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凄いぞ!光城精工!!

2019年秋のヘッドフォン祭、私の心が完全に奪われてしまったブースがありました。それはS'NEXTですか?いいえ、違います。確かにS'NEXTブースに入って気がついたら12時になっていました。Questyle QPMMEZE RAI SOLORAI PENTADITA DreamXLSFiR Mシリーズは素晴らしかったですし、他にもTechnicsブースで聴いたEAH-TZ700は完璧という単語が似合うイヤホンでした。でも…どれも違います(いや、でもどれも本当に素晴らしい音ですよ!)

それこそは、光城精工こと、KOJOのブースです。そこにはイヤホン1つと、アンプ1台と林檎のライトと、正直あまり人目を引くとは言えないブースでした。それでも行く価値はあったのです。

光城精工とは

光城精工は「世界中の電源をきれいに」という理念を掲げ、青森県平川市に居を構える電源に関する製品の製造を行う会社です。オーディオ製品の他に医療向け電源、LED電源、カーオーディオ向けの電源も作っています。
医療という人の命を預かる大切な機器向けの製品を作っていると言う事は、確かな技術力と信頼のおけるメーカーである事の査証なのではないでしょうか。

http://kojo-seiko.co.jp/

その時KOJOブースで何が起こったのか

少し前からKOJO製品について耳にする事はありました。手に収まる小型サイズながら真鍮削り出しで重量300gオーバーという重量級のKM01-BRASSというポータブルヘッドフォンアンプと、真鍮削り出しのイヤホンKJB-01 Keyaguです。以前からKeyaguに興味があり、KOJOにお邪魔する事にしました。私のKeyaguの興味ポイントとしては

1.真鍮削り出し
2.なんか妙な素材の振動板
3.シングルダイナミック

という所です。真鍮製の筐体は粘る低域や独特な響きを持つイヤホンが多いと思っており、これは絶対に楽しいやつだという確信がありました。

さて「Keyagu」(友達という意味の津軽の方言です)と対面です。一見すると飾り気がないシンプルな筒状形状にダイナミックドライバー1基を搭載という、ごくごく普通のカナル型イヤホンです。

ですが…

そこから放たれた衝撃は耳から脳を揺らしつま先まで駆け抜け、心臓は異常事態にそなえ鼓動を急激に高めたのです。
祭という雰囲気に飲まれてしまったからかもしれません。凄まじい衝動に襲われた私はKOJOブースを飛び出し階段を駆け、特価ブースで青いパッケージを抱えたまま震えていたそうです(息が上がっていたとも言う)

私の初めての2万越えイヤホンであるfinal audio designのheaven sを聴いた時の衝撃を思い出します。あれも予算オーバーしていましたが、悩みに悩んで購入していまいました。heaven sも真鍮削り出しなんですよね…

真鍮はいい…真鍮は…いいぞ…真鍮 is GOD…

この魅力はなんなんだろう?

Keyaguの魅力を一言で表すと「コクがあってキレが良い」でしょうか。
まず高域の伸びやかさ、煌めきに驚きます。シングルダイナミックでここまでの高域を出せる機種はどうしても高価になりがちです。そして中域のたっぷりと豊かな響きにうっとりとし、深く弾力のある低域の良さにやられます。こいつは…只者じゃない!

柔らかさと繊細さという相反する要素をしっかりとまとめ上げているのはまさしくハイエンドの領域です。発売まで時間がかかってしまったのも納得のチューニングです。

音のバランス
低域 ・・●・・ 高域
音の広がり
狭い ・・●・・ 広い
音の明るさ
暗め ・・・●・ 明るめ

低域
柔らかくて、深くてずっしりとした厚みがあります。十分な量感なんですが、中高域を邪魔しないんです。柔らかくもあり、解像感もしっかりと確保しているんですね。

量感
弱い ・・・●・ 強い
音の硬さ
柔らかい ・●・・・ 堅い
音の響き
緩い ・・●・・ 鋭い

中域
迫力のある押しの強さを感じます。それでいて弦を弾くような音はリアリティに溢れ、耳元をくすぐるかのようです。音の出る位置もバッチリきまっています。楽器の表現力は素晴らしいです。弦楽器、木管楽器、金管楽器、打楽器なんでも来いですわ。

