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ゴミ分別の自動化による手間と経費の削減およびSDGsの推進

ゴミ分別の自動化による手間と経費の削減およびSDGsの推進

はじめに
ゴミ分別は環境保護と資源の有効利用において重要な役割を果たしますが、その手間と経費は無視できません。本論文では、紙ごみの分別を中心に、人間の手による分別の手間と経費を数値で示し、自動化技術の導入による効果を検証します。また、これがSDGs(持続可能な開発目標)の達成にどのように寄与するかについても考察します。

仮説
ゴミ分別の自動化は、手間と経費を大幅に削減し、SDGsの目標達成を促進する。

人間の手による分別の手間と経費
さいたま市のデータによると、令和4年度のゴミ処理にかかる総費用は約110億円で、そのうち収集運搬費用が約40億円、中間処理費用が約50億円を占めています。また、さいたま市の家庭ごみの総排出量は約401,471トンであり、事業系ごみの総排出量は約100,031トンです。

紙ごみの分別の具体例

オフィスで発生する紙ごみの分別は、リサイクル可能なものとそうでないものに分ける必要があります。この作業は手間がかかり、例えば、1人の従業員が1日あたり平均10分を紙ごみの分別に費やすと仮定すると、年間で約40時間(10分×240日)を費やすことになります。これを時給1,000円で換算すると、1人当たり年間約40,000円のコストがかかります。

さいたま市の「まるっと紙ごみ」事例
さいたま市では、NPO法人エコシステムさいたまと鶴見製紙が協力して「まるっと紙ごみ」リサイクルを実施しています。この取り組みでは、様々な種類の紙ごみをシュレッダーをかけずに箱にまとめて排出できるため、手間を大幅に削減できます。

エコシステムさいたま:このNPOは、さいたま市内の事業者を対象に、紙ごみのリサイクルを推進しています。紙ごみをまとめて排出することで、処理手数料の減額措置を受けることができます。
鶴見製紙:鶴見製紙は、エコシステムさいたまから搬入された紙ごみを段ボールパレットごと溶解し、トイレットペーパーにリサイクルしています。このプロセスにより、作業負担が軽減され、環境にも配慮したリサイクルが実現しています。

自動分別技術の導入例

TrashBot:AIと機械学習、コンピュータービジョンを活用してゴミを自動で分別するゴミ箱です。正確性が95%で、空港や病院などの公共施設での利用が進んでいます。
Sadako Technologies:スペインの企業が開発したゴミ分別ロボットは、ベルトコンベア上のゴミを自動的に分類します。
自動化による手間と経費の削減
自動分別技術の導入により、手作業による分別の手間を大幅に削減できます。以下の仮定に基づいて労働時間削減を計算しました:

従来の手作業による分別時間:
1人の従業員が1日あたり平均10分をゴミ分別に費やすと仮定します。
1年間(240労働日)で約40時間(10分×240日)を費やします。
TrashBot導入後の効率化:
TrashBotの導入により、分別作業が約3倍効率化されると仮定します。
これにより、1人当たりの分別時間が1日あたり約3.33分に短縮されます(10分÷3)。
年間の労働時間削減:
TrashBot導入前:1人当たり年間約40時間。
TrashBot導入後:1人当たり年間約13.33時間(3.33分×240日)。
1人当たり年間約26.67時間の削減(40時間 - 13.33時間)。
全体の労働時間削減:
仮に100人の従業員がゴミ分別を行っているとすると、年間で約2,667時間(26.67時間×100人)の労働時間が削減されます。
これにより、年間で約2,667時間の労働時間が削減されると仮定すると、時給1,000円で換算して年間約267万円のコスト削減が見込まれます。

さらに、自動分別技術の導入によりリサイクル率が向上し、リサイクル可能なゴミの量が増加します。例えば、TrashBotの導入により、年間で約417トンのゴミがリサイクル可能となり、これにより1111.30トンの二酸化炭素削減が期待されます。

SDGsの推進

ゴミ分別の自動化は、以下のSDGs目標に寄与します:

目標12:「つくる責任 つかう責任」:資源の効率的な利用と廃棄物の削減を促進します。
目標13:「気候変動に具体的な対策を」:ゴミの焼却量を減らし、温室効果ガスの排出を削減します。

結論
ゴミ分別の自動化は、手間と経費を大幅に削減し、SDGsの目標達成を促進する有効な手段です。特に紙ごみの分別においては、AI技術を活用した自動分別システムの導入が効果的であり、持続可能な社会の実現に寄与します。

1: さいたま市のごみ処理経費データ 2: さいたま市の廃棄物の現状と施策展開 3: NPO法人エコシステムさいたまの事例 : 鶴見製紙の事例 : TrashBotの詳細 : Sadako Technologiesの事例

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