さいたま市って本当はどんな町なのか
さいたま市って本当はどんな町なのか、先入観無くデータを見て確認したい。
国土交通省の首都圏広域地方計画(平成28年3月)からデータを見ていく。
さいたま市という地域に限ったデータだけでは、首都圏全体で暮らす、楽しむ、もしくは経済活動を行うといった活動をダイナミックに行うさいたま市民の実感をとらえることができないだろう。さいたま市の真の魅力を探る時は、まず広域生活圏たる首都圏の特性を見ることが肝要だ。
さいたま市内に市民の活動に繋がるコンテンツが無くても、首都圏の持つ様々なコンテンツをさいたま市の交通の利便性等から容易に利用できるならば、それはさいたま市の強みとしてとらえないと、さいたま市の本来の魅力を導くことができない。
※首都圏広域地方計画(平成28年3月)から抜粋
〇首都圏の内陸部から江戸・東京へ至る舟運のネットワー クが形成された。
〇治水事業等により洪水からの防御と平野部における新田開発も可能になり、都市として発展した。
〇気候としては、南北に細長い我が国の中では比較的穏やかであり、四季折々の自然の変化を身近に楽しむことができる。
〇我が国最大の平野である関東平野がほぼ中央に広がっており、 総面積から林野面積と主要湖沼面積を差し引いた可住地面積の占める割合も 52.0%と、全国の圏域別で最も大きい。
〇富士山や南アルプス等の標 高3千メートルを超える山々が連なり、それらの麓に位置する那須・志賀・ 軽井沢等の高原は避暑地としても利用されている。
〇草津・伊香保・水 上・箱根等の温泉地も点在している。一方、九十九里・鴨川・館山・湘南等 の海岸では海水浴も楽しむことができる。そして、これらの自然が里山・里 海、さらには大海原へと連続している。 このように、東京という巨大な世界都市を取り囲むように、多様で多彩な自然が都心からわずか2百キロメートルのエリアに凝縮している。
〇人口分布については、東京都区部を中心に広がる市街地に高密度な集中がみられるほか、県庁所在地等にも人口が集中している。
〇日本経済を牽引する中枢機能の経済面では、首都圏の域内総生産は約192兆円にのぼり、これは、全県計の総生産の約4割を占める。
〇農業算出額(2013年)は全国の約5分の1、製造品出荷額(2013年)は全国の約4分 の1を占めている。
〇金融面では、東京証券取取引所における株取引 は国内株取引の97%を占めている(2012年)。
〇企業本社は60%、外資系企業の本社の88%が東京圏に立地している。
〇このように、首都圏には、我が国経済の中枢機能が集積しており、首都圏 経済は日本経済の牽引役として大きな役割を担っている。
〇首都圏の産業構造を更に詳しく見てみると、東京圏と、東京圏以外の首都 圏とで産業の構成比が異なっている。東京圏はサービス業や商業等の第3次 産業が82%を占める一方、東京圏以外の首都圏は東京圏と比較して低く、こ れらの地域では第1次産業及び製造業等の第2次産業の比率が比較的高くな っている(2009年)。
〇近郊地域では高度経済成長期に、工場等の立地が進んだ。
〇圏央道や北関東自動車道の沿線地域では、既存産業の集積や道路整備にともなう交通アクセスの利便性向上に加 えて、労働力の確保や災害時の事業継続性の観点等を要因とする工場や物流 施設の立地が進んでいる。
〇首都圏は全国の学術・研究開発機関従事者の約5割(2009年)を抱 えるほか、全国の大学・短大のうち約3分の1(2012、2013年)が首都圏に立地5 しており、特にライフサイエンス、ロボット、航空宇宙及び環境などの 先端分野の研究開発にアドバンテージがある。
