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平均寿命ではなく、人口動態統計の「死亡年齢」調査結果

2022年10月10日付、プレジデントオンラインにおける本川裕さんの貴重なレポート。平均寿命ではなく、人口動態統計の「死亡年齢」調査結果。

2021年の死亡ピーク年齢は、男が85歳、女が92歳となっており、それぞれ、その年齢で3万330人、3万4506人が亡くなっている。ちなみに、男女ともに73歳にもう1つのピークがあるのは、この年齢が団塊の世代のピークに当っており、母数が多いので死亡数も多いからである。

男女ともに、高年齢化と死亡数増加傾向が同時に進んでいる。2020~21年は新型コロナの感染拡大が起こった年であるが、死亡年齢についてはこれまでと異なる目立った変化は認められない。
男性は女性より高年齢化の進捗度合いが大きい。2000年から2021年にかけて男性はピーク年齢が74歳から85歳まで11歳も高くなっている。これに対して、女性はもともと高年齢化が進んでいたためか、86歳から92歳へと6歳しか高くなっていない。
今や、80代後半前後に亡くなるのが当り前の世の中となったのである。すなわち、「高齢死」と「高齢死への集中」の時代が訪れているのである。
最近、時代の変化を表す用語として、死亡数が多い社会という意味の「多死社会」という言葉が使われるようになったが、「多死社会」というより、むしろ、「高齢死社会」が新時代の特徴として浮かび上がっていると言える。
今では、ほとんど誰でもが老人になり、しかも、だいたい予測される年齢に死ぬ者が大半となる状況となった。
こうした状況は、食料供給、保健衛生、医学、平和、治安、労災対策、安全な生活環境、社会保険(雇用保険、医療保険、介護保険、年金保険)などの総合効果によるもの。

65~69歳の時期を境に、心疾患や脳血管疾患は相変わらず多いままで
あるのに対して、がんの割合は減少に転じる。その一方で、肺炎(誤嚥性肺炎を含む)や老衰が年齢とともに増加する。
一番死亡数が多い85~90歳以降は、これらのいずれかで死ぬ確率がほぼ同等となる。また、これらほどではないが腎不全や転倒などの不慮の事故で死ぬ場合も一定程度ある。

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