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“例えば”このような説明 シティセールス

最初にシティセールスについて私が少しお話しします。
シティセールスについて・・・。“本市が考える”と書いてあるところが非常に悩ましい所でございまして、なかなかシティセールスの定義というのはないです。法律に規定されているわけでもありませんし、国から通知・通達していただいたわけでもない。シティセールス学とかシティセールス論とかそういった学問が大学で議論されているわけでもない中で、やはり第1回の研修の感想の中でも「シティセールスとは何か」を明確にしてくださいとか、それから「シティセールスについて、皆さんがおやりになるのは何なのか」を明確にしてくださいという回答をたくさんいただきましたので、私が考えるシティセールスについて、しっかりと、仮説にすぎないのかもしれませんが、お話をさせていただきます。

最初に、東海大学の河井先生の、「シティプロモーションについて」という研修が以前あったかと思いますが、その内容を若干振り返らせていただきます。

河井先生からは「シティプロモーションとは何か?」ということを学ばせていただきました。「自治体においては“まち・ひと・しごと創生総合戦略”の策定が進む中で、地域の財政難を克服するための将来的な人口確保に対応して、地域経営を確保するためのシティプロモーションが必要です。」というお話でした。人口を確保して市税を収納いただいて、地域経営を確保していくというためのシティプロモーションという話です。
市内で行政への関心を共にする市民、そしてNPO、企業の参画総量を増やすとともに、社会貢献、地域貢献に関わる市民を増やし、市民の幸福度をアップしようとするものでした。
市民の方がそれぞれの個性を活かし、自らの能力を発揮して、地域で自分の居場所、立ち位置を確固たるものにすることで、シビックプライドやアイデンティティが獲得され、地域の魅力が掘り起こされる事になり、そして地域のブランドが形成されるというお話です。
そのような中からその魅力、ブランドが市民の口から市外にも伝播していくというお話でした。

河井先生のお話は各所管の職員が自分の仕事を進めるにあたって、常に考えなければいけない当たり前のスタンダードなことであり、自分の所管する事業を、PDCAサイクルにおいて振り返る時に、常に“市民の参画”を自分の事業に取り込む意識が大切であるということです。
PDCAサイクルというのは、最近は事務事業評価とか、行政評価というものはないのですが、各計画事業が位置付いている所管は、その振り返りですね、そういったものがない所管の方は、過去を振り返って来年度の予算要求はどうしようかとか、そういったものを考
える際に、来年度また将来にわたって、市民の参画をどう取り入れていくのかを考えて行くことが大切だということです。具体的に参画と言いますのが、ここに①~③までありますが、①政策形成過程への参画ということでは、委員会への市民委員の取り込みとか、市
民参加のワークショップを実施すること。②事業の担い手としての参画というのは協働なり委託なり、市民や事業者と一緒にやっていくような手法。③地域社会への参画というのを充実させるという意味では、地域福祉の推進、それからコミュニティビジネスを盛り上
げるなど、そういったような形になると思います。

河井先生の言うシティプロモーションは、中長期的にじっくり、事業や施策のPDCAサイクルを回しながら実現していくことであり、まちづくりの普遍的な取組で、とても基本的な考え方だと思います。

私どもさいたま市では、当然そういった考え方が総合振興計画の中に盛り込んであります。この計画書の中で、各分野別計画の一番最初の所に、“皆さんも一緒に取り組んでみませんか?”というものが載っています。今見ていただいているのは、環境・アメニティの分野ですが、地域の方々にどんなことをしていただきたいという事例を紹介して、市民の参画を促しています。ここにはこんなことが書いてあります。“市と市民、団体、事業者の方々など、多様な主体が力を合わせて、まちづくりを推進することが、地域や市全体の魅力に繋がっていきます。”まさに、河井先生の言う通り、そのような形で本市も、総合振興計画、市の最も基本的な計画の中でその旨を推進している状況です。また、“計画推進の基本的な考え方”の部分でも、市民と行政の協働の推進ということが位置付けられているという事になります。ここまでは、河井先生の言うシティプロモーションの振り返りを簡単にさせていただきました。

