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父の人生を変えた『一日』その44 ~ロールズロイスで検品~

その44 ~ロールズロイスで検品~
 オレゴン州ポートランドの空港近くのレンタカー屋にレンタカーを予約して検品に行くつもりであった。飛行場に着いてレンタカー屋に行った。1台も普通の車が無かった。支店長がでてきた。
「ライオンさん、何時もお世話になりまして」と支店長は言った。車はどうなっているのだ?ポートランドの先で飛行機墜落事故があってマスコミが多数押しかけて車を全て使ってしまったという。私は予約してあるのだよと言った。支店長はニコニコして私を案内した。「ロールスロイス」の前で止まった。この車しか空いてありません。料金は普通の車の料金にしますのでこの車を使ってください。と言う。驚いた。ぴかぴかの新車のロールスロイスである。
 鼻歌歌いながら木材検品ヤードに向かった。外人達がびっくりして「ライオン、こんな高い車レンタルしてお金一杯かかるぞ」と言って皆びっくりした。そして車をみんなが見に来た。車の後ろの席にはホームバーがついており素晴らしい車であった。アメリカ人は呆気にとられて目を行天させていた。「Don’t mind」ドントマインド心配するな。と言って事情を説明した。アメリカ人は、お前は幸運な奴だなと言って大笑いになった。ロールスロイスで検品に行った人は後にも先にも私だけであった。アメリカで色々な事が起こったが笑える人生の1日であった。


~倅の解釈~
 アメリカでは色々なハプニングがあった。親父のエピソードをあらためて読んでみると笑ってしまう。先日、ヨシダソースの吉田会長を訪問するために日本からポートランドへ。17年ぶりに自分で運転しようと、親父と同じく、ポートランド空港のレンタカー屋へ。不思議と「すみません、予約入ってませんね」と言われてしまった。その瞬間、この話を思い出した。HISを通じて予約していたので、レンタカーバウチャーを渡すと係の女性が見ながら、「カーナビのついていない車だったら空いている」と言う。いやいや、カーナビ無いと厳しいので、カーナビを付けることできないのと聞く。「追加料金になります。」と言う。結果、ちゃんと契約の値段でカーナビをつけてもらった。親子、内容が違えども同じ空港で同じ「レンタカーが無い」という事件に微笑んでしまった。
 このとき、ロールズロイスを借りていれば良かった。ヨシダソースの吉田会長宅へ運転していったらさぞ、話題になったに違いない。親父と違って私はまだまだ、なのかもしれない。

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