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高円寺は人を自由にする

高円寺は人を自由にする。
高円寺で売っている古着のことだ。
店も出回る商品もその数は多くて、価格も安い。
良い材質の服がファストファッションと同様の価格で手に入る。
しかも高円寺の古着にはファストファッションの商品のような、形だけとりあえず整えました!みたいな品の無さが無い。
それぞれの古着は前に着ていた人たちの人生の時間や体験が程よく染み込んで、その多少のよれ感に我々は安心する。それは他の人と洋服の選択を共有する安堵感だろう。
高円寺は、ファストファッションのような経済戦略、つまりギシギシ利益を追求するような細かさや、洋服を一人の価値観だけで選択しなければならない緊張感、そして、人生をこの街で一人で歩まなければいけない不安感から、何気に人を自由にする。
高円寺の古着屋の店員が概ね優しいのは、こういったことを十分身体で理解しているからだ。
彼らは人の時がいっぱい詰まった古着に、自分の時や思いを重ねてコーディネートし、我々に語りかけてくる。
そこにはファッション店員の醍醐味がある。

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