次に、「シティセールスって何?シティセールスという言葉にはどんな意味を持たせようか。」ということです。
今、お話したように、シティプロモーションは中長期的で地道な取り組みですけれども、シティセールスという言葉にはもう少し短期で成果を出す事を期待するような、ちょっと研ぎすまされたような戦略的な意味合いを持たせたいと思います。シティプロモーション
とシティセールスをちょっと事例を使って説明をしていきたいと思います。

FIFA(国際サッカー連盟)が定義するサッカー選手に必要な運動技能というものがあります。①フィジカルコンディション(体力・運動能力)②テクニカルスキル(技術)③タクティカルコンディション(戦術技能)④メンタリティ(冷静さや闘争心)。サッカー選手
は、この4つについて日々練習を積み重ねています。普遍的なPDCAの取組みです。このPDCAの部分がシティプロモーションとしましょう。では、シティセールスとは何かと申します
と、「様々な試合をターゲットにした、この試合ごとの戦術ではないか。」という風に考えています。ターゲットを絞った試合戦術、それがシティセールスです。Jリーグ、天皇杯、ACL、ナビスコカップと書いてありますが、Jリーグは長期戦、天皇杯は一発勝負、ナビスコは2試合で1つの戦い、そんな形で、例えば、Jリーグだったら小さいパス回しをしながら組織だったサッカーで攻めて行くけれども、天皇杯は、しっかりとした守備固めをして、そこから一発前に蹴りだして、フォワードの突破力にかける、そういった戦術をとるところがあります。またリーグ戦ですと、延長戦がないわけですが、天皇杯ですと延長戦が考えられるということは、体力の温存の仕方、そういったことを戦術として考える事が大切になると思われます。
「そういったターゲットによって戦術を変える、そういう研ぎ澄まされた戦術がシティセールスなのかな」という一つの例えですね。

「どうして一人ひとりがシティセールスマンである必要があるのか。」ということですが、我々が、共有すべき大きな課題があります。先ほど河井先生の話にもありましたが、「まち・ひと・しごと・創生合戦略の示す課題への対応」ということで、総合戦略にはこの様な事が書いてあります。
「人口の自然増」はもとより、本市全体の人口維持に繋げていく事が必要です。
本市のブランドを活用して、交流人口を増やし、本市の都市イメージを全国的・世界的に高めるとともに、そのことがさらに流入・定住人口の増加や交流人口の増加を呼び起こすといった好環境を生み出すことが必要です。

このような課題が書いてあります。当然、なんでそういう課題になるかというと、この図にあるように将来推計人口がどんどん右肩下がりになっています。一番下の線が国の外郭団体でしょうか、社会人口問題研究所の出した推計です。今現在、さいたま市の人口が
127~8万人ですが、それが2060年には110万人まで落ち込むという統計です。次に、一番上の線は総合振興計画において推計した将来人口です。これによると2060年には人口が120万になるという。この落ち込みをどうにかしなければならないということ。この課題、ターゲットに対して全庁の一人ひとりが解決に向けて取り組んでいきましょう。その方策がシティセールスであるというようなことになります。

次に、シティセールスって何?
皆さんが担います各々の事業を実施する中で、ブランドというものを活用していきましょう。それから宣伝、広告、キャンペーンというものを戦略的に司っていきましょう。そのターゲット、誰に訴えて、その誰にどんな行動変容(成果)を獲得して欲しいのかを明確にしていきましょう。そして、皆さん、個々の事業目標があると思いますが、事業目標を達成することに加えて、さらにターゲットといいますか、市民の方、市外の方もそうですが、それらの方が満足感を得ることで、本市に対する良いイメージの醸成を獲得していきましょう。これがシティセールスです。
そしてその為には、職員一人ひとりがシティセールスマンとして、各々が所管する事業に関して、訴求先を明確にして、ニーズに沿った事業を企画する事が大切です。そして、その宣伝、広告、キャンペーンについては、それに適う効果・効率的なメディアや手法を選びとっていきましょうということです。どうしてもセールスという言葉からは“営業”を連想します。どんなものでも“営業”をかければいいのか?ちょっといやらしい感じがする単語かもしれませんが、そういうことではなくて、本市に関する良いイメージといいますのは、各事業がきちんとターゲットのニーズに沿ってできあがっている事。ターゲットの課題にしっかりと対応していることによって生まれてくるのが基本。それが大前提だと考えています。

