見出し画像

昔書いた文章ですが、グーグルグラスが欲しい俺にとっては、なんだか大分気になる文章だったので掲載してみます。☺

GISの利活用についていろいろ勉強をしていますが、なかなか住民のためのGISの利活用の方向性というのは見えてきません。もちろんGISが行政に与える便益は良く理解できます。その中でも特に有益に思われるのは、やはり行政の企画力の補助機能だと思います。これはほんとうにわくわくするような機能が沢山あります。今まで見ることの無かった情報が地図の上に集まって、その各々が関係性を持って表示される・・・。たぶん、これだけで、今まで誰も全く気が付かなかった情報間の関係性が浮き彫りにされることでしょう。つまり、GISは地図というプラットフォーム上で、地図という指標によって、様々な行政情報を横刺しに集約し、その情報を関連づけてくれるわけです。このような機能は、行政職員が施策を企画する段階で、すばらしい施策展開の根拠を提供してくれるでしょう。そして、その情報の関係性の面白さに気が付いた職員は、自らの構想力を膨らませ、今までに無かったような施策を次から次へと生み出すことでしょう。なんと言っても、行政にとってのGISの一番の効果は、この職員の「企画力の進化」でありましょう。さて、それでは住民にとってのGISの利点、その本質とは何でしょうか。上記に書いたように行政と同じような分析を行い、行政に対して施策を提言することもできるかもしれません。それが実現したならば、とてもエキサイティングなことですよね。でも、もっと極く一般的な日常の生活においては、どんな便利な使い方があるのでしょうか。もちろん、行政情報、例えばいろいろな福祉施設の位置や福祉サービス情報を確認したり、災害時の避難所の位置を確かめることもできるでしょう。また、市民や市民グループが自分で地域福祉活動に資するためのオリジナル地図を作成することもできるでしょう。バリアフリー地図を地域で作っている方や学校の近所で残された自然についての地図を作っている児童生徒もいるようです。しかし、これらの作業は、地図帳や白地図、サービスのガイドブック等を便利に使うことと大して差が無いように思えるのです。もしGISが提供されなくても、やる気さえあれば容易に代替メディア(紙ベース等)を使って、その目的が達成されるような気がします。つまり、これらの用途はGISに特有の成果を実現するわけではなさそうです。もちろん紙ベースを使うよりは、プロセスや時間を節約することはできるかもしれませんが。実は、一般の方々がGISを利用することにおける成功事例はカーナビ以外には無いと断言する方もいます。(慶応大学福井弘道教授)レーガン大統領時代に、あの有名なゴア副大統領が提唱していた言葉に「デジタルアース」という言葉があるそうです。これは、GIS上の仮想空間に、なるべく正確に現実の情報を載せていこうとしたとのことです。そして現実に存する問題を把握し、GIS上でシミュレートをしようとする試みだったそうです。まあ、これも各住民が日常的に利用するというよりは、公共的立場からの課題解決の手法の一つでしょう。私はGISと一般的な住民との関係については以下のように捉えてはどうかなと思っています。今、ユビキタス社会の実現が近づいてきたと言われています。このユビキタスは、従来のネット上における人間の活動がバーチャルなものに留まっていたことに対して、リアルな世界においてのIT活用を目指しています。リアルな世界において、個々が持つ固有の態様(情報)を中心として、現実社会のそこここに備え付けてあるセンサーが世界中を動き回る人間を常に取り巻き、個々の態様(情報)を認識しながら、それぞれに最適な環境(情報)を提供するというものです。私は、GISとは、このリアルなユビキタス世界のバーチャルなモデルのことではなかろうかと思っています。バーチャルな世界たる地図上には様々な実社会と同様の情報がちりばめられています。そして、最近ヤフーでもアバターというものが設定されていますが、バーチャルな個人が地図上を闊歩し、自らの持つ情報(態様)と様々な地図上の情報を関係付かせながら課題を解決し、欲望を達成していくわけです。ユビキタスの世界が近づいた現在、GISの特性を、このように捉えることが、とても自然であるような気がしています。そういった意味では、GISは当然3次元に発展し、最終的には各人のアバターが人間としての全ての感覚を身に着けて、地図上で好きなように情報を発信・処理しながら歩き回る・・・こんなイメージが、GISの完成形であると想像できるのです。これがGISの完成イメージではないかなと思います。GISの完成形はユビキタスのバーチャル版であるというお話でした。我々がGISに、他のIT手法とはまた違った親しみを覚えるのは、まさに空間と時間をバーチャルに自在に操れるという期待感があるからではないでしょうか。以上(2004)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?