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マダミスオンラインについて

(この記事は謎解きとかマーダーミステリーとか楽しいものを語りたい Advent Calendar 2019に参加させていただき、作成した記事です。)
こんにちは、ましーといいます。
過去に体験型の謎解きゲームやミステリのゲームを作っていました。
また、あんたがたと呼ばれるイベントも何度か主催しています。
今日は僕が作っている、マダミスオンラインについて記事を書こうと思っていましたが、まだシステムの実装があとちょいくらいなので、なぜマダミスオンラインを作ろうと思ったか、を書こうと思います。

体験型イベントの参加費について

最初から話はちょっと逸れますが、体験型イベントの参加費について書きたいと思います。リアル脱出ゲームで体験型イベントを牽引してきたSCRAPは、2010年初頭の頃はチケット代が3000円を切っていました。例えば、2012年の原宿ヒミツキチオブスクラップのこけら落とし公演「マッド博士の遺言状」はチケット代2800円でした。新作の「閉ざされた雪山からの脱出」が最安で3300円なので、7年で500円値上げしたわけですね。

SCRAP以外にも、インディーズで謎解きイベントを開催している団体はたくさん存在します。では、3000円というチケット代はイベント団体にとってどれくらいの値段なのかを簡単に計算してみたいと思います。

イベントを開催するには会場費が必要です。たなかさん曰く、探索なども考慮すると会場のキャパシティの三分の一が謎解き公演の適正キャパだと言っていた気がします。例えばこんな会場を借りてみたとします。最大110名らしいので、1公演あたり、最大35人とします。

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会場費は9時-21時で約15万円ほど。土日2日間公演を想定して借りると、設営日で1日余計に必要なので、会場費は45万円。他人件費などたくさん経費はかかりますが、簡単な計算のためここでは考慮しません。
先ほど2日間公演と言ったので、1日3公演としましょう。ざっくり計算すると以下のようになります。

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マックスの売上から会場費を引くと18万円ですね。というわけで3000円のチケット代だとこれだけの売上が見込める、わけないですね。これはあくまでチケットがソールドアウトかつ人件費も諸経費もなにもかかってない条件です。一旦、人件費と諸経費を無視して、チケットの販売枚数と必要経費の関係をグラフにすると以下のようになります。

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チケットを150枚売って、やっと会場代が稼げる計算になります。150枚という数は決して不可能な数字ではないですが、それくらいの枚数を売り上げる団体って商業含めても片手で事足りる数しかいないのではないでしょうか。SCRAPが売り出した体験型イベントの3000円というチケット代は、自らの首を締める程度に安い価格であるということがわかるかと思います。消費税よろしくチケット代も上がる訳ですね。

そうそう、これはマーダーミステリーの記事を書くのでした。ついでにマーダーミステリーでも同じような計算をしてみましょう。
マーダーミステリーゲームが地方では流行らないと思う件という記事では、マーダーミステリーは、参加費4000円を業界標準として定めていきたいような雰囲気を感じます。ここでは出張GM型と呼ばれる形式で計算してみましょう。
会場はちょっと広めにこんなところでどうでしょうか。10人以下でマーダーミステリーをやるなら贅沢すぎるくらいでしょう。

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ここを4時間借りたとして、11920円かかります。シナリオ制作費を算出するのは難しいですが、パッケージもののマーダーミステリーが3500円前後で販売されていますので、ちょっと盛って1ゲームあたり5000円ということにします。参加者7名、参加費4000円として計算してみます。

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会場費とシナリオ制作費の残りは全てGMが受け取るはずなので、GM費としています。時給換算で3000円弱なので効率がいいですね。マーダーミステリー業界の人々は謎解き業界のチケット代を抑えすぎたという失敗を教訓に4000円という標準を作っているんだと思います。個人的な感想ですが、高くね?

なぜマダミスオンラインをつくろうと思ったか

上で紹介した記事に同意見で、チケット代4000円のイベントというのは首都圏でもハードルが高く、現状大量に新規のマーダーミステリーが色んな企業や個人から提供されていますが、そこに飛びついているのは、TRPGや人狼、謎解きに若干飽きがきた所に出てきた新しい企画に飛びついているアーリーアダプターだけのような印象があります。謎解きのようなコモディティ化は起こらず、一部の人の遊びで終わってしまう気がしています。

マーダーミステリーというゲームは多くのシステムが共通しており、例えば、参加者が各々のシナリオを読み込む、手元のチップと共通デッキもしくはキャラクタのデッキからカード一枚を交換する、キャラクタにはスキルを持つものがいて、そのスキルを使用することによってカードの内容をさらに調査することができる、等。僕は本業がITエンジニアなので、これらは全てWEBのシステムで人の手を介さずに解決できることだと思ったのです。それが作り始めた動機のひとつです。

現状、マーダーミステリーは気軽にできるゲームではありません。シナリオに合わせて人を募集し、GMを依頼し、場所を確保する必要があります。(店舗ではこの限りではありません)なので、ボードゲームのように気軽に遊べるようになったらいいなと思っています。それを実現するために、マダミスオンラインは様々なシナリオを用意して、その場にいる人数に合わせたシナリオを選択し、マーダーミステリーをプレイしてもらえるようなプラットフォームを目指しています。店舗や出張GMでプレイするマーダーミステリーが、謎解きでいうところのホール型やルーム型の謎解き公演だとしたら、マダミスオンラインは持ち帰り謎やWEB謎といった立ち位置になるのかなと思っています。

また、マダミスオンラインでは、様々な人がプレイヤーとなり、様々な人が作り手となってもらいたいという思いがあります。無料でプレイできるものもあれば、有料でプレイできるものもあるでしょう。首都圏の一部のファンだけでなく、地方を含めた沢山の謎解き、ボドゲ、人狼、TRPG好きに届いてほしいな、と思っています。マダミスオンラインは、基本的なプレイスタイルとしてはプレイヤーが対面でテーブルにつき、各自スマホやタブレットを見たり操作してゲームを進行します。また、完全にオンラインでビデオチャットなどを利用して離れたプレイヤーと遊ぶことも可能です。そして、公式(つまり僕)が提供するシナリオはゲーム配信可能とします。一応ミステリを作ってきた人間なので、ある程度シナリオの面白さは保証します。そんな感じで宣伝させていただきましたなぞこさんすみません!

おわり。

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