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市民の少子高齢化が進んで有権者数に占める高齢者の割合が増加するとともに、若者と高齢者との間に投票率においても乖離が見られる状況がある。
これがいわゆるシルバーデモクラシーと言われる状態であって、問題が指摘される。
さいたま市は首都圏に働き先が多いことから何十年も前から地方からの若者の流入を受け入れていることもあり、若い世代も多く住んでいることから、地方の都市から見れば極端なシルバーデモクラシーの状況にはなっていないのかもしれないが、やはり、シルバーデモクラシーという状況は、高齢者の政治への影響力が強まり、候補者も高齢者世代へのアピールを主として訴えていくことになろうし、その結果高齢者世代への施策充実を掲げる候補者が主として当選して、若者よりも高齢者の施策が充実していくという未来感の無い行政となることは問題であると思う。
特に景気の良い時代に生きてきた高齢者世代に対して、経済の状況が悪い現代、そして未来に生きていこうとする若者世代は自らの腰を上げる時が来たのではないか。
実際に、令和3年に実施された“さいたま市長選挙”の投票の状況を数字で見てみよう。
単純に若者世代(子育て世代)を18歳から40歳台まで、高齢者世代を50歳から80歳以上と二世代に分けて傾向を見てみる。
18歳から40歳台までの有権者数は、517,723人(全体に占める割合48%)、
50歳から80歳以上の有権者数は、559,368人(全体に占める割合52%)
さいたま市には若い世代も多く住んでいることから二世代間で人口にはさほど差は無い。
しかし、投票者数と投票率には差が出てくる。
18歳から40歳台までの投票者数は118,014人(全体に占める割合38%)、投票率は22.79%であった。
50歳から80歳以上の投票者数は、191,093人(全体に占める割合62%)、投票率
は34.16%であった。
これら両世代の投票者数の差は73、079人。
若者世代はあと投票率を14.11%上げれば高齢者世代と同数の投票者数を確保できる。
14.11%のアップ、これは大分大きな数字に思える。
これだけの克服すべき大きな数字を前に、そもそも若い世代はなぜ投票に行かなければならないのかをもう一度確認したい。
選挙権が18歳まで付与された時期に、総務省は“平成28年に行われた総務省の18歳選挙権に関する意識調査”を行った。
そして、若者が投票に行った動機を高い順にこう報告している。
①投票をするのは国民の義務だから 39.3%
②政治をよくするためには投票することが大事だから 33.9%
ぼやあっとした動機だなあと思う。
国民の義務だから、政治をよくするために・・・。
立派な理由なんだろう。
まあ良いのだけれど、本当にこんな動機付けで彼らを投票に行かせることができるのだろうか。
もっと若い世代に響く動機が必要だと思う。
必要なのは、若い世代の皆が、若い世代のニーズに対して必要な施策を実現するという明確な目標を持つことと、彼らがそのために必要な行動を起こすことに関する“意識の変容”ではないだろうか。
平成24年版の高齢社会白書において内閣府は“現行の社会保障制度は、負担を将来世代へ先送りしている点が問題であると指摘されており、世代間格差がこれ以上拡大しないようにするために、現在の高齢者と将来世代がともに納得した、不公平感のない「ヤング・オールド・バランス」の実現が課題となっている。”と記述している。
若い世代には、この「ヤング・オールド・バランス」の実現を、自ら投票することによって目指して欲しい。
そうは言っても、若者世代の投票率の向上はそう簡単ではないとは思うけれど、さいたま市南区の選挙セミナーでお世話になったSFC研究所の西野偉彦先生は、“1回の投票で政治が変わったと感じなくても政治に関心を持ち続けて欲しい。変化には時間が必要なのだから。”と東京新聞で若者世代に呼びかけている。

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