伝統工芸と恐竜
#実践記録 2021/07/24(土)
2泊3日がちょうどいい。
1泊だけだと,翌日には帰らなければならない。
初夜で浮かれられない。
3泊4日だと荷物がかさばる。
いっそ5拍以上なら…
旅先での洗濯を考えて量を調節するのだが。
手軽に旅するなら「2泊3日」。
とか言って,今回の旅の価値を高めようとしている(笑)
旅先には,本を持って行きたい。
今回は西田幾多郎の伝記(漫画)。
もう一つは,『善の研究』。
日本酒を呑みながら読むには難解だった(笑)
ペンを持ちながら真剣に読まねばようわからん。
台湾に行く時には,伊集院静『無頼のススメ』をお供にした。
何度も読んでさすがに飽きて…
日本語で書かれた本を求めた。
台北北部「九份」で出逢いがあった。
『千と千尋の神隠し』の舞台のモデルと言われている地。
私が日本人観光客に現地の人と間違われた場所でもある(笑)
しょうがないので,台湾人になりきってシャッターを切った。
一大観光地が賑わっている片隅に,小さな書店を見付ける。
…ここで手に取ったのが“官能小説”だった。
遠く異国の地で何をしているのだろう(笑)
だが,初めてまともに読んで驚愕した。
“描写”がえげつねえ!
言葉だけでこうも掻き立てるものか。
高校時代の国語教師が絶賛していたのがよく分かる。
「エロ本(写真)よりいい」と。
日本語を欲していたのもあり,帰りのバスで読む手が止まらなかった。
知らない土地で触れる活字。
パッケージの裏。
パンフレット。
行く先々の看板や地図。
旅先で手に入れた本。
いつもよりも立ち止まれる時間がある。
ん? まてよ…
逆に思考がフル回転。
旅の妙味を醸してくれる。
◆ 珍しく朝食を
6時頃起床。
旅の記録を打つ。
7時,部屋から1階のリビングへ。
テーブルの王様席に朝食が並ぶ。
・ヨーグルト
・トースト
・ベーコン目玉焼き
・サラダ
・グラタン
・マンゴージュース
グラタン用とヨーグルト用でスプーンが2本。
えっと,遠い方から使うんだけ…
と,かしこまってしまう。
ヨーグルトを置くためだけの木皿。
箸置きか…
自宅で使ったことないな。
それどこから普段は朝食を食べない。
“贅沢”とは何かを考えさせられる。
◆「越前和紙」に触れて
9時過ぎに宿を後する。
歩いて「越前和紙の里」を目指す。
途中,ホームセンターで帽子を購入。
麦わら帽子でも買おうと思ったが…
やめた(笑)
ここ越前が工芸で栄えていたとを知らなかった…
越前和紙の他にも,漆器・箪笥・焼物などもある。
若狭塗りという漆器,刃物や眼鏡も有名。
海外からもお客さんが結構着ていたらしい。
多い時は,1/4が外国の方々。
【パピルス館】
和紙を漉く体験ができるが…
見学だけで遠慮する。
お土産コーナーに思いの外長居…。
工芸品は,そのものが展示品のようだ。
見応えがある。
いくつか購入。
・和紙の一筆箋
染め方もオシャレ。
・メモパッド
和紙をつくる際の切れっ端をまとめたもの。
このコンセプトが素晴らしい。
・自分の名の遊印を購入
自転車をレンタルする。
前輪の空気が甘いのが氣になるが…
半日で500円。
【紙の文化博物館】
越前和紙の発祥や産地の歴史を学べる。
五箇の和紙の種類の豊富さに驚く…
表現者たちの要求に応えてきた歴史がうかがえる。
浮世絵とアニメキャラクターのコラボ展も。
ドラえもん,ナルト,涼宮ハルヒ,攻殻機動隊など。
浮世絵は引き算の芸術だと聴いたことがある。
その他に映るはずのものをあえて書かない。
が,今回のコラボ作品は,そこから足されてたようなもの。
うまく引き算が効いている作品は額縁から輝きを放っていた。
【岡太神社】
紙の神様「川上御前」を古くから祀る。
拝殿と本殿が一体となっている。
檜皮茸の屋根は日本一複雑な形と言われているようだ。
木の彫刻,組み方なども圧巻だったが…
コケが生す様が何とも言えない味を出していた。
現地の人から「観てもらえてうれしい」と言われた。
【卯立ての工芸館】
スタッフの方がすでに私を知っていた(笑)
昨日お世話になった居酒屋の常連さん伝いに。
どうやたら医者と間違えられていたようだ(笑)
噂話の走る早さよ。
江戸時代中期の紙漉き家屋。
工芸士の方が,体験者に教えているところだった。
うーん覚えが悪い(笑)
失敗ばかりを見せられる(笑)
材料から紙ができるまでの工程を一通り説明してもらった。
和紙と洋紙の違いがよく分かった。
素材はもちろんのこと,材料とする部位が違っていた。
和紙の場合は木の皮。
洋紙は,皮を剥いだ木質部。
和紙の原料となるのが楮(こうぞ),三椏(みつまた),雁皮(がんぴ)。
それぞれ繊維の長さや太さに違いがあるそうだ。
楮が一番長く…
空氣を含みやすいとのこと。
手触りがふわりとする。
もちろん,麻などの他の材料を使うことがある。
和紙づくりの工程で一番感動したのが「漉(す)く」。
木箱を動かして紙をすくい上げるあれ。
原料の皮を削ぎ,煮て,余分なものを取り出して,叩いて繊維をほぐしたら…
水を張った漉槽(すきぶね)に,その繊維と「ネリ」を加えてよく混ぜる。
この「ネリ」がすごい!!
