今日の日経社説は、デジタル政府を進めよとのタイトルで、行政手続きのオンライン化という長年の課題を、マイナンバーカードの機能を充実させ、使い勝手を高めることで実現せよと訴えている。

その中では、健康保険証等証明書類の一体化や、医療情報の連携、解析が必要であるとするが、そもそもこのような視点だけでマイナンバーカードが普及するだろうか。

どうもこれらの主張には疑問に思うところがある。

それは、事務手続きの効率化という視点から、マイナンバーカードの利点が国民の個々に訴求できているんだろうかという疑問。

そもそも従来の役所の窓口では、個々のサービスを受給するための手続きが各々独立してなされていたわけじゃないということ。

個人には、その地理的な異動や社会、身分上の異動、心身の状況変化等によって、様々な公的サービスの受給や変更等が必要とされるわけで、それらをうまく、相談をうけながら調整し、様々で必要なサービスを個々に収斂させることこそ、役所の窓口の本質である。

で、電子政府の推進においては、本質的な役所窓口の役割、まあ、コンシェルジュ機能というか、総合案内機能というか、そういった部分が理解されているのだろうか。

公務員機能がAIに容易く置き換えられるという記事も見るが、そういったコンシェルジュ機能のことを考えても、置き換わりは難しいだろうと思う。

なんといっても、一番不可解で複雑で多様な人間を総合的に扱う仕事だからだ。

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