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自立分散協調が協働のスキル

「ネットワークによるガバナンス(学陽書房)」は、『ネットワーク化された世界では、政府は、より”つなぎ役”を必要としている。そして、新しいネットワークスキルを持った人材を必要としている。』と言う。

また、『そのスキルとは、協働のスキルのことであるが、そのような能力を育成していくためには、厳しいトレーニングや採用戦略のみならず、完全なる文化的転換が求められている。そして、「公務員」そのものの定義を変える必要もある。』とする。

このような協働の手法(スキル)の一つに、英国を源とするIPW(専門職連携)(Interprofessional Work)という考え方がある。

これは、サービスを必要とする要援護者や患者の各々に、適切なサービスが収斂することを目指して、ネットワークやチームを構成する様々な専門職や担い手自身が、利用者本位の視点を持って、サービスをコーディネートしようとするものだ。

今までは、サービスを提供する専門職や担い手の間に、コーディネーターを別に置くことが多かった。
しかし、このコーディネーターは、サービスではなく、組織をコーディネートしようとしていたため、”組織”や”個々の限定された役割や責任”の壁を打ち破れずに、十分なサービスを過不足なく要援護者に届けることができていなかった。

そして、そのような役割を担える人材を育成するために、また、従来からの文化的転換を行うために、IPE(Interprofessional Education)という人材育成のプログラムが用意されている。

このIPW、IPEは、従来から課題となっていた、①連携の隙間に落ちがちな要援護者をどう救っていけば良いのか。また、②担い手の中心にしばしば置かれるコーディネーターというものが、必要なサービスをコーディネートせず、不十分なまま”担い手”をコーディネートしてきたこと。そして、③コーディネートやサービスを提供することの責任の在り処が明確でなかったことなどに対し、たいへん有望な解決策として考えられているものである。

その連携は、固定的でなく、案件や状況によって、ネットワークやチームは形を柔軟に変えながら適切なサービスの提供を目指す。
その連携の在り方は、全体を統括する主体をもたずに、分散して存在する各要素が自律的に行動し、協調的に相互作用しながら、全体として適切な振る舞いをする”自律分散協調システム”と考えを同じにしているように思う。

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