マガジンのカバー画像

アオマスの小説

159
どんな一面にも些細な物語が存在する。それを上手に掬って、鮮明に描いていく。文士を目指す蒼日向真澄によって紡がれる短編集です。
運営しているクリエイター

#生き方

『骨』  (小説、約14000字)

『骨』 1  死因、骨。  節枝おばあちゃんは、マキオおじいちゃんの死をたった一文字で表し…

蒼乃真澄
8か月前
15

緑のおじさん(6)

 その日は、凸凹したアスファルトに水溜まりができるほどの雨が降っていた。僕は緑のジャケッ…

蒼乃真澄
11か月前
14

緑のおじさん(5)

「おはようございます!」  一列に並んで、集団で登校してくる子供たちに、僕も「おはようご…

蒼乃真澄
11か月前
11

緑のおじさん(4)

 それからしばらくして、緑のおじさん夫妻は家を売って遠くに引っ越した。かつて息子と一緒に…

蒼乃真澄
11か月前
9

緑のおじさん(3)

 近くの公園で、僕が買った缶コーヒーを飲みながら、緑のおじさんはゆっくりと話してくれた。…

蒼乃真澄
11か月前
10

緑のおじさん(2)

 あるとき、僕はいつも通り朝の時間に散歩をしていて、緑のおじさんもいつも通り横断歩道の横…

蒼乃真澄
11か月前
9

緑のおじさん(1)

 学校へ登校するために横断歩道を渡る子供達。そんな彼らを、車から守っているのが、緑のおじさんである。緑のおじさんは月曜日から金曜日の朝に横断歩道の横に立って、子供たちを安全に渡らせる役割を担っている。朝の時間は慌ただしく、急いでいる車もある。横断歩道を渡ろうとしている人に目も向けず、そのまま進んでしまう車もしばしば見かける。緑のおじさんはそんな車を抑制することで、未然に事故を防ぐことができる。  もし、横断歩道を渡ろうとしている子供が車に気づかなかったら。あるいは横断歩道を