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区役所の窓口については、組織も手続きも基本的には縦割りになっていることから、市民を起点として手続きの在り方を考えた時に、ワンストップ化が課題として随分前から挙がっていて、さいたま市では、十数年前に転入転居等のワンストップ化を図るパッケージ工房を各区に設置した。
このパッケージ工房では転入転居に伴って発生する住民票や戸籍(婚姻、死亡、出生等)の手続きから、国民健康保険の資格届出、国民年金の資格届出、児童手当の届出、介護保険の資格届出、各医療費の資格届出、母子健康手帳の交付等々を受けている。
この段階で住民異動に係るワンストップ化は導入が済み、あとは市民がライフステージ毎に必要な手続きを、そのライフステージ毎にワンストップでご案内することができれば良いなとずっと思っていたところ、死亡時の手続きを遺族が迷うことなく整理ができて、一元的に対応できる“おくやみ窓口”を設置しようという動きが全国的に散見されるようになってきた。
そのような“おくやみ窓口”の動きには、死亡時をライフステージと呼んでいいものかどうかは分からないが、区役所の各部署の枠を超えてできるだけワンストップに対応しようというコンセプトが見られる。
もちろんできうることなら各事業システム毎に蓄えのあるサービス受給情報を、市民個々の情報をキーとして横断的に活用して、一括した事務処理も行えるようになるのが理想だ。
しかしながら、さいたま市のような大きな自治体では、各事業システムは様々なベンダーが各々開発しており、そう簡単に情報の横断的な活用をすることは難しい。
柏市は様々な事業システムを一つのベンダーが一括して開発しているようで、〇〇さんがどのようなサービスを受給しているのか、すぐに調べることができるという。
そのような状況の中、さいたま市の“おくやみ窓口”では、市民の方がどのようなサービスを受給していたのかは、それぞれの部署でそれぞれの事業システムから確認して、その情報をおくやみ窓口に集約をしていくことになるので、その情報の集約等のコミュニケーションにはメールや共有フォルダを利用することになる。
このおくやみ窓口には、今まで実現ができなかった手法が多く取られている。
それは、おくやみ窓口の手続きが資格喪失を起点とするものが多く、資格の審査が不要なものがほとんどであることから導入が容易であるということもあるのかもしれないが。
その手法とは、区役所内の手続きの一括抽出・整理、予約制、届出書の一括印刷と受理である。これらが一つの窓口でライフステージ(死亡時)単位で整理され、市民への対応が実施されるのは、いわばそれが手作業(特段の新たなプログラムが組まれることも無く)で実施されるとしても画期的なことだと思う。
この“おくやみ窓口”の設置を、ただ個別的な、たまたま遺族への特段の対応が必要だったから実施されたものと捉えるよりは、全てのライフステージ毎の対応のあるべき姿であると捉えることが必要だと思う。
さいたま市では、“おくやみ窓口”での対応の他にも、インターネット上で必要な手続きを簡単な質問に答えることによって抽出できる“お悔やみ手続きガイド”も用意した。
“おくやみ窓口”も“おくやみ手続きガイド”も各々の市民に必要な手続きが整理できるのだから、"おくやみ窓口"の対応がリモート化されて、“おくやみ窓口”と"おくやみ手続きガイド”の先が電子申請に繋がるとするならば、リモート手続きが完結して便利なことこの上ないだろう。

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