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人々は街(都市)に何を求めているのだろう

様々な住宅情報会社から街の人気度調査がなされて、その結果が発表されているが、以前、関東在住のインターネットモニターに訊いたことがある。
いったい人々は街(都市)に何を求めているのだろう。
そのような基本的な疑問を明確に解決したかったのだ。
その結果、“一度は居住してみたい街”を選択するにあたっては、人々は自然や緑、静けさ、食事のバラエテイ、お洒落であることなど、情緒的な選択理由を挙げる人が65%となった。
生活や交通の利便性や、都心に近い、住み慣れている等の言わば合理的な選択理由を挙げる人は25%だった。
しかし、長く居住したい街を選択する理由としては、人々は自然や緑、静けさ、食事のバラエテイ、お洒落であることなど、情緒的な選択理由を挙げる人は35%となり、生活や交通の利便性や都心に近い、住み慣れている等の言わば合理的な選択理由を挙げる人は55%と増えた。
各自治体が据えるターゲットはどちらなのだろうか。
一度は居住してみたい街を望む人なのか、長く居住したい街を望む人なのか。
ターゲットをどう捉えるかによって、街づくりの施策もプロモーションの方向性も異なってくる。
どちらにしても、やはり街の利便性を望む声は大きい。ただ、その一方で静けさや穏やかさ、平穏であること、安心感、やすらぎを求める傾向もそれなりにある。
また、歴史的な雰囲気を街に求める声や、飽きない魅力を望む声もある。
東京都心の東西南北に放射状に位置する東京圏の衛星都市は、生活や交通の利便性ということではそう差の無い魅力を抱えているといって良い。
それは自治体が“どこ”に位置するのかということで、自治体の施策がどうであろうと左右されない要因だ。
あとは、人に長く定着してもらおうといった部分で他の自治体に先んじようとするならば、利便性がある一方で、静けさや穏やかさをどう確保して、奥深い魅力をどう醸成していくのか。
そのような施策をどう展開していくのかということにかかっている。
ただその地域の利便性を謳うだけでは、他の街との差異を訴えかけることはできない。
情緒的な満足を街にどう醸成するのか、それが根源的な施策の方向性として位置づかなければならない。
情緒的に心に訴えるような街じゃなければ、積極的な街づくりへの市民参画だってそうは盛んになる分けはないんじゃないか。

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