上位目標の進捗度評価

事務事業評価のモデル事業を行うなかで、事業単位の指標の設定と評価については、まあ良いのだが、その上位目標(いわゆる施策評価とか政策評価)の進捗度とか、それにぶら下がる事業の目的妥当性を図る指標の立て方について大分悩んでいた。

随分と所掌範囲が広い施策とか政策単位では、どうしても掲げる指標が選択的で部分的になってしまう。

当時のモデル事業報告書の中で、松井はこう言っている。

『(アンケートの)回答者にある程度の量の文字を自由に回答してもらいますと、各人の属性に沿った随分多様な回答も収集できますし、いわゆるテキストマイニングをすることによって、今まで誰も気づかなかったような様々な指標からデータの整理・分析が可能になります。』

『従来から、事務事業評価は事業単位で、その効率性や効果性等について判断されてきました。しかし、この事務事業評価を、さらに上位の施策評価、政策評価に利用し、目的別にその効果や目的合致性について分析して、各施策間の達成度を比較するということになりますと、前もって選択・用意された数種類の指標だけでは、指標が単純過ぎ、かつ数が足りません。』

『テキスト検索やテキストマイニングの技術は、事務事業評価にも革命を起こすものと考えています。』

『テキストマイニングは、無数の事業の間に存在する新たな課題や指標を自ら掘り起こし、事業単体の評価だけでは実現しなかった施策体系単位の分析を可能にすると思われます。』

『十分なテキストマイングが可能になって、初めて施策評価や政策評価が可能になると言って良いでしょう。』

『テキストマイニングができなかった今までは、それが不可能でしたので、政策評価を市民の満足度評価に置き換えていたり、政策評価らしいことは行わず、各々の事業評価の達成状況で考えたり、政治的な判断に任されてきたのではないでしょうか。』

こんなことを長々と書いている・・・・・。

今までは誰も気づきにくかった事業と事業の間にある市民ニーズや課題が、テキストマイニングで浮かび上がるんじゃないかという期待を感じる。

なかなか当時の自分の思いをこれらの文章だけで探るのは難しいが、これはビッグデータのコアな利用の仕方を言っているようにも思う。

「ビッグデータの世界では、有効な仮説が無くても良い。(仮説・・・つまり評価指標だよね。)世の中の仕組み、個人の行動、消費者の購入内容、部品の故障時期などが、ビッグデータの相関関係を基にした予測により明らかになる事例が次々と紹介されている。」(日経)

大きなデータを分析することがどんどん容易になれば、あらかじめ限定的な利用しか想定できない”仮説を前もって設定して、その指標における分析・検証を行うということ”ではなく、仮説を設定せずに、世の中の動きや個人の思いなど、ビッグデータの解析自体に、それらデータ間の相関関係等を見出して、その”気づき”をもって新しい価値や事業を生み出していくことができるだろう。

この辺を、何とか、このビッグデータという言葉が流行っている時期に検討し、モノにしたい。

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