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アオマスの小説

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どんな一面にも些細な物語が存在する。それを上手に掬って、鮮明に描いていく。文士を目指す蒼日向真澄によって紡がれる短編集です。
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2023年7月の記事一覧

緑のおじさん(6)

 その日は、凸凹したアスファルトに水溜まりができるほどの雨が降っていた。僕は緑のジャケッ…

蒼乃真澄
11か月前
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緑のおじさん(5)

「おはようございます!」  一列に並んで、集団で登校してくる子供たちに、僕も「おはようご…

蒼乃真澄
11か月前
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緑のおじさん(4)

 それからしばらくして、緑のおじさん夫妻は家を売って遠くに引っ越した。かつて息子と一緒に…

蒼乃真澄
11か月前
9

緑のおじさん(3)

 近くの公園で、僕が買った缶コーヒーを飲みながら、緑のおじさんはゆっくりと話してくれた。…

蒼乃真澄
11か月前
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緑のおじさん(2)

 あるとき、僕はいつも通り朝の時間に散歩をしていて、緑のおじさんもいつも通り横断歩道の横…

蒼乃真澄
11か月前
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緑のおじさん(1)

 学校へ登校するために横断歩道を渡る子供達。そんな彼らを、車から守っているのが、緑のおじ…

蒼乃真澄
11か月前
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人生を燃やす(夏のまにまに)

 表現者になりたかった僕は、自分で映画を撮影することにした。  映画とは言っても、たった一人。おままごとの延長でしかない。自分のスマホで1日を撮影する。それだけだ。  朝起きて、顔を洗って、トーストを食べて、歯を磨く。電車で仕事場へ行って、ひたすらパソコンと睨めっこして、再び電車に乗って家へ帰る。夕飯は夜遅くまでやっているスーパーへ行って、半額になった惣菜とビールを買う。家へ帰ってきてスーツを脱ぎ、テーブルで食事をする。風呂に入って、YouTubeの動画を見て、布団に入る。お

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『不思議』 ・あらすじ  「私が放った光の矢が、あなたの心の的を射る」    日曜日、静希…

蒼乃真澄
1年前
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