学校や職場においては、人間の関係性は結ばれやすいと思う。言わば半強制的に一箇所に人間は集合し、仕事や学問など、一定の共通した目的の元に多様な関係性を結んでいく。

しかし、大きな都市においては、隣近所で、あまり“意味ある交流”が盛んではない。挨拶をし合えば良い方で、お互いに何らかの利益や交流の喜びが生まれるような意味ある交流は無い。

人と人がすれ違っても、言葉を交わすこともなく、瞳を交わすことさえない。このような殺風景なコミュニティにおいて、防犯や災害時にスムーズに助け合いが推進されるために、さらには、より人間どうしが触れ合い、コミュニケーションすることの喜びを得るために・・・、様々な人の繋がりをもっと広げるにはどうしたら良いのか。

やはり、普段の生活では得がたい、交流の場を形作りながら、具体的に人と人の間で、各々の人が必要とするモノやコト、情報の交換をさせることで、互恵性のある繋がりを作ることが必要だと思う。

このような言わば”社会デザイン”は、人間とコト、モノの関係性を操りながら、人と人の間に絆を作り出す行為であり、新しい意味を生活の中に生み出していく。

そこで、地域において展示会型とでも言える小さな市場を展開したい。

よくビッグサイトなどで行われる、会社のブースを並べて物販や情報交換を推し進める展示会。そんな催しをコミュニティの中で頻繁に開催したい。

それは、昔からの祭りでもいいのだが、また、いわゆるフリーマーケーットでもいいし、ちょっとしたヨガスクールでも、マッサージでも、占いでもいい。手作り品の販売でもいい。地域の皆が集まり、各々の特技を生かしながら、コミュニケーションや、モノ、コトの交換を推進していく。

こんなことの繰り返しが、人間どうしの触れあいを増やし、コミュニケーションすることの喜びを生み出すことだろう。

善意とかボランティア意識を元に人が交流するということではなく、自分のためにもなり、人のためにもなる、展示会型市場の開催。

これはコミュニケーションデザイン、コミュニティデザイン、そしてソーシャルデザインである。
近所の人々が無理なく楽しく交流するためには最適な取組ではないかと考える。

one to oneのサービス、または、個人のニーズを踏まえ、総合化されたサービスの提供、個々へのサービスの収斂と言えば良いのか、これら住民の個々のニーズに向けてカスタマイズされたサービスが、住民の満足度や幸福感の増進に資するということを考えると、市民に身近な地域において、地域住民がお互いに個々のニーズに触れ、地域で決め細やかなサービスの創造に取り組めるということも重要であると思う。

そのような目的のために、この展示会型の取組は効果が高いのではないか。

このような“展示会型”の催しは、その場で住民が相互理解をしあえるという意味で、”リアルな出会いの場”、そして、一種の“地域メディア”として、互いの関係性を構築するという存在意義が極めて高いと言える。

これらを考えると、この展示会型の取り組みは、ハーバード大学のスティーブン・ゴールドスミスの言うネットワークによるガバナンス、非公的な社会ネットワーク、新しい公共といったものを推進する重要な手段として、今後もとても期待が大きい取り組みであると思う。

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