ターゲティングが必要だ。それを明確にしていこう。大切にしていこうということです。
ターゲティングというのは「ONE TO ONE、一人ひとりに対応する」という言葉ととてもよく似ていると思います。さいたま市が合併してから、ずいぶん「一人ひとりへの対応、ONETO ONE」ということを考えてきています。政令指定都市の中では、札幌市が非常に積極的で、コールセンターを平成14年に導入しました。コールセンターにかかってくる一人ひとりの言葉に、一つ一つ対応していくという方針で、なおかつそれをデータベース化して、今でいえばビッグデータという形で解析しながら、事業の改善や新規事業の創出を図っていこうとしたわけです。さいたま市につきましては、平成16年にはさいたま市総合相談(CRM)システム基本構想というのができました。CRMというのはシチズン・リレーションシップ・
マネージメント、まさに一人ひとりとのリレーションシップを大事にしようという考え方。そのCRMシステム基本構想にはこう書いてあります。
「市民個々の本質的、潜在的ニーズを適時、的確に把握し、市民本位の観点から地域サービスの提供を目指します」と書いてあります。
平成12年には社会福祉法で地域福祉計画の策定が位置づきました。それをふまえて、平成15年には保健福祉総合計画(地域福祉計画)が策定されました。この計画の当時の理念は、「市民一人ひとりが生活の場である地域において充実した人生を送ることができるよう、市民・事業者・行政が協働して、支え合い、尊重しあうコミュニティを築き、個人の状況に応じた効果的、効率的な保健福祉サー
ビスを総合的に展開することにより、安心感のある、人に優しい健康福祉都市「さいたま」を実現します。」と書いてあります。このように今まで、一人ひとりを大切にするという方向性を、さいたま市は取ってきています。

もう一度シティセールスとは何でしょう?
「ブランドを活用していきましょう!宣伝・広告キャンペーンを戦略的に司っていきましょう。」先ほども申し上げましたが、広報リリース、それから広報紙等々あるわけですが、宣伝広報キャンペーンにおいて、「様々な媒体を活用していきましょう!」
事業目標を効率的に達成する事に加えて、ターゲットが満足できるよう、施策の向上を図っていきましょう。日常の業務において当たり前にこれらを考えて欲しいなと思います。
事業目標の達成。皆さんの個々の事業において、様々な事業目標があると思います。様々なサービスを受給してもらう、施設を利用していただく、イベントや取組に参加してもらう。起業を促すような事業もあるだろうし、健康管理では節制をしていただくようなもの
もありますし、運動をお願いするもの、環境や防犯などの活動に参加してくださいといったものや、先ほども言ったような、地域福祉活動を推進するようなものもあると思います。
そういった事業にプラスして、十分意識していただきたいのは、都市イメージの向上です。
個人や社会のニーズに合致した課題を解決することはもちろん、それによって満足度の向上を図り、良い都市イメージの向上を図っていきます。・・・という事。この編みかけの部分を、是非今後も皆さん普段の仕事の中で気を配っていただきたいということで、この部分が、皆様がシティセールスマンとして気を配っていただきたい役割です。
情報発信の際には、もちろん市内の方だけでなくて、市外の方にも伝播していくということもありますけれども、市外にいる方にもこの市の魅力を知っていただきたい、市外に情報を発信していくということについても、気を配っていただきたいと考えております。

