ブランドとは何か、ブランドをどう活用するのか。

ブランドとは何か、ブランドをどう活用するのかということを改めて考えてみましょう。
東海大学の河井先生は、さいたま市が主催した研修会の中でこう言います。
“市民の方がそれぞれの個性を地域で活かし、自らの能力を発揮して、自分の居場所、立ち位置を地域で確固たるものにすることで、シビックプライドやアイデンティティが獲得され、地域の魅力が掘り起こされることになります。そしてその結果、地域のブランドが形成されます。”
そして、そのような市民の取組の中から立ち上がった地域の魅力やブランドが、市民の口から市外にも伝播していくという話だと思います。
まず地域は、ブランドを自分の手に入れるまでに、このような条件というか、前提として“市民の活躍・能力発揮、そしてそれによる地域の魅力の掘り起こし“が必要であるということでしょう。
これを考えますと、ブランドとは、地域、そして地域の皆さんの活躍を元に生まれ、その結果として魅力が結実したものと言ってよいと思います。
ブランドは、地域住民の活躍や、それによって生まれ、伝播され、根付き、継承される地域の文化のようなものから滲み出てくる地域の本質のようなものなのでしょう。
まず、広告代理店がエイヤで作ったブランドが突然地域に降りてきて、それ在りきでブランドの活用を考えるのではなく、まずはじっくりとブランドを滲み出せるような着実な地域活動等の取組を行い、特徴ある地域文化を醸成することこそ大切な事柄なのではないでしょうか。
まずはそこをしっかりと地域はやる。
総合振興計画等を策定してしっかりと、計画に位置づく事業を、市民、事業者、行政が一体となって進めることが大切です。
あまり早急にブランドの立ち上げを考える必要は無いと考えます。
そして地域における市民の活躍が地域の文化を醸成しつつあるような状況が生まれてくれば、おそらくは誰の目にも納得感のあるブランドがそこに浮かび上がってくるのではないかと思います。
それは、地域の皆さんの存在意義そのものや、譲ることのできない地域創造コンセプトなどを包含したものとなるでしょう。
このようなプロセスを経てブランドが適切に形成されてから、やっとそのブランドをどう活用しようかという話が浮かび上がります。
ここまでは無事に地域がブランドを浮かび上がらせるプロセスを進んできたとして、次は、そのブランドにどのような期待感をもって活用していこうかということがテーマとなります。
ブランドにどんな性格を帯びさせて活用していこうか。つまり、いわゆる「ブランドって何なの?」という部分ですが、参考書の類には本当に色々書いてあります。
フィリップ・コトラー教授の与えた定義が一般に広く承認されていると思いますが、コトラー教授は、“ブランドとは、個別の売り手または売り手集団の財やサービスを識別させ、競合する売り手の製品やサービスと区別するための名称、言葉、記号、シンボル、デザイン、あるいはこれらの組み合わせ”であると言います。
なかなかブランドに定義を与えるのは難しいのですが、ここでは、私はこのような形で定義を書かせていただきたいと思います。
ブランドとは、それを顕在化、表出させることによって、自治体と市民または市外の方々との間に価値観や精神性における共有感を生みます。要は、「好ましさやユニークさ、良い品質であることや信頼感というものを、市民の方、市外の方に感じさせていきましょう。そして、本市を選ぶという行動変容を起こしていきましょう。
そういうことを導くようなイメージを抱えたフレーズであり、表象である。こういったものをブランドと呼びたいと思います。
何にもましてブランドは、特性のある地域文化や生活態様、優れたサービスなどと結び付き、夢やあこがれ、未来感を醸し出すものです。

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