見出し画像

日経新聞記事1月10日付に・・・
地方公務員に「共通資格」政府検討、
別自治体に転籍しやすく
が掲載された。
政府は地方自治体の職員が別の自治体に転籍しやすくなる「共通資格」の導入を検討する。結婚などの事情で引っ越しても転居先の役所での勤務を促す。人材の流動性を確保して自治体の職員数減少に歯止めをかける。
自治体職員が配偶者の仕事や親の介護の都合で勤務する自治体外に転居しても公務を続けられるようにするのを念頭に置く。行政機関で勤務した経験に基づく知識やノウハウを持つ人材をいかす狙いだ。
総務省は研究会で職員がキャリアを継続しやすくなる事例を分析して具体策を詰めていく。
・・・とされる。
今後の若年者人口の減少を考えるならば、この制度により小規模自治体から大規模自治体への職員の流出を危惧する声も、また、自治体間で有能な職員の奪い合いが起こることを危惧する声も聞こえるが、別自治体への転籍が増えることで、適材適所による職員のキャリア形成が適切に行われ、職員の能力の発揮や充実感の醸成が図られるとするならば、それはそれなりに良い試みなのかもしれないが、ただ、別に「共通資格」は不要であると思う。
各自治体職員の能力は個々に個性のあるもので、特段共通の能力や資格を元に彼らの資質を考える必要は無いはずだ。
職員をただの単純作業に携わる労力として見くびって見ているのではないか。
2月に開幕するJ1リーグに向けて、浦和レッズに新たな選手が二人加入した。
一人は徳島ヴォルティスから加入した岩尾 憲選手、もう一人は大宮アルディージャから加入した馬渡和彰選手である。
二人は浦和レッズのリカルド・ロドリゲス監督が徳島ヴォルティスの監督であった時に同チームにおいて同僚としてプレーをしていたが、この二人がネット番組において、サッカー選手のキャリアについて語っている。
二人の興味深い対談の詳細については、ネット番組を見ていただきたいが、馬渡選手のキャリアに係る話がたいへん印象的であったので紹介したい。
馬渡選手は今まで各球団を、各々たいへん短い所属期間で渡り歩いてきた。
彼は東洋大学卒業後、苦労してガイナーレ鳥取に入団すると2年でツエーゲン金沢へ。次の年には徳島ヴォルティスに移籍すると、また1年でサンフレッチェ広島へ移籍した。
その1年後には川崎フロンターレに加入して、次の年は湘南ベルマーレと大宮アルディージャで1年を過ごすと、2022シーズンから浦和レッズに移籍した。
彼は常に自分の能力レベルや弱点を素直に受け入れつつ、その向上に意を用いるとともに、各チームにおいて自分の能力を最大限発揮してチームに貢献しようとしてきた。
そして、チームの指導者の発言に素直に耳を傾けて、信頼できる指導者については、その元で勝利に貢献しようとしてきたし、チームの戦略と自分の能力に齟齬があると感じた場合は、自ら新天地を模索している。
その基本的な考え方は、常に自分の能力を発揮しつつチームに貢献しうる状況に身を置いて、自分がその喜びを得ながら自分の夢を追いつつ達成感を得ようとするものだ。
その態度は、人生の道筋を真摯に考えていて、たいへん共感を覚える。
そして、このような人生の送り方はサッカー選手のみならず、公務員であっても会社員であっても必要なものではないだろうか。
個々の個性を人生を通して生かそうとするならば、それは上司の哲学や組織の特性との相性を考えつつ、自分の能力が発揮できる場を自ら求めていくことは必要なことではないか。
このような人生を過ごそうとするならば、大学を卒業して最初に入った組織で人生をそのまま定年退職まで過ごすということでは実現しないものだと思う。
だからこそ、公務員のキャリア形成のために、職場(自治体)間の流動性を求めたい。
そこに職員共通の資質や能力を求める必要は無い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?