ブランドの露出を高めながら、ターゲットの満足を目指していこうというところですが、では、「ブランドって何なの?」ということがあると思います。「これまたブランドって何?」という定義が参考書の類には本当に色々書いてあります。なかなか難しいのですが、ここでは、このような形で書かせていただいています。
ブランドとは、それを顕在化、表出させることによって、本市と市民または市外の方々との間に価値観や精神性における共有感を生みます。要するに「好ましさやユニークさ、良い品質であることや信頼感というのを市民の方、市外の方に感じさせていきましょう。」
という。そして「本市を選ぶという行動変容を起こしていきましょう。」そういうことを導くようなフレーズであり、表象(ブランド)であります。こういったものをブランドと呼びます。何にもましてブランドは特性のある優れたサービスと結び付き、夢やあこがれ、未来感を醸し出すものです。ブランドというと、もうすでに定着したものをブランドと言いますけれども、定着を目指すものもブランドと呼んで、皆でがんばっていきたいと考えています。
ブランドの活用というのは、別に最近始まったわけではありません。ブランド活用の歴史と書いてありますが、全然その歴史が段階的になっているわけではなくて、3つの歴史的なエピソードが書いてあるだけです。
一番上の最古のブランドと書いてあるけれども、これは最古の日本酒ブランドということです。

最古の日本酒ブランドは何かと考えてみますと、柳酒屋という造り酒屋がありました。
京都のお酒というと伏見を思い出しますが、五条の柳酒屋というところが、銘酒ブランドを作った(室町時代)。そういった部分と、最古の看板を作ったというのが虎屋さん。鎌倉時代ですけれども。それは伊勢丹とか高島屋の地下にある“やらと”という和菓子屋さん。
もともとはまんじゅう屋さんらしいですけれども。3番目がブランドのセールス展開。ブランドの引き札を使ってセールス活動を行っていたというのが鎌倉時代。時宗の一遍上人が南無阿弥陀仏と書かれた賦算の札(要するにチラシのことです)を60万枚、当時配布しました。当時、鎌倉時代というのは人口800万人(全国で)でしたから、60万枚というのはものすごい数字だと思います。さらに時宗は、民衆の関心を集める為に、踊り念仏というキャンペーンをやっています。踊り念仏というのは、念仏を唱えながら、踊りながら町を練り歩き、チラシを配り歩く。そういったキャンペーンをやっている。このように、ブランド活用は古くからやられていたということです。
さて、ブランドを一つご紹介します。欧米でブランドといいますと、ファッションブランドであり、ファッションブランドをここでご紹介します。ハナエモリという日本のブランドです。ファッションデザイナーの先駆けの森英恵先生。昨日ちょっとハナエモリ・ア
ソシエイトの方と話をしたところ、来年度でこのブランドは65周年を迎えるということで、すごく古いです。森英恵先生といっても、みなさんお若いから知らない方も多いかと思います。森英恵先生というのは、TVに出ている森泉さんとか森星さんのおばあちゃんです。
その森英恵先生のブランドがこれです。蝶々のマークですが、ハナエモリ。“イーストミーツウェスト”がキャッチフレーズで、ずっと前からこう言っております。“東洋文化が西洋文化に会う”というようなことで、東洋風のデザインをパリ等でセールスするということ
です。このブランドの説明文がコピーです。ここでコピー(説明文)は、日本独特の簡素な美しさと繊細な云々。“東洋と西洋の融合”凛とした品を放つというような事が書いてあります。だいたいマークがあってキャッチフレーズがあってコピー(説明文)があるという構成になっています。宣伝の形です。一番下にはタグラインというものがありますが、これが結構重要で、このタグラインといいますのが、このブランドが消費者にとってどんな利点があるのか、利益があるのかを説明する事になります。このブランドといいますのが、女性たちが美しく豊かな環境で過ごせる、「まぁファッションを着る事だけじゃなくて、ライフスタイル全てに渡って美しく豊かな毎日が過ごせますよ!」という風に消費者への利点を訴えています。キーポイントはここで、我々はやはりブランドを活かしながら、このタグラインのところきちんと押さえておく。みなさまも自分の事業を試しにこういう形でタグラインに落とし込んでいってもらいたいのですが、もしタグラインをなかなかうまく書けないというような状況になると、もうちょっとその事業を考えなおしてもらった方が良いのかもしれません。本当にその事業は本質的に誰がどうなる、何のためにあるのかということ(行動変容)を考えなおす機会になるのかなぁと思います。
ここの会場の玄関のところに、高品質経営市役所の看板が出ていました。そこには高品質経営市役所がどんな高品質経営なのか?市民の立場からその利益がちゃんと書いてありました。きちんと自分達の取り組みを市民の利益、視点から書くことができる。こういった形で自分の事業を起こしていただきますとタグラインを書く事がで
きます。この大きなハナエモリというブランドに付随してブランドが二つぶら下がっています。これが二つあるうちの一つで、このハナエモリというラインは70歳代位のだいぶお年がいった方が買うようなブランドです。もう一つが若いミセス用のハナエモリ アル
マ・アン・ローズ。この二つで展開しています。大きなハナエモリというというブランドがあって、その下にハナエモリという洋服のブランド、それからこのアルマ・アン・ローズ。この二つがぶら下がっている。さいたま市についても同じようです。これがブランド
と言っていいのかどうかわかりませんが、のびのびシティさいたま市といったマーク、ロゴがあります。

