DX:高齢者をどうDXの世界に引き込むか

日立の自治体ICT応援サイトには、「令和3年版 情報通信白書」では86.8%の世帯でスマートフォンを保有していることが公表されていると書いてあった。
しかし、なんで個々の話じゃなくて世帯の話なんだと思ってしまう。
手続きは個々でするものなのに、しかも、この数値は保有する者の数値であって、利用ではなく保有者の数値だし。(-_-;)
いずれにせよ、電子による行政サービスの在り方において、人間が機械のデジタルデータの処理に繋がる“ポータルな窓口”はスマートフォンなりタブレットなりに統一するということにしてもいいのではないか。
「令和2年通信利用動向調査」の結果を見ると、平成28年にはパソコンと固定電話の利用者数をスマートフォンの保有状況(世帯)が逆転し、個人のモバイル端末保有状況におけるスマートフォンの保有状況も他の端末と比べて突出した伸びを示しており、令和2年には、既に69.3%の人が保有している。
インターネットの利用機器の状況を見ても、パソコンの利用状況50.4%を超えて、スマートフォンは68.3%となっている。
しかしながら、高齢の方々はまだまだスマホを保有し、それを活用している方は本当に少ない。
同調査における年齢階層別インターネット利用機器の状況を見ると、13歳から59歳までのスマーフォンの利用状況は80%から90%前後を示しているが、60歳から69歳までは64.4%、70歳から79歳までは35.6%、80歳以上は9.3%と低くなる。
この高齢の方々のスマートフォンの低い利用状況こそ、DXの前に立ちはだかっている大きな課題であるということが現実だ。
これを各自治体における政治家は無視できないというのが本当のところで。
DXが実現したとしても、彼らの意向により例外的で非効率な高齢者に対応した方策を残すような方向性に施策が向きがちだ。
まあ、もしかすると、高齢者のスマホの保有割合やそれによるインターネットの利用率を高めることはそう難しくないかもしれない。
そのレバレッジポイントとしては、子どもや孫と情報のやり取りをするSNSの更なる普及や、ここのところ旧来のテレビ番組がネット上に載りつつあるので、そういったコンテンツがスマホの利用を向上させるのではないかという期待だ。
ただ、スマホの所持者やインターネットの利用者は増えるにしても、行政手続において高齢者とスマホとの間にある電子申請のインターフェイスをどうするんだ、直感的に使いやすいインターフェイスをどすうるのかということが、高齢者がスマホを“活用”できるようになるための鍵なのにも関わらず、その部分で上手い解決策がありますよといった話はどこからも聞いたことがない。
ここさえ解決できれば、スマートフォンがやっと行政サービスの窓口として重要な役割を誰にも遠慮せずに自信をもって担うことができるようになるのに。
皆、この部分は課題としてまるで見ないようにしているような感じだ。
「令和3年版 情報通信白書」におけるインターネット利用端末の種類に係る資料を見ると、スマートフォンの利用率が他の端末に比べ最も高いというけれども、普段利用しているインターネットサービスでは、インターネットを使用した公的サービス(行政サービスなど)の利用率は19.7%と低くなっており、高いのはショッピング73.4%、支払い・決裁 66.9%、地図・ナビゲーション 61.4%となっている。
インターネット上の討論番組ニュースピックスでは、富野悠季さんが、“ネットで皆が話し合いをするようになって意思疎通ができるようになるって言っていたけど、結局PC(ネット)は通販を便利にしただけだよね。”と、落合陽一に詰め寄っていた。
2022年度中にマイナポータルの電子手続きがスマートフォン上で利用できるようになるという夢?のようなスケジュールを国は示すが、まあならないだろうし、自治体の全てが電子申請のポータルサイトとしてマイナポータルを活用する分けでもないだろう。
もし国の言うことが早々に実現したとしても、その電子申請の内容は、区役所等の窓口で紙ベースの申請書を出す代わりに、デジタルデータで申請を役所に届けるということだけで、電子申請がシームレスにその後の基幹システムにおける迅速なデータ処理に繋がる分けでもないだろうし、そもそもが各分野別に稼働するシステム間の個人情報の扱いを統一しようとするだけで膨大な工数と経費、日数がかかってしまうようだ。
この各基幹システムを横断したデータの統一、そしてそれによる縦横無尽なデータ活用の実現こそが、“今回”のDXが解決すべき本当のポイントだし、デジタルデータを当たり前に横断的に活用できるようになることがDXの取組の基本中の基本であろうと思う。
もうそれだけでいいのにと思う。
派手なスタンドプレイは要らないなと思う。
デジタル情報の縦横無尽な活用ができるような基本条件の整備こそ必要なものだと思う。

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