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もう8年?前のこと•••
山室一幸、ファッション通信チーフプロデューサーが急逝した。
多くの友人が山室さんの死を悼んでいる。
山室さんは、私のハナエ・モリ・インターナショナル時代の1年先輩で、学年は一緒だった。
入社して1年足らずであるにも関わらず、山室さんは既に森 賢会長の絶大なる信頼を得ていた。
私も中学生であったあたりからファッション業界への漠然とした憧れがあって、ハナエ・モリ・インターナショナルに入社したわけだが、山室さんのモードにかける覚悟には遠く及ばなかった。
当時からハナエ・モリ・インターナショナルは、単に洋服を売っているだけではなく、“生活の総合ファッション化”を謳い、映像、出版、美容、モードスクール、レストラン、化粧品、そして生命保険まで、規模は小さいながらも様々なサービスを展開していた。
私には、モード自体の魅力もさながら、そういった総合的に消費者の生活をファッション化することが魅力的に思えた。
ただ、ハナエ・モリは、“その夢”を大きく咲かせるには、その哲学と組織力が今一歩だったんだろうと思う。
山室さんは、その著書「ファッション」で、「いまやファッション・ビジネスは、服飾産業から気分産業へと変容しています。」と書いている。
人が幸せになることをサポートすることが仕事ならば、その”人、一人ひとりの気分”に思いを馳せるのは当然だと思う。
また、鬼才、浜野安宏は、著書「ファッション化社会」の中で、「ファッション・ビジネスとは、人間の生活や生命の実感に新しい活力や自己目的をあたえるために行われる企業活動であり、社会を恒常的変化の時代ととらえ、変化自体に安定条件をみいだし、それに自信を持ち、多層的に積極的に未来を形成し、先取りしていく産業である。」と言う。
常に変容する個々の“気分”に幸福感を入れ込んでやるのが行政の目的だとすれば、細部はともかく、その基本的な姿勢は、行政とファッション産業で、さして変わりはない。
浜野はさらに言う。「ファッション化社会では、長期ビジョンなどいくら考えてもしょうがない。流動状況の中でも柔軟に対応してゆけるものはフィロソフィーである。コンセプトの無い計画は、気のぬけたコーラと同じだ。」・・・
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