未来感を醸し出すという意味では、総合振興計画の重点戦略がのびのびシティさいたま市戦略という名称になっていて、そのブランドと未来を作り上げる計画がうまくコンビを組んでいるという風な状態にあります。こののびのびシティさいたま市にぶら下がるブランドの中で、いくつか確立されつつあるものがあります。

CS90もその内の一つだと思います。それから、“スマートウェルネスさいたま(健幸で元気に暮らそう)”、これもブランドとして成長しています。
それから、子育て楽しいさいたま市、これらがみんなマーク付きでブランド化が進んでいます。このような形でマークを作ってですね、一つブランドを作っていただくと外に表出できるようになります。これはイベントにおいて、ロゴを表出(掲出)した例です。こ
のロゴがのびのびシティさいたま市、CS90、スマートウェルネス、子育て楽しいさいたま市、これらを具体的にのぼりやインタビューボードで見せている様子です。これは市役所1階でシティセールス部が設置しているコーナーですが、トリエンナーレでもこういった形でマークがあってブランドとなっているので、こういう形で外に出せるというところです。新都心駅の自由通路でもバナーとして見せていくことができます。これはのびのびシティさいたま市とさいたま国際マラソンの例ですね。
スマートウェルネスさいたまも、こういったものがあります冊子の表紙に落とし込みやすいということです。これは盆栽美術館のロゴの例です。これは、東急ハンズとタッグを組んで、盆栽カフェをやった時の“宣伝”ということになりますが、格好良く外に向けて宣伝ができています。これは産業展開推進課でやっています、海外にさいたま市の技術を売り込む、「さいたま市リーディングエッジ企業認証支援事業」です。これもなかなか格好が良いマークが付いておりまして、下に解説もついています。ということで冊子の中の記事になったり、この冊子をヨーロッパ方面に配布したり、そういったことができるようになってきます。

これがさいたま自転車まちづくりプランですね、さいたま自転車総合利用計画なのですが、これを愛称として“さいたまはーと”という風に作ってくれました。『さい』はサイクル、『た』は楽しむ、『ま』はまもる、『はー』ははしる、『と』はとめる、この自転車は『さいたま』という文字で構成されているわけですけれども、これから先、計画だけでなく自転車にかかわる先進的な事業について“さいたまはーと”というブランドとして成長していって欲しいと考えています。

ブランドの定着を目指すにはということで、二つほど気にとめてほしいことがあります。
まず、W.ディズニーさんが良く言っていたということで、“私たちはゲストをちょっと良い気分にするためにここにいる。”ということです。市民や市外の人たちをちょっと良い気分にさせて、良い印象を持っていただいて、そしてシチズンサティスファクションを上げていく。
大田区は区をあげて、“自慢しよう!”と言っているんですが、それを受けて中小企業の社長さんがこういうことを言っています。『私はうちで処理したことを顧客企業が自慢できるようにしてあげたい』ということです。何かですね、良い思いをしたり、お得な思いをしますと話したくなる。それが口コミですね。それが市内、市外の人に伝播するというところに繋がるんだと思います。ちょっといい気分にさせて自慢させてあげると、シティセールス的な感じに評判が展開していくんじゃないかと思います。

