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行政計画の施策レベルにおける評価指標の位置づけ

行政計画は・・・、例えば総合振興計画は、概ね3段階の構成になっている。
一番上のレベルでは自治体のあるべき姿が抽象的に語られ、次の2段目では分野別の施策目標がやはり抽象的に述べられ、3段目には具体的な事業がぶらさがるというのが一般的なイメージだ。
ここでは、2段目の分野別の施策目標について、成果指標(アウトカム指標)及びその目標値(期待すべき水準)を設定して、施策目標の進捗状況を定期的にモニタリングできるのか否かを考えてみたい。
最近、「指標の限界!」と言う言葉を聞く。
そして、本当にそのとおり、指標には相当な”限界”があると思う。
分野別の施策目標全体を俯瞰して、広く評価するような指標を与えることは難しい。
指標はどれもその効能や期待する効果が限定され、合理性にも乏しいからだ。
活動指標のような個別具体的な指標を立ててしまっては、施策目標レベルの抽象的な、全体を俯瞰するような評価はできなくなる。
それは個別具体的でありながら、全体から見た時には隙間だらけの評価になる。
アンケートのような主観指標は、目標全体を表すと仮定する(見做す)ことはできるが、その指標を、どの具体的な個別事業を強化するなり、どういった新規事業を創設すれば、上昇させることができるのか、全く判断ができない。
指標と具体的な事業の関係性が明確ではないからだ。
また、まあ、たとえ良い指標が手に入ったとしても、その指標において、その後数年間で、どれくらいの水準(伸び率)をもって進捗の評価基準とすれば良いのか。
一定の水準をもって数値を示すことはできるが、それには全く何の根拠も無い。
今までの過去の傾向(トレンド)を受けて設定したといっても、今後のことには、やはり過去は何の根拠にもならない。
また、具体的にどれだけの予算でどれだけの事業を毎年推進するかは、単年度の予算要求の過程で決定していくというのが現実で、中長期で具体的な数字を目標として掲げることは難しいというか、挙げたとしても査定が無く、根拠も無い不明確な数字を掲げることになってしまう。
特に計画が議会の議決案件となると、余計具体的な目標の水準を明確に挙げることは難しくなるだろう。
議会に対して水準(伸び率)の根拠を示せないということもあるが、計画の議決内容と毎年の予算議案の議決内容に必ず祖語がでてしまうだろう。
計画に記載する水準(伸び率)が単なる目安として議決されるなら問題は無いが、目標値として議決されるならば、議決の重みはしっかりと受け入れるべきとされる可能性がある。
行政計画の2段目は、やはり、市の施策の目標・方向性とか、抽象的な到達地点を明示し、それを規範として毎年度の具体的な事業の予算要求過程が進んでいくというのが本当の位置づけ方ではないか。
勿論、計画内容が、数年度に渡る財政見込とはかけ離れないよう、ある程度リンクしながら極度に無理の無い計画としなければならない。
そういった意味では予算と計画は、双方でシナジーしていくということだろう。
これが「指標の限界!」である。
もう少し計画に記載する指標に期待する機能を狭く、明確に、また限定していく必要があるのだろう。
市民に対して、市のあるべき姿を進捗管理の際に語るためのきっかけ(コミュニケーションツール)を与えるものとするのはどうだろうか。
それを基本に進捗管理を市民とともに進めていく・・・。
そういった目安的な評価指標であっても良いのではないか。
いずれにしても、指標だけで計画の進捗の全てを担うのは無理なので、やはり定性的な情報の解釈、分析が必要だと思う。
そういった意味では、指標をどう設定するか云々というよりも、しっかりと進捗と評価の手法について、計画とは別に、指標を含めて、評価の手法や手順をマニュアルなりに取りまとめた方が良いのではないかとも思う。
考え方としては、指標を数値で掲げないということも、全ての項目をアンケートによる市民満足度で評価するということも、社会的インパクト指標(社会統計指標)を活用するということも、視野に入れることができるのではないか。
考え方としてはいろいろとある。
須坂市の総合振興計画の指標に関する定義を見ると、施策の目的達成の手段となる主な取組の構成の妥当性を見極めることを、指標を掲げる視点として押さえながらも、その定義としては、まちづくりの方向性について議論に活用するためのコミュニケーションツールとしている。
落としどころはそんなところなのかなとも思う。

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