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■客観的な評価とは何か

評価に客観性を求めるために、一つには評価のスコア化が可能かといった問題があります。
評価を具体的にスコア化することにより、客観的な評価が可能になるという意見もありますが、スコア化の難しさ、そのスコアの評価分析の難しさを感ぜずにはいられません。
住民に事業実施状況に係る情報を提供する際にも、その事業の成果をグラフ化して表現することにより、市民の理解が進み、市民の行政事業への関心がアップするといった意見もあります。
しかしながら、事務事業評価結果については、このような“統計的な処理”がどこまで適しているのかは疑問です。

アメリカの行政効率化コンサルタントのデビッド・オズボーンは、著書『行政革命』において、「数量ではあらわせない重要な成果もあるし、膨大な事務処理には多くのお金が必要なので、そうまでして数量化しなくてもかまわない成果もある。さらに定量化はできるが、定量化することが大切なのかどうか明らかでないものもある。このような理由から、量的測定と質的測定を合わせて利用していくことが大切である。」と言います。

これを、もう少し言うと、どの程度のコストが、その事業の成果に見合った適当な額であるのか、それを判断する基準が単純に設定できないということです。コストと結果が関数関係にあるとは限らないよ(関係性に明確な法則性が無い)ということです。

『公会計革命』(桜内文城著)には、「公共部門の活動について会計的な意味での行政評価ができるかという点で、NPMの姿勢は壁にぶつかっているように見える。・・・たとえ財政的には赤字となってもやらなければならない事業がある。・・・今後、行政評価手法がいかに精緻化されようとも、それらの成果に対する貨幣的価値は、所詮フィクションの域を出ない。」という記述もあります。

そういったあやふやな関係があるにも関わらず、効果性や効率性について、事業の全てにおいて関数関係があるかのごとく、グラフに落とすなどして単純化して示すということは、一見、複雑な案件が関数関係を持って理解しやすく示されているように思えてしまい、かえって誤解を生むことになります。

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