それでは、本市が考えるシティセールスのポイントということでまとめていきます。
シティセールスは戦略です。シティセールスは全ての所管が都市イメージの向上と、それによる流入・定住人口の増加を目指す取組みです。各所管のみなさまは、従来からの事業目標の達成に加え、市民が十分な満足を得ることにより、本市に関する良いイメージを獲得するようにしていきましょう。そのためにターゲットを明確にして、そのターゲットのニーズに沿った事業を企画し、その宣伝、広告、キャンペーンについては、ブランドを活用しながら、ターゲットを意識したメディアや手法を選びとっていきましょう。情報は市外に向けて発信していきましょうというところです。
キャンペーンというと、例えばなんとか月間というのも一つのキャンペーンで、子ども未来局でやられているオレンジリボンのキャンペーンとか、それから広報課さんがやられている、広報リリース、広報紙の活用とかあるんですけれども、なかなかターゲットが絞れないということもあるので、ターゲットやタイミングを絞れる、例えば雑誌の記事とか、新聞も記事以外に広告もありますから、それから電車内の広告とか、いろいろ手法はありますので、ターゲットによってしっかりツールを選び取りながら、宣伝をしていこうということもありますので、予算要求の時にもそういったことに配慮をしていっていただけたらと思います。
もう一度、ハナエモリブランドです。ブランドにはこういうマーク、そしてキャッチフレーズ、そしてコピー(宣伝文)、「市民にとっての利益とは何か」をしっかりタグラインで書いてみる。こういったものを書く練習といいますか、ご自分の事業でちょっとやってみていただきたいと思います。

さて、そのような形で大変いい事業例がありましたので、紹介します。最近メディアで随分と宣伝されています。さいたま市祖父母手帳。これを見せていただきますと、しっかりとブランド、キャッチフレーズ、コピー、タグラインもできていました。手帳です。ひとつの印刷物ですが、それがひとつのブランドとして成長していく可能性を秘めているという事です。皆様は色々な事業をおやりになっているので、色々な成果物、印刷物をお出しになっていると思うのですが、そういったものでもどんどんブランドとして自慢するこ
と、その本当の価値を皆さんにお知らせすることを進めていただきたい。その進め方というのはこういう風に形を整えて、広告をうっていくとか、そういう形に進めて行くといいですよということです。
さいたま市祖父母手帳もブランドになります。「子育て楽しいさいたま市」ブランドもすでにありますから、それと一緒にさいたま市祖父母手帳、残念ながらさいたま市祖父母手帳に「子育て楽しいさいたま市」のロゴが印刷されていないのは残念ですが、次回こそ印
刷の機会があったらそれも一緒にお願いしたいと思います。それでキャッチフレーズ“笑顔をつなぐ孫育て”、非常に分かりやすいですね。コピー(宣伝)ですが“我が家の、そして地域の「孫育て」を応援します”。市が応援してくれるということですね。これがちょっと面白いんですけれども、祖父母が育児をしていた時と比べ、情報が多くて、育児方法が大きく変化しているから現在の育児方法を祖父母の方も学んで、父母との関係を円滑にしていきましょうよ。という話で、父母、祖父母には、すごく納得感があるようですね。大変良いタグラインとなっています。大変良い例だと思います。

