) \\           = T(6×6) }$$

この時点で、あまりに美しい性質である。

三角数+三角数

$${666 = T(8) + T(35) \\           = T(14) + T(33) \\           = T(21) + T(29)}$$

このように、666は3通りの三角数+三角数の形で表せる3番目の三角数である。
他に、276、406、861、1891などがこの性質を持つ。

三角数の三角数

$${ 666 = T( T( 8 )) }$$

36もまた三角数であることから、上のことが言える。
$${36 = T(8)}$$

666は36番目の三角数であると同時に、8番目の「三角数の三角数」でもあるわけだ。

三角数の三角数の四角数の三角数

$${666 = T( T(T(2))^2 )}$$

先ほどと似ているが、今度は36が6の2乗であることを利用する。
($${3 = T(2)}$$、$${6 = T(3)}$$である)

$${ 666 = T(36) \\           = T(6^2) \\           = T(T(3)^2) \\           = T(T(T(2))^2) }$$

整数の2乗で表せる数は、平方数や「四角数」と呼ぶこともある。
(三角数と同様の理由)
同様に「四角数関数S(n)」を考えると、666をこうも表せる。

$${ S(n) = 1+3+…+(2n-1)  \\               =n^2}$$

$${ 666 = T( S(T(T(2))) ) }$$

つまり666は「三角数の三角数の四角数の三角数」であるとも言える。
さらにいえば、1を除く最小の「三角数の三角数の四角数の三角数」である。
数として特別すぎる…………。


この性質を使えばこれも言える。

$${666 = T( T(5) + T(T(T(2))) )}$$

平方数(四角数)は、連続する二つの三角数の和で表せることが知られている。
(図形的に考えるとすぐにわかる)

$${ S(n) = T(n-1) + T(n) }$$

つまりこれが言える。

$${ 666 = T( S(6)) ) \\              = T(T(5)+T(6)) }$$

6は$${T(T(2))}$$だから、

$${666 = T( T(5) + T(T(T(2))) )}$$

である。


また、この等式も成り立つ。

$${666 = T(5)^2 + T(T(T(2)))^2}$$

これ↑は、この式↓から同様に導ける。

$${666 = T(5)^2 + T(6)^2}$$

実は、これは偶然ではない。
「四角数の三角数」全般に言える性質であることがわかる。

$$
T(T(5)+T(6)) = T(5)^2 + T(6)^2 \\
\frac{1}{2}\{T(5)+T(6)\}\{T(5)+T(6)+1\} = T(5)^2 + T(6)^2 \\
T(5)^2 + T(6)^2 - 2T(5)T(6) - \{T(5)+T(6)\} = 0 \\
\{ T(6) - T(5) \}^2 - \{T(5)+T(6)\} = 0 \\
6^2 - 6^2 = 0
$$

より直感的な説明がありそうだが、私は思いつけなかった。


以上で、冒頭で紹介した式の説明は終わりである。

三角数関数と2

$${ 666 = T( T( 2^{T(2)} )) \\           = T( T(T(2))^2 ) \\           = T( T(T(2)+2) + T(T(T(2))) ) \\           = T(T(2)+2)^2 + T(T(T(2)))^2}$$

冒頭の等式を見ていると、このように、666を三角数関数T(n)と2のみで表現したくなる。
このようにして表せる数がどのくらいあるかを考えてみよう。

ただし、$${2÷2+2÷2+…}$$などとすればどんな数でも作れるので、2の使用回数を制限する。
いくつかの2と、T(n)、四則演算、累乗、カッコのみを使い作れる数を考える。


2を1度だけ使用してできる数は、以下のように「2に三角数関数を繰り返し適用してできる数」のみである。

$${ 2 = 2 \\ 3 = T(2) \\ 6 = T(T(2)) \\ 21 = T(T(T(2))) \\ 231 = T(T(T(T(2)))) \\ … }$$


これに対し、2を2回以下だけ使用してできる数は結構多い。

$${0 = 2-2 \\ 1 = 2÷2 \\ 2 = 2 \\ 3 = T(2) \\ 4 = 2 + 2 \\ 5 = T(2) + 2 \\ 6 = T(T(2)) \\ 7 = T(T(T(2))) ÷ T(2) \\ 8 = T(T(2)) + 2 \\ 9 = T(T(2)) + T(2) \\ 10 = T(2+2) \\ … }$$

と10までの全ての数を表現でき、2回以下で表現できない最小の数は13である。
しかし、決してこのように表現できる数が珍しくないわけではなく、2桁の数は20個、3桁の数は23個、4桁に至っては10個で、5桁は14個、6桁は3個と極端に減る。
この中に666が含まれるというのは十分奇跡的といえよう。


また、このように666を2を2回使って表現する方法は4通りある。

$${666 = T(T(T(2))^2) \\           = T(T(T(2))×T(T(2))) \\           = T(T(2^{T(2)})) \\           = T(T(2+T(T(2))))}$$

2を2回以下しか使わず、4通り以上の表現が可能な数は以下である。

$${0,1,3,4,6,  10,21,36,55,  231,666,  1540,……}$$

このように、3桁の数は2個しかない。


また、2を1つと三角数関数と四角数関数だけで表せる数も調べた。

$$
2,3,4,6,9,  10,16,21,36,45,55,81,  100,136,231,256,441,666,  1035,…
$$

この場合、3桁は6個しかない。


やはり、666の性質は陳腐なものではなさそうだ。

終わりに

これらの諸性質は、「666のWikipedia記事」を見ていて知ったことと、それを拡張したものである。
(Wikipediaには1つの数字のみについて書かれた記事が色々ある)
はじめに666を特別視した人はこのことを知っていたのではないかと思えるほどに、特別で魅力的な数であった。

最後に、同じくWikipediaに載っていた、悪魔的に美しい二つの性質を載せて終わりとする。


$${ sin(666°) = -\frac{\phi}{2}        (\phiは黄金比) }$$


$${666 = 2^2+3^2+5^2+7^2+11^2+13^2+17^2}$$

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