選挙に関わるようになって、田中英夫先生の言葉が胸に甦る。

わが国では、法を動かすのは治者としての行政庁であるという感覚が強く、それを反映して、私人による法の積極的な運用を促進するための制度的工夫は極めて乏しい。このことは、法目的の実現のための行政上のコストを増大させるという点でも好ましくないが、それよりも遥かに重要なのは、これが「法における民主主義」の未熟さを示すものではないかという点である。政治においても法においても、民主主義は国民の積極的な参加を促す仕組みを組み込んでゆくことが必要である。「法における民主主義」の理想は、羊の群のように従順に法を守ることに尽きるわけではないのである。(「法の実現における私人の役割」(田中英夫先生)東京大学出版会)

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