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危機に支配されるとき

人間の心が危機に支配される時、未来に向けた時間の概念は持ちにくくなる。現在意識が常に人間の意識に浸透して、今のことしか考えられなくなる。
現在がそのままずっと続いてしまっている感覚のまま未来への到達が信じられなくなる。このような風潮の中ではアートは死に、イノベーションは忘れ去られ、価値観は多様性を失い、個人は大衆化して、新鮮味と喜びの無い時が続いてしまう。
そして政治を選択する意欲さえ失われ、支配されることに鈍感になる。
リアリズムは過去と現在の無条件の肯定であり、そこにクリエイティブネスは全く垣間見えない。
未来へと時が進みつつある中で、その中でも未来への変革がスピード感をもって進む必然性が無い文化が細切れに残る。そういった未来感と過去を背負った現実世界が混沌として共存する時、そこに現れる世界こそがサイバーパンクだ。
未来への希望と過去への郷愁がほどよく混ざりあったサイバーパンクの世界観は、ほどよく人間の心に安心と安らぎを与える。

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