ネリは「トロロアオイ」という植物の根から取れる。
見た目はオクラに似ているのだが…
根っこが太い。
叩くと,中からねばりけのある液体が出てくる。
「すくい上げさせてください!」
とお願いすると「物好きだね」と笑われた。
1m位持ち上げても水面から離れない。
なぜこんなにもねばりけがあるのだろうか?
触らせてもらった。
親指と人差し指との間で糸引く。
「しばらくしたらねばりけは,なくなるから」
ん?
熱で粘り氣がなくなるようだ。
だから,紙を漉くには冬場がいいそうだ。
と,ここまで聴くと,ネリは糊(のり)の役割をしているのかなと思えてくる。
紙の繊維同士をくっつける接着剤の役割を持つ,と。
それは違うようだ。
ネリの役割は,紙料液の繊維を均等に分散させること。
なぜ分散するのか?
トロロアオイの根には,多糖類(デンプンなど)をたくさん含む。
同じく繊維も多糖類なので相性がいい。
このあたりの化学のことはよく分からないが…
繊維の一本一本をネリのぬるぬるで包み込む。
互いに絡み合うことなく水中で分散するわけだ。
そのうえ,水に適当に粘り氣ができるので繊維もすぐには沈まくなる。
これが繊維と水だけだと比重が重い繊維が底に沈んでしまう。
ネリの粘り氣があれば…
漉き桁をすくいあげた時に,漉き簀(す)の上に均一に薄い膜を作りやすくなる。
「これがもう紙なんだよ」
うっすらと半透明の白い紙が観える。
逆に洋紙製造では,デンプンなどの接着剤が使用される。
繊維が短いなので,繊維同士をくっつけるようだ。
似ているようで違う「ネリ」と「のり」。
◆ またも「おろし蕎麦」
武生駅まで自転車で。
炎天下の中,7km。
途中,敦賀までの北陸新幹線の建設中線路が観える。
駅を通り過ぎた先に『御清水庵』。
工芸館でオススメされた1つ。
汗だくになりながら店内へ。
おろし蕎麦を大盛で。
麦茶を出していただいたが…
追加で水も。
お盆が運ばれてきた。
つゆにおろしがとかされている。
個人的には分けて欲しかった。
そのまんま蕎麦にぶっかける。
ねぎとかつお節も一緒に。
かつお節が薄っぺらい。
粗く削ってある方が好みだな。
先日駅前で食べた削り節がちょうどよかった。
この店の大根は辛みが十分に効いている。
くわっーっと口に広がるのだが…
暑さを吹っ飛ばす爽快さがある。
麺のコシや太さは申し分ない。
福井のおろし蕎麦旨し。
こりゃまた行きたくなる。
もっといろいろな蕎麦を食べ比べしたい。
◆ いわさきちひろの生まれた家記念館
館までの名前がやたらと長い(笑)
いくつか原画が展示されていた。
構図と柔らかな筆のタッチ。
絵具の色使い。
見た瞬間に「いわさきちひろ」だと分かる…
分からせるだけ独自性を確立されている。
徹底的に“こども”の絵を描き続けた。
仕事机が再現されていた。
左利きだったので,右窓から光が入るように。
◆ 北陸線から再び越前鉄道(えちてつ)
武生駅から福井駅へ北陸本線。
えちてつに乗り換え,終着駅の勝山まで。
バスに乗り換えようやっと眼前に大きなタマゴドーム。
延べ2時間以上。
まさか二度も同じルートを辿るとは…
◆ 恐竜博物館
昨日は,予約をしなかったので弾かれた…
本日は最終枠に滑り込めた。
夏休み期間中は,5枠(1枠90分)。
大きな恐竜の卵型のドーム内へ。
エスカレーターで一番下の階へ。
嘘だろう…
とんでもない量の恐竜の展示物。
想像をはるかに上回った。
観る恐竜観る恐竜が,かっこよくてたまらない。
解説もできるだけ読み込む。
おもしろい。
「これ,福井の人いいよね。年パスできたいわ」
と,しゃべる女性に思わずあいづちを打ちそうになるわ(笑)
展示のしかたもいろいろと工夫がこらされていた。
「恐竜の世界」「地球の科学」「生命の歴史」など。
子供から研究者まで楽しめるというコンセプトがおもしろい。
特別展示「海竜」ゾーンへ。
白亜紀の海の中を想像する。
とりあえず,シロナガスクジラに逢いたくなった(笑)
時間が足らない…
一端,福井駅まで1時間半かけて移動し,そこから金沢まで。
特急を使ったが,着いたときには21時。
◆ ゲストハウス
駅から徒歩5分ほどらしいが…
電池1%を保ちながら,宿のご主人に連絡。
オートロックのドアを開けて頂く。
1800円+200円。
宿泊税が課されるとのこと。
破格である。
ドミトリー(2段ベットが2つの共同部屋)だったが,客は私だけだった。
◆ 金沢の夜
呑み屋を探す。
宿の方に訊いたが…
自分で探すことにした。
・郷土料理
・日本酒
これさえあればよい。
良い店を見つけた。
歩いていくが満杯。
2件目もダメ。
3件目で,決める。
郷土料理というよりかは,ハイカラなメニューが多いか?
でも,金沢の食材を用いている。
・大人のトマト
・のどぐろの塩焼き
・刺し身の盛り合わせ
・ざる豆腐
日本酒は,6種類呑んだ。
一番呑みやすかったのは「天狗舞」。
有名どころだけある。
「どれがいいですか?」
咄嗟に答えたのは「遼」。
若い方がつくられているようだ。
自分の名前らしい(笑)
後味が独特だった。
米の甘味がふっとやってくる感じ。
おもしろい。
お会計はまあまあの料金に。
〆のラーメンは我慢し,宿で寝る。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?