次に、シティセールスにおけるアピールのコツというのを、ここでちょっとまた話が変わりますけれども。6点ほど説明させていただきます。
まず、1番目に「他では手に入らない希少性を訴えるといいですよ!」ということですが、よく通販番組とかで見た事がありますが(JCOM とかでやっている)、「今回だけ入りましたよ!今しか買えませんよ!他の会社では買えませんよ!それから限定50組です!」そういう希少性を訴えていることで、その価値が増えているというような感じで見せていくというのも一つであります。
それから2番のサービス受給者から見たサービスのメリットを訴えることです。先ほどからタグライン云々と言っていますけれども、行政が大事であるということよりも、「このサービスを選びとったあなたはどういう風になるか!」というイメージを市民の方にイメ
ージさせ、芽生えさせることが必要となる。それが2番です。
3番、「自分が選び取る事による満足感の向上を意識していきましょう。」ということで、「一つ差し出されるより、三つ出されてさぁどれがいい?」と言われた方が満足感が高いということですね。3つある中から自分が選び取るということで、自分が大切にされている意識、選び取らせてくれた意識、プラス自分が選び取ったものには満足しようとする意識が働くというところです。
それから4番、有名人や専門家、アニメやテレビドラマ、映画等のイメージや信用力を利用するということがあります。ヌゥも、そうだと思っていまして、ヌゥというのはあの緑のヌゥですけれども、市の施策のPRキャラクターとなっています。それで月に1回さい
たま新都心のコクーンでヌゥ広場という催し物がありますけれども、どうぞこれも活用していただきたいです。そこにヌゥが出てきて、ヌゥのかわいさでその事業を良く見せちゃおう!芸能人じゃないですけれども、ヌゥ。キャラクターというのはそういう意味合いもあります。そういう憧れとかわいさ、そういったものを、知らず知らずのうちに一緒にPRすることで、事業に対する良いイメージが湧いてくるということです。
5番は何回も情報に出会うと親しみが増す、単純接触効果を意識するということです。何回も何回も見ていると、自然に親近感がわいちゃうというところです。
それから6番ですが、皆が持っていると欲しくなる“他人の行動”を意識し、SNSなどの活用というのが、先ほどからの口コミ効果ですね。「みんながいいよ!いいよ!」という風にSNSをやっているとそれが欲しくなる。そういうことで、口コミ効果とかSNSの活用と
いうのを意識する必要があるというところです。

それで、例をちょっと見ていただきます。これはシティセールス部で作ったポスターの一部です。ここでは手に入らない希少性を訴えるということで、ランキングを使っています。“さいたま市は住みたい街です”ということで、関東在住者へのアンケート調査ですけ
れども、“住みたい街ランキング”、“ファミリーの住みたい街ランキング”、“現実的に住みたい街ランキング”色々ありますが、すべて大宮駅、浦和駅が1位2位となっています。
これはちょっと他にはないなという希少性というか差別化。それからサービス受給者から見たサービスのメリットを訴えるということを先ほども申しあげましたけれども、「これはファミリーの住みたい街」という風に書いてありまして、ファミリーにとってのメリットを訴える。

これは大変いい例かなと思ってご紹介します。保健所地域保健支援課の大腸がん検診の無料クーポンを発送した例です。一人ひとりに大腸がんの検診を受けていただくわけですから、ONE TO ONEで一人ひとりに直接送っているということですね。なんでもかんでもマスメディアに載せればいいというわけではないという典型なのかと。封筒には「自分の為、家族の為に検診へ」というこれもタグラインですかね。結構身につまされる、「自分の為、家族の為に検診へ」。このコピーが非常に良い。そしてクーポンですから、物としてもらえるというお得感が、あなたの事を考えて送りましたという、その大切にされている感が良いですね。そのクーポンを持ってお医者さんに行くか行かないか、それは自分の選択です。そういった形でそれで、もし自分が決意して病院にいけば、その検診を受けた満足感を得るだろうというところです。

有名人や専門家、アニメのキャラクターやテレビドラマ、映画等のイメージや信用力を取り入れるといえば、これは一つ例としてあげさせていただきますが、箱根町。エヴァンゲリオン。まぁこれはエヴァンゲリオンの舞台が箱根なのでこういう形になるのですが、
公用車にアニメを刷り込んでいます。アニメの格好良さを取り入れながら、箱根町のイメージを形作っているということになろうかと思います。

シティセールスという取組みですけれども、しっかりとブランド化をしながら、宣伝広告キャンペーンを戦略的に司って行こうということでお話をさせていただきました。先ほどハナエモリとか、それから祖父母手帳の例をあげましたが、是非そういう形ですね、外に事業の見える化を図っていって頂きたいと言う風に考えています。
今回は ONE TO ONEということで情報の訴求先を明確にしていく。そしてそれに適したメディアを選び取っていく。それがシティセールスの手法なのだと思います。シティセールスの手法というのは所謂、民間のマーケティングの手法を取り入れることによってできあがってきた手法であります。
それから、従来から活用している広報リリース。これにつきましては基本的には記者室があって、新聞やTVを活用していく。そういった形で、メディアとしてはONE TO ONEではないですよね。ただですね、やはり新聞とかマスメディアについては、世論形成に与える影響力が大きいので、広報リリースの活用は大変重要であると考えています。
以上。

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