古式を知りて今を考える

#実践記録  2021/08/24(火)

夜更かしにつき3時間睡眠。
頭に霧がかかっている。
窓を開けると晴れ間がのぞく。
思考が回らない代わりに洗濯機を回す。
雨が降らないことを願う。

◆ 健康診断

コロナ感染対策につき,時間指定。

「9:15~10:15」

椅子がソーシャルディスタンスを守っている。
係の方の誘導に従って検査が進む。
人数が制限されているのでスムーズに流れた。
各種異常なし。
氣になったのは,血圧が若干低めだったこと。
寝不足の影響か。

◆ 人間模様が見える定食屋

映画館へ向かう道中,ご飯屋を探していた。
交差点でグーグルマップに「ランチ」と打ち込む。
この近くには……
あった。
11時オープン。
20mほど先にお店が見える。
ちょうどお客さんの何人かが入り出すところだった。
扉が開くと一氣に5人が中へ。
これは期待できそうだ。
店先に自転車を止める。
ちょうど暖簾を上げるところだった。

ヒレカツ定食を注文。
本の続きを読む。
ついでに,お客さんもちらちらと観察する。
皆,それぞれの制服を身にまとっている。

ん? この時期にブーツ。
長い黒髪は1つに束ねられている。
華奢な体つき。
20台前半。
その若い女性の隣には中年男性。
一体どういう関係なのだ。
服装だけでなくバックも同じものだ。
ペアルック。
いや,消防士の方だろう。
男性はテレビで甲子園に夢中になっている。
その横で,女性は話しかけるでもなく退屈そう。
スマホが観られないのは規則だからか。
仕事を選んだ動機は何だろうか。
訊いてみたい氣もちを抑え,活字に目を戻す。

体格がよいお客さんが頼むのはミックスフライ定食。
リーズナブルに大盤振る舞いする店だという評判らしい。
私が食べたヒレカツも680円。
「この値段で定食だとは思わないわよね」
おばちゃんがこう言うほどに安い。

◆ 古きを知りて,今を考える。

読書『文章読本さん江』。
もし私が作文の本を書くなら……
間違いなく「参考文献」に載せさせていただく。
この夏に出逢った本,「No.6」。
※〈新政〉をルーツとする酵母6号から生まれた日本酒。

「あなたたちが古いと思っているものは,本当に古いものですか」

新政酒造の8代目のインタビュー。
作文教育史もまた,新旧のぶつかり合いの末に今がある。

 ・口語体から文語体へ変わった背景。
 ・芦田恵之助が教育界へ与えた影響。
 ・意欲が先か技術が先か論争。
 ・児童観「〈子ども〉の発見」の違いによる教育の変化。
 ・「話すように」「思った通りに」学校作文テーゼの起源。

古きを知るからこそ,新しきを考えることにつながる。
考えざるを得なくなる。
過去に抱えていた課題と重なるから。

◆「文体」が内容を規定する

文語体から口語体への転換は,革命だったことだろう。
文体は,内容をも変えうるものだから。
スタイルはそれほどの力を持っている。

「ポカリスエット」は,ペットボトルと缶とで中身が違う。
コップに注ぐと分かる。
缶の方が白みがかっている。
味が濃い。
「お~いお茶」も同様だ。
缶はその場ですぐに呑まれる。
だから風味を強くする。
透明なコップに注げば濁りが見える。
反対にペットボトルの場合は時間をかけて飲まれることが多い。
沈殿物などの余分なものは取り除いて透明にしている。
「入れ物」によって変えているのだ。

「コカ・コーラ」はどうだろうか。
ビン,缶,ペットボトル。
すべてに同じ液体が入っている。
全世界共通だそうだ。
でも,確かに味が違って感じられる。
不思議だが,まぎれもない事実。

日本酒とて同じ。
陶器かガラスかで違う。
プラスチックでは呑んだことがない。
器によって味が決定づけられる。
こだわりがいがある。

教室であれば…
 
 ・狭い広い 
 ・明るい暗い
 ・綺麗汚い
 ・座席の配置
 ・席の間隔
 ・BGMの有無
 ・本の有無
 ・ぬいぐるみの有無
 ・遊び道具の有無
 
などなど。
挙げだしたらキリがないほどにこだわりようがある。

◆ 対人物にどう影響されるか

映画『孤狼の血 Ⅼevel2』

作者に続き,劇場にて2作目を観た。
率直に言うと……
一作目の方がよかった。
人間ドラマを描き切れていない。
過激なシーンを観たいんじゃなくて,もっと物語を観たかった。

昨夜は,日岡を主人公にして物語を分析した。
役所さん(大上)が主演らしいが……
松坂さん演ずる日岡がメインだったと思う。
1作目でおもしろかったのは,「対役」によって主人公は変容していく様だ。
何段階もギアが上がっていく。
そのたびに主人公の表情や雰囲氣が変わる。

今回の対役は,鈴木亮平さん演ずる上林。
圧倒的な悪を怪演していた。
もう観ていて怖かった。
何をしでかすかわからない。
安心感を得たいがために「早く死んでくれ」とさえ思った。
主役を喰うほどの迫力があった。

「レンアイ漫画家」での表情が一瞬もない……
「MTR」とも全然違う。
世界への没入具合がえげつない。
完全に極悪非道のヤクザそのものだった。
今作で対役がなした役割とは何だったのだろうか。
本当の悪には,悪でしか太刀打ちできない……
そんなところか。


なぜ,1作目からの分断が生まれてしまったのか。
理由は単純で,原作にはないストーリーだからだ。
映画の完全オリジナル作品。
監督こそ同じだが,やはり台本違うと人間模様が違ってくるのか。

2作目を観るからこそ,日岡と大上の対比が際立ったところはある。
同じく弧狼の血が流れているものの……
両者の「正義」が微妙に違っていたように思う。
世界の秩序を成り立たせようと必死にもがいていた大上。
彼は,守りたいものを守ろうと命がけ。
反対に日岡はなぜ秩序を保とうとしていたのか。
大上とは動機がズレていたように感じた。
そして,物語終盤にかけて完全にバランスを崩してしまった。
警察とヤクザとの距離感というより,自分を見失っていた。
もう半ばヤケクソ。
血が暴走してしまった末路だたった。
その危うさのなか,なんとか綱渡りしてみせる大上が改めてなんとも言えない役どころであった。
1作目は誰にも打ち明けれられない心の葛藤を日岡にだけは漏らしていた。
そういう人間の弱さもまた胸を打つ。


雨が降らぬうちに家へと急ぐ。
今日も逃げきれた。
帰り途中,最寄りのカラオケが閉まっていた。
オアシスが一つなくなった。
アプリ画面でも,栃木県が灰色に。

パラリンピックの開会式。

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