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父の人生を変えた『一日』その35 ~罰金~

その35 ~罰金~
 総合商社マンの奥様は、アメリカシアトルに来られるまで日本で車の運転はしないし自動車免許も取っていないしハンドルも握ったことがない人が多い。ところが、アメリカで車が無いとどうにもならなく動きが取れなくどこの奥様もシアトルで免許をとる。それが当時たった14ドル(1500円くらいか)で免許が取れるのである。
自動車学校もなく学科試験と自分の車を持っていって実技で取るのである。アメリカの免許は取ると言うより、「くれる」と言った方がよいのかもしれない16歳以上の人が1家族に5人いれば5台の車が必要なのである。ただ若い人と高齢者は保険料が高いのである。
 三井物産の木材担当の家に夕食に呼ばれた。奥様は英語が苦手らしいがライオンさん、アメリカのお巡りさんは親切ですねと言う。どうしてですか?と聞いてみた。家の周りを車で走っていたら車を止められファインと言ったという。そして紙をくれたという。私はおかしく思って奥様にその紙を見てセいただいた。「Fine」確かにファインであるが「罰金」の紙であった。奥様に30マイルの所50マイルで走っていたので罰金の紙でそれを支払えとの連絡ですと教えた。その奥様、全く驚いていた。笑えない笑い話である。


~倅の解釈~
 アメリカでの免許制度は当時、非常に緩かった記憶がある。免許試験を落ちたということを聞いたことが無かった。16歳と半年になると、自分自身の車をもっていき、筆記試験をうけて合格すると試験管が出てきて、「車どこですか」と聞かれて、そのまま助手席に乗り込み、仮免許も全員持っているので、普通に市内を指示通り走り、試験終了。教習所は無く、試験はとにかく近所の通りを廻る。クランクもS字も無い。オートマとマニュアルの識別も無い。
 私が日本に18歳で戻ったときに免許書き換えをした。アメリカの免許書き換えはオートマとマニュアルの識別が無いので、免許はどうしても「オートマ限定」となる。いつも、この免許を同志からバカにされる。。。電気屋の社長なのに、オートマ限定。。。
 交通違反制度もまったくもって違う。点数制度がなく、点数がなくなる心配はないが、日本よりスピード違反は厳しい気がする。私はとにかく良く捕まった。捕まると違反チケットの裏に異議申し立て欄があり、カウンティ―裁判所へもっていけば異議申し立てできる。そうすると、裁判所から日程通告が来て裁判所で違反切符を協議してもらえる。大抵、違反切符を切った警官は忙しく出廷しないので、証拠不十分で違反切符は取り消しとなる。
 しかし、さすがに高校2年生の時に、出廷した際にあまりにも違反が多かったのか警官が出廷してきた。相手は弁護士を立てて。その時はさすがに緊張した。私は勿論、弁護士を立ててないので。必死に答弁した。結果、違反額の半分を払う羽目になった。
 タバコや飲酒についても週によっては違えども日本より厳しい部分がある。タバコは喫煙年齢が当時18歳。今は21歳。でも、みんな吸っていた。通っていた高校には喫煙所があるぐらいだった。でも購入は運転免許所を出さないと買えなかった。なので、よく先輩からまとめ買いしてもらった。飲酒は昔も今も21歳。これも飲み会するときは先輩に頼んで買ってもらった。近年、ワシントン州ではマリファナが合法化されているので普通に販売されているそうだ。
 悪いことは大抵、シアトルで覚えて、シアトルで卒業してきた。タバコだけは卒業できぬが。

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