量感
弱い ・・・●・ 強い
音の硬さ
柔らかい ・・●・・ 堅い
音の響き
緩い ・・●・・ 鋭い

高域
金属音の煌めき感がとても良いです。シャープになり過ぎず、湿度を保ちながら響くのが最高ですね。この響きは真鍮ならではだと思っています。

量感
弱い ・・・●・ 強い
音の硬さ
柔らかい ・・・●・ 堅い
音の響き
緩い ・・●・・ 鋭い

とまあこんな感じなんですが、とにかく聴いていて楽しいんです。リスニング系かヒアリング系かと聞かれたら圧倒的なリスニング系です。

しっかりと鍛え上げた安定感のある下半身に、艶やかで熱っぽいボーカルと、煌びやかなビジュアルといったアイドルの様な贅沢な存在です(生まれは青森というのもポイント高いですね?わかってくださいよ)

個人的なエモポイントは純正ケーブルのプラグ部分です。

価値観がひっくり返る存在 -アンプ-

まだだ、、まだ終わらんのですよ!

わたくし、アンプという存在には少し懐疑的でした。プレイヤーが良ければいいじゃん。ポータブルアンプでも持ち運ぶには邪魔だしさ、と。
以前はiPod ClassicにiBasso D5 Hjを組み合わせて持ち歩いていましたがね、やはり面倒だったんですわ。それでDAP単体で運用出来る物を探していたんです。iBasso DX160はパワーも十分にあり、これでもう良いだろうと…

しかしですね、Keyaguを聴いている最中になんか金色のレンガ見たいなヤツがチラチラ目に入るんです。DX160の倍の厚さを持ち、ごんぶとのmini-miniケーブルの生えた、それはポータブルアンプと呼ぶには余りにも分厚すぎた…KOJO KPS01-FARADです。

見てください、この堂々たる容姿!デカイ!羊羹をこんな大きさで切ったら確実に怒られるやつですよ!そして3.5mmのin-outとボリュームノブとインジケータのLEDしかないなんて、このデジタルで多機能真っ盛りなご時世に在るまじき潔さ!充電用の端子すらありません!何故なら…単4乾電池6本!を贅沢に使って駆動するんです!!その活動時間は8時間!!!

何故か!フルディスクリートのA級アンプをクリーン電源のノウハウを持って動作させるからなんです!あー、つまりは音質のみに特化した素敵仕様だということなんですわ!

折角だし聴かせてもらうかなと、ほんの軽い気持ちでこの重たいアンプを手に取ったんです。

魂がね、持っていかれましたわ。

駆動力、左右のセパレーションの良さ、空間の広がり方、濁りのない澄み渡った音…全てが桁違いです。ああ、シングルエンド接続でもこんなに良い音がなるなら、バランス接続って実は不要なんだな…とすら思ってしまうほど。

最近のDAPの性能向上は素晴らしいものがあります。しかし、そのサイズと多機能性(特に無線!お前や!)故に音質への影響、制限が厳しいのだと。アンプ部を分離することでノイズや出力、音質向上の対応が行いやすいのだと。魂で理解しましたわ。

KOJOのポータブルアンプは他にもあり、2013年に発売されたKM01-BRASSは未だに愛好者が多く限定で再生産された程です。イベントのKOJOブースでは使い込まれたKM01を見る事が出来ます。

同タイミングでブースに来ていたKM01ユーザーの素敵なお兄さんに触らせてもらったのですが、これは真鍮のインゴットだよね?とすら思わせる迫力の重量300g、そして重量に見合った豊かな中低域です。KM01は単4電池1本で駆動できるのですが、この電池からこんなに逞しい音が出るなんて…

アンプって…アナログアンプって…乾電池って、スゲー!
そして、光城精工って…すげーーーーーーーーー!!!!

お気に入りの組み合わせ

最後に、私のKeyaguを紹介します。

ケーブル:final C106 MMCX シルバーコートケーブル 4.4mm
イヤーピース:final TypeE

final製品との相性は抜群ですね。Keyaguのキャラクターを損ねることはなく全域をアップグレードしてくれます。特に低域の量感、質感の向上がお気に入りです。

イヤーピースは他にもAZRA SednaEarfit、Symbio Eartipsもオススメです。SednaはTypeEより高域の伸び、スッキリ感が出ます。Symbioは全域の押し出し感があり、脳にKeyagu成分をダイレクトに届けてくれます。


とまあ、相変わらず喧しい文章で全域べた褒めしかしていませんが、Keyaguの音はそれだけ衝撃的だったという事が少しでも伝わったでしょうか…

みじんこオーディオさんからコラボケーブルも発売されます(一度に生産できる数が少ないので、一度捌けたら再入荷には時間がかかるようです)し、ケーブルバンドル版もかなりお得なお値段となっております。

是非とも一度聴いてもらいたいです。さあ、君もKeyaguになろう!

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