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福岡市が汎用デジタル窓口の実証実験をやっているということで、その内容を日立の方に教えていただいた。
テレビカメラを用いて、双方向で書類の書き方から説明しながら、そのまま電子申請を受けるといったイメージだ。
まず松井が感じた疑問としては、福岡市の実証実験が、なぜ自宅からの手続きを実現しようとせず、公民館をリモート手続きの拠点として利用しているのかということだ。
日立の方によると、福岡市は、将来は自宅と区役所を結ぶべきものと考えているのかもしれないが、手軽に実証ができて、撤退も容易な公民館を活用したモデルとなっているのではないかと推測する。
デジタルデバイドというよりも、まずはリアルな世界のバリア、つまり、自宅から区役所への移動距離、そして様々な手続きを行うために区役所内を歩き回る移動距離について高齢者等の弱者には障壁となるのだろうから、自宅においてデジタル窓口のシステムを作動させることはDXの外すことができない目標なのではないか。
そして、このような市民と役所を結んだ弱者が使いやすい“人に優しい”手続きシステムが、汎用性を帯びることでユニバーサルにシステムが実現することこそDXの理想の完成形ではないだろうか。
そのような“手続きの汎用性を帯びた窓口のDX”を目指すならば、まずは汎用的な誰にも優しいシステムの構築ありきで、その上で弱者対応の方策がさらに必要だとするなら、その汎用システムを適切に使ってもらうためのヘルプデスクのようなものをサブシステムとして設けることがよいのではないかと思う。
one to oneで窓口対応することは理想なのだが、このデジタル窓口のように、全ての市民に役所の職員が一対一である程度の時間を使って対応するようでは、効率的な対応であるとは言い難い。
福岡市の実証実験については、福岡市が島嶼部分や山岳地帯の孤立した集落も含まれることから、この窓口端末を自動車に載せて、移動窓口を運用するといった構想もあると日立の方は言う。
そうすると、昔からよくあったテレビ電話を使った山岳地帯における医療(診察)システム等の延長上に考えられたものなのかもしれない。
埼玉県も西部の山々においては、埼玉県がローソン等のコンビニを自動車に載せて、移動コンビニとなることを企画していたのを知っているが、山岳地域向けとしては、手続きに要する窓口端末等機械一式を移動コンビニの自動車に載せてしまうということもできそうだ。
また、福岡市の実証実験では、公民館で誰が市民への対応をしているのかということもやっぱり疑問で、結局そのデジタル窓口に誰かしら職員が必ず付いて市民の世話を焼かなければいけないならば、せっかくのDXを生かすべき効用である“人手不足の補完や生産性の確保”から大きくはずれるシステム運用となってしまう。
職員が運用のために付かなくても、高齢の市民がまずは容易にアクセスできるユニバーサルなインターフェイスが必要ではないか。
このデジタル窓口のインターフェイスをどれほど容易に取っつきやすいものとするのか。
それこそDXのポイントだと思う。
PCへのアクセスやその利用が難しいならば、別にPCである必要もない。インターフェイスは昔NTTが普及を目指したキャプテンや、かつて一世を風靡したセガのキッズコンピュータ・ピコのように、視認性や操作性に優れたものを考えるか、高齢者が日頃からおそらくは長時間視聴しているであろうテレビを用いて、その延長線上でうまくアクセスできるように考えてはどうか。
さいたま市は、令和7年度までに全ての手続きを電子申請(オンライン化)とすることとしている。それに間に合うように様々な課題が解決され、優れた提案が各社から出てくると良いなと思う。

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