見出し画像

大都市の地目別有祖地面積の資料から

令和3年の“大都市統計”にある各大都市の地目別有祖地面積の資料から、商業地区や工業地区、住宅地区を含む宅地面積を抜き出してみた。
これにより各大都市の“街場”の規模が分かる。
宅地面積の大きい都市順に並べると、1位東京都区部、2位横浜市、3位名古屋市、4位札幌市、5位北九州市、6位新潟市となる。(青色で示した)
宅地面積の小さい都市順に並べると、21位相模原市、20位堺市、19位静岡市、18位川崎市、17位さいたま市となる。(オレンジ色で示した)
なお、都市の総面積の大きな都市は、上位から静岡市、浜松市、岡山市、広島市、札幌市、東京都区部(青色)であり、下位の都市は堺市、川崎市、大阪市、さいたま市、相模原市、千葉市の順となる。(オレンジ色)
これを見るだけでも、静岡市や浜松市、岡山市、広島市、京都市は、総面積の割に宅地(街場)の面積が少ない。さいたま市や千葉市、川崎市、相模原市、堺市は、さほど大きくない都市の総面積に見合う程度の街場の面積となっている。
過日、さいたま市で数字を漁ってみたところ、近年の住宅供給数の増減が人口の増減に比例していた。
それを考えると、都市の発展というものが今後も人口をさらに孕んでいくことと仮定するならば、人口増の基本的な条件としては、住宅をさらに将来に渡って供給できるだけの未利用地が各都市には必要であろうと考える。
そこで、各大都市の宅地以外の部分で、田、畑、山林が一定の広さを残すことが、都市が発展する基本的な条件なのではないか。
もちろん田や畑、山林は自治体各々の“第一次産業が利益を生む土地”でもあり、それらが全て開発されて宅地になるとは思わないが、少なくとも田、畑、山林がほぼ無い都市は、なかなか今後の人口増は見込まれないのではないか。
このように非常に単純な仮説で切り込んでしまうが、まず、田、畑、山林の多い大都市を上げてみる。
1位が静岡市、2位が浜松市、3位が新潟市、4位が広島市、5位が岡山市となる。
次に田、畑、山林の少ない大都市を上げてみる。
1位が大阪市、2位が東京都区部、3位が川崎市、4位が名古屋市、5位が堺市、6位がさいたま市となる。堺市や川崎市、さいたま市は街場の面積も少ないが、それを拡大しようとしても、田、畑、山林の面積も少なく、なかなか更なる住民を取り込むだけの伸びしろが無いような数字となっている。
それに比べて田、畑、山林が街場面積に比べて非常に多い静岡市、浜松市、新潟市、広島市、岡山市等は、もちろん緑に恵まれているほか、都市自体の面積も広く、中ほどに奥まった交通の利便性の悪い山林等が恐らくは多いのだろうが、今後の都市の将来の在り方や人間の働き方、生活の仕方如何では、人口増を睨んだその土地活用の可能性が無限に期待できるのではないかと思うのだ。
マクルーハンはこう言った。“ファイリングキャビネットが、われわれの生活になんら影響を及ぼさなくなったとき、自動車はこの世から姿を消す。閉回路方式のテレビが古いグーテンベルグ方式のファイリングキャビネットの依存にとってかわる。このとき、人々は仕事を家庭でするようになるだろう。会社へ車を走らせる用もなくなるのである。”
それは都市の存続・発展の条件として今までは当たり前のように言われてきた"交通の利便性"が、今後その条件からはずれるのではないかという期待感を呼び起こす。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?