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自らの記憶を失った町で、心の安定は保たれるのか。

フィジカルな安心感ってある。
いつもそこに存在していて。
思い切り壊すか、捨てるかしない限り
その機能を失った後でも
そこに存在し続ける。
そういった“モノ”には人間の五感を刺激する安心感がある。
デジタルの世界では、そのフィジカルな存在感が薄い。
それは言わばバーチャルな存在で、ワンクリックで
いとも簡単にこの世から消え去ってしまう。
人間は記憶の生き物だから、いつも自分の記憶に頼って経験値を貯めながら自我を成り立たせている。
だからかもしれないが、存在感の無いデジタルデータの保管には不安がつきまとう。
町中のビル達がスクラップ& ビルドでどんどん姿を変えていく。
それは“モノ”の扱いではなく、まるでデジタルデータの扱いのようだ。
そこに人間の心の落ち着きは形成されるのか。
自らの記憶を失った町で、心の安定は保たれるのか。
スマートシティとは言え、人間が五感で感じるフィジカル感、リアルな実態感覚は必要なのかもしれない。

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