〇世界文化遺産としては、「日光の社寺」(栃木県)、「富岡製糸場と絹産業遺 産群」(群馬県)及び「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」(山梨県)の3件が 登録されている。 また、歌舞伎やアニメ等のポップカルチャーに至るまで、多様な芸能文化 を発信してきているほか、日本三大祭りに数えられる神田祭(東京都)や、 日本三大奇祭に数えられる吉田の火祭(山梨県富士吉田市)など、有形無形 の特徴的な文化資源を擁している。
〇世界4大都市圏(東京圏、ニューヨーク都市圏、ロンド ン都市圏及びパリ都市圏)で比較しても、東京圏は人口及び域内総生産(G RP)の面で圧倒的な集積がある。東京が世界都市として国際社会の中での 地位を引き続き維持し発展させていくことは、首都圏の国際競争力の強化に 直結するだけでなく、ひいては日本の国際競争力強化にも資する。
〇1950年 代以降、全国から東京圏への人口流入が、バブル崩壊後のわずかな期間を除 き一貫して続いている。大阪圏及び名古屋圏と比較すると、1970年代の半ば 以降、大阪圏及び名古屋圏は転出入が差し引き数万人以内のほぼ横ばいで推 移しているのに対して、東京圏だけが突出し、かつ一貫して転入超過となっ ており、全国規模で首都圏への人口流入による一極集中が続いている。
〇2025年以降の高齢人口についてみると、東京圏以外の広域首都 圏で高齢人口が減少することになるが、東京圏では高齢人口が加速度的に増 加すると推計されている。
〇東京圏が戦後復興を経て国際競争力を高め、経済成長を遂 げる中で、一極集中が進展してきた。一極集中は、東京圏にとって経済効率 性を高め、国際社会での東京圏の存在感の向上にも寄与してきた側面がある。その一方で、東京圏にとっては過密・ 渋滞・混雑の問題を発生させ、地方にとっては若年人口の流出による活力の 低下等の弊害をもたらしてきた。
〇東京圏へ中枢機能の集積が更に進展することは、それら中枢機能が同時に被災するリスクをますます高めていることにほかならない。
〇2025年以降の高齢人口についてみると、東京圏以外の広域首都 圏で高齢人口が減少することになるが、東京圏では高齢人口が加速度的に増加すると推計されている。
※これらを簡単にまとめてみると、首都圏の特性、魅力とはそのままさいたま市に居住する魅力となっていることが分かる。特に、近年の被災リスクの高まりを考えるならば、なおさら首都圏の中でも安全性の高いさいたま市が選ばれていることに納得がいく。
さいたま市への転入者の数が緩まないのは、もちろん歴史が育んできた魅力的な文化の存在は勿論のこと、このような地政学的な要因を踏まえて時の流れが導き出したというところが多く、首都圏の市町村の施策は、街の発展、人口集積等を後追いしながら町を整備してきたものと言ってよいのではないだろうか。
さいたま市とは首都圏における言わば典型的な地域であり、その特性を簡単にまとめるならば、さいたま市(首都圏)は、治水により洪水が防御され、新田開発も進み、その気候も穏やかで四季を楽しむことができる、居住面積も広いサイトであり、身近なところに避暑地や温泉、海辺に恵まれている。
文化遺産や歌舞伎からポップカルチャーまで多様な芸能文化に恵まれている。
その一方では、その地勢的な魅力により人が集積し、経済の中枢機能が圧倒的に育つに連れ、ますます人口流入による一極集中が続いてきた。
そのため、過密、渋滞、混雑が問題化するとともに、高齢人口が加速的に増加することとなった。
さいたま市の将来は、市民がその未来にどのような意図をもって街づくりを行っていくのかということは勿論だが、このような首都圏の地勢的な特徴や、その特徴から形成されてきた文化や経済力をもって、国や世界にどのように貢献しようとするのか、国や世界から俯瞰することで露わになるさいたま市(首都圏)の立ち位置から考えていく必要がある、というか、国づくりの動向とその地政学的な特徴からその未来は決まってくると言っても間違